建築好きが憧れるモダニズムの名作住宅
有名建築家が建てた家が集まる街、シルバーレイク。多くのアーティストやクリエイターが好んで住み、個性的なショップが集結。ここに〈アイムオーケー〉のオーナーが著名な家を購入して住む。彼の家を紹介しよう。
- SERIES:
- 西海岸リビング&インテリア! vol.29
Silver Lake
カリフォルニア州ロサンゼルス シルバーレイク
owner
ラリー・シェーファー
ライフスタイルショップのオーナー
玄関脇に置いてあるアンティークのデスクは、建築家フランク・ロイド・ライトが’50年代に手掛けたもの。LAのライフスタイルショップ〈OK〉の経営者である家主が、40年前に購入してからずっと大切に使っている。
住みやすいデザイン!
自然光を生かしたリビングルーム。ここでよく本を読むそう。造り付けの棚&デスク、チェア、赤いベンチソファは、建築家ルドルフ・ミヒャエル・シンドラーのオリジナル。左の棚はショップ〈トータスジェネラルストア〉のオーナー兼デザイナーのタク・シノモトが制作。
ラリー・シェーファー[Larry Schaffer]
1963年ロサンゼルス生まれ。
カリフォルニア州ハンティントンビーチで育ち、1989年にシルバーレイクへ。
ライフスタイルショップの〈OK〉の経営者。日本では〈アイムオーケー〉を展開中。
個性的なデザインの家が立ち並び、スタイリッシュな人が多く住む街、シルバーレイク。ここにライフスタイルショップを経営するラリー・シェーファーが住む。「大好きな初期のモダニズム建築が、世界で最も集中している。進歩的で知的、国際色豊かな住人のコミュニティもある」というのが、この街を愛する理由。彼が購入した家は、有名建築家の家々を巡るツアーバンが立ち寄るほど有名だ。
建築を手掛けたのは、フランク・ロイド・ライトに師事して’20年代から’50年代に活躍したルドルフ・ミヒャエル・シンドラー。「重要なのは構造ではなく、空間と光」と考え、家具もデザインしたトータル・コンセプトの家となっている。「建築家の意図したとおりに暮らすには覚悟が必要だが、とても住みやすい。各部屋に造り付けのデスクとチェアがあって、ダイニングテーブルとその椅子もオリジナル」とシェーファー。彼が家を購入したのは2008年。リモデルではなく、ペンキを塗り替えたり、窓ガラスを新しくしたり、1年かけて“リストア”。「建築家のテイストの保存」にこだわった。
インテリアのテーマは初期モダニズムを中心としたヴィンテージ・モダン。あなたにとって家とは? と聞くと「サンクチュアリ。 外界から離れて家族が一緒にいられる場所」。好きな人たちに囲まれて快適に生活することを信条とする、彼らしい回答が返ってきた。
邸宅データ
●敷地面積:0.4エーカー(約514坪)
●家の面積:1399平方フィート(約39坪)
●家の値段:350万ドル(1ドル160円換算で約5億6000万円)
●部屋数:5部屋(2寝室含む。バスルームは2室)。1階建て
●築年:1935年
●建築家:ルドルフ・ミヒャエル・シンドラー
●家族構成:恋人と子供、計3人
リビングルームの一角には〈イサム・ノグチ〉の照明と〈イームズ〉の椅子。左上部の窓ガラスは建築時のまま。
アフリカンアンテロープの角、息子のレゴと〈アイムオーケー〉の青いトイボックスを置き、「家族と一緒」の暮らしぶりが窺える。平行線を強調したレンガは、建築家の設計コンセプトに沿ったもの。暖炉とともに建築当時から変わらない。
庭から眺めた家の正面も斬新で存在感がある。「’50年代のモダンデザインの流行に先駆けた建築」とか。
キッチンの壁には、フィンランドの〈アラビア〉による’60年代の陶板が。左の緑のグラスは、フィンランドの〈イッタラ〉の’60年代のもの。円形の白磁トレイと中に収めた銅赤釉酒器は、ポートランドの陶芸家リリス・ロケットの作品。
①センスが光る棚
リビングルームの棚には、建築関連の本とアート作品などのお気に入りが勢揃い。「特に気に入っているのは、友人の母親で陶芸家のドーラ・デ・ラリオスの羊の作品」とシェーファー。読書家で、三島由紀夫や村上春樹などの日本の作家の本も親しむ。「日本とスカンジナビアの文化が好きな理由は、自然、工芸、人間味のあるデザインの美が共通しているから」だそう。
②赤が映える寝室
赤色のアクセントウォールが斬新な寝室。ここにも建築家シンドラーの手による造り付けデスクが設置されている。窓際のスタンドライトは〈イサム・ノグチ〉のもの。
③建築家による家具
ダイニングルームにはシンドラーが作ったテーブルと椅子を配した。車輪付きで外へ持ち出しも可能とか。
④線で魅せる玄関
屋根のふたつの水平ラインが重なる建築が目を引くエントランス。有名建築家の家々を巡るツアー客が見物に訪れるのも納得できる。階段の下には別棟のガレージとゲストハウスが建っている。
⑤温かみのある装飾
シェーファーの10歳の息子が使用するバスルームの壁。壁面を飾る陶磁器の魚は、〈アラビア〉のアーティスト、グンヴァル・ オリン・グラングヴィストが手掛けた’60年代のもの。「息子はこの作品を気に入ってはいるが、夢中で集めているのはポケモンなんだ」
⑥静寂なバスルーム
シェーファーのバスルームにも陶磁器の作品をずらりと並べている。「日本人アーティストのシオ・クサカなどの陶磁器を集めている」そう。ここも採光窓があり、自然光が楽しめる。
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雑誌『Safari』11月号 P45〜48掲載
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photo : Vlada Syrkin Werts text : Yoko Fujimoto