W杯の注目ゲームはMF目線から見ても面白い!
まさかの優勝候補ドイツの敗退! 波乱の大会の象徴的な試合となりましたね。
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- 誰かに話したくなる!北澤豪のW杯とっておきトーク 5回目
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すでに2敗してグループリーグ敗退が決まっていた韓国でしたが、代表の意地を見せてくれました。モロッコも2敗していた中、スペインと2−2のドロー。ペルーも2連敗の後、オーストラリアに2−0で勝利。こうみると、敗退が決まったチームでもモチベーションは下がっていないことがわかりますよね。今夜の相手、ポーランドも相当な覚悟で挑んでくると思われます。引き分け狙いなどせず、しっかり勝ち切ってグループリーグを突破してほしいですね。今夜の日本代表の戦いに期待しましょう。
ドイツはボール支配率約70%、シュート26本と試合を有利に進めながらもをゴールを割れず、アディショナルタイムでまさかの2失点。初のグループリーグの敗退となった
さて今回は、自分も現役時代にプレーしたMF目線で、ワールドカップの面白さを語ってみたいと思います。現代のフットボールは、中盤のポジションを流動的に変化させる戦術が一般的。いわゆる“ポリバレント(多様性)”という部分も持っておかなければいけません。だからこそ、育成年代からそういった多様性を植えつけなければいけないのですが、実行するのはなかなか難しいところです。
セネガル戦ではボランチのMF長谷部がセンターバックの位置まで下がる流動的なポジション取りを見せ、セネガルのFW陣を翻弄した
日本の育成年代の練習を見ていると、2人組での練習が圧倒的に多いんです。現代のサッカーに当てはめると2人め、3人めの動きが重要になるのに、2人組(対人)でしかパス交換をする練習をしていないので、ちょっとそこは気になりますよね。今大会の試合を観ていると、パスを出そうと思ってアクションを起こすとき、最初に動き出した人にマーカーがついてくるので、最初に動き出した人以外の2人め、3人めの動きが大事になってきます。だからこそ練習でも3人組とか4人組でやるほうが、応用が利くわけですよ。そういった部分から変えていけば、日本のサッカーももっとよくなると思いますね。
今大会でもクロアチア代表のMFモドリッチは、攻撃に守備にと献身的なプレーでチームを率いていますよね。それと来シーズン、Jリーグのヴィッセル神戸に来ることが決定しているスペイン代表のMFイニエスタのプレーも気になります。モロッコ戦では、パスミスもありましたがアシストを決めて、好調をキープしていますね。彼のポジション取りを気にしながら試合を観るのも面白いですよ。ちなみにスペインは前回大会で、パスサッカーでグループリーグ敗退を喫したのですが、今回もやり方を変えずパスサッカーで挑み続けています。そんなスペインの意地にも注目をしています。
スペイン代表のMFイニエスタ(写真右)。モロッコ戦ではトップ下での先発ながら、最終ラインまで下がって守備に貢献。ハードワークをこなした
元サッカー日本代表。現役時代は豊富な運動量と闘志あふれるプレースタイルから、“中盤のダイナモ”と称された。現在は日本サッカー協会の理事を務めながら、サッカーの普及などに尽力する傍ら、日本テレビ系『NEWS ZERO』のサッカー解説やサッカー中継の解説などでも活躍中。