感性溢れるお料理とアートを融合させたセンスに驚く!
2025年12月1日、多くの食通を歓喜させるレストランが白金にオープンした。永島健志氏が手掛ける〈81(エイティワン)〉は、1階に12席のシェフズテーブル、2階にレセプション・アートギャラリー、3階にプライベートラウンジを設け、ガストロノミーとアートを見事に融合させた。

美食家も唸る料理センスを欲しいがままにするオーナーの永島健志氏
オーナーシェフの永島氏は、スペインの伝説的なミシュランガイド3つ星レストラン〈エル・ブリ(El Bulli)〉で研鑽を積んだ。2012年池袋要町に、2015年西麻布に〈81〉をオープンし、翌年1つ星を獲得して美食界を席巻。以来、先進的なレストランを立ち上げていき、伝統と革新を融合させた唯一無二のガストロノミー観を確立するに至った。
エグゼクティブシェフを務めるのはパコ・ラ・モニカ氏。コペンハーゲンの〈ノーマ(Noma)〉、バンコクの〈ガガン(Gaggan)〉、フェロー諸島の〈コックス(KOKS)〉など、世界を代表するレストランで腕を磨く。ブランディングを統括するアレッシオ・ゴルニ氏は、美術、イベント制作、ホスピタリティなど多領域にわたる経験をもち、ヨーロッパ、オーストラリア、日本でキャリアを築いてきた。この才能あふれるチームが提供しているのが、“季節のコース+ペアリング”(3万6000円)。日本各地から選び抜いた旬の食材を用いた8〜10品のおまかせコースだ。

食前にアートに囲まれて嗜むお酒も、非日常的で楽しい
ゲストはまず2階のレセプション・アートギャラリーに案内される。ここで、ウェルカムドリンクとアミューズを嗜みながら、先進的なアートを鑑賞。ウェルカムドリンクは、イタリアの高級スパークリングワインを代表するフランチャコルタの“カ・デル・ボスコ フランチャコルタ キュヴェ・プレステージ エディツィオーネ47”。伸びのある酸とミネラル感が特徴で、気分が高揚すること間違いなし。パルメザンチーズのクリームをサンドしたキャラメリゼした海苔は香ばしく、よい塩梅なので、フランチャコvルタといいコンビネーション。
しっとりと落ち着きのある空間、シェフズテーブル
“揚げブリオッシュ”
アートを存分に味わった後で、永島氏が1階のシェフズテーブルへと誘ってくれる。スタートは季節の葉に彩られた“揚げブリオッシュ”。カリカリふわふわの食感で、中に包まれたクリームチーズとイクラはなめらかな口当たり。
“いかパスタ”
次に提供されたのは、ラップで閉じられた円柱のアクリルケース。カッターが添えられているので、まずは切り口を入れて、桜チップの燻香を楽しむ。その後にラップを外し、パスタに見立てたモンゴウイカの“いかそうめん”ならぬ“いかパスタ”を味わうという流れ。やや太めのモンゴウイカは、モチモチっとしてなめらかで、ほんのりと差す甘味がいい。ちなみに、“切り込み”を入れることでも有名な現代美術家ルーチョ・フォンタナへのオマージュというから、奥深い一品だ。
“トロブリ”
永島氏とモニカ氏の野沢温泉での出会いをモチーフにしたのが、ブリの一皿。北海道の脂がのった“トロブリ”を熟成させて、旨味を深めた。稲藁でほのかに燻し、初雪の前に収穫されたばかりの野沢菜の葉で包み込んだ。広島の牡蠣と愛媛の有機ライムのソースに、野沢菜の茎、ヘーゼルナッツオイルを合わせて、奥行きのある味わいに。シーアスパラガス(厚岸草)やワサビ菜があしらわれ、青いペンタスの花が可憐。
お椀
お椀は日本料理のように、蓋に霧が吹かれている。福島県のシャモ(軍鶏)の出汁、リコリスや高麗人参などのハーブやフルーツを用いた漢方風の味わいで、体に滋味が染み渡る。シャモの胸肉は黒ニンニクと合わせてつくねにし、焼いた千葉県のイノシシの肉も添えた。アクセントに芽カブとクコの実をあしらって。
“カルボナーラの再構築”
“カルボナーラの再構築”では、トリュフの妖艶な香りを堪能できる。トリュフを注入した玉子を割り、惜しげもなくスライスされたトリュフを混ぜ合わせて食べれば、我を忘れるような口福に満たされる!
アンコウ
魚料理はアンコウ鍋を再解釈したモダンな一皿。北海道のアンコウを穏やかに火入れして繊細な佳味を引き出した。セロリのソースとトンカ豆とアーモンドの泡の取り合わせは、既視感のない食味。こってりとしたアンキモにはアプリコットのコンフィチュールを合わせた。
“ホンシュウジカ”
メインディッシュに据えられたのが、千葉県の“ホンシュウジカ”。エゾシカに比べると、やわらかくて繊細な味わい。周りにはたっぷりの野菜が、整然と配されている。千葉県のオーガニック野菜で、蒸し、焼き、茹でなどさまざまな調理法を施しているので、どれも個性が際立つ。ハスカップのソース、焼きみかんのピューレ、茄子とミントのピューレが添えられているので、好みで“味変”を試してみて!
オリジナルカレー
コースで用いた食材の端材をすべて用いたスープ“リフレッシュメント”が提供され、その次が“締めのお食事”。モニカ氏のバックグラウンドが反映されていて、これまで修業したインド、デンマーク、日本を融合させたオリジナルカレーとなっている。和栗、ハーブ、豆乳、ヨーグルト、梅干しの種などが用いられていて、複雑な快味。千葉県の伊勢海老を豪快にのせて、贅沢な締めとなる。
デザート
デザートはみかんの器を用いた一品。みかんのタルタル、みかんと10種類のハーブと中国茶“ラプサンスーチョン”のスープに、新潟県長岡市のミルクジェラートときなこのクランブルを添えた。優しい甘さが広がり、心身ともにリラックスさせられる。
【RECOMMENND WINE】
左から、“オエノプス・ワインズ クシノマヴロ 2022”、“ドメーヌ・デ・ガンディーヌ マコン・ペロンヌ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2022”、“マッシモ・リヴェッティ バローロ 2017”、“ペルデバーグ・セラー ドライ・ランド・コレクション ロンジェヴィティ ナチュラル・スイート・シュナン・ブラン 2022”
秀逸なペアリングもいくつか紹介しよう。“オエノプス・ワインズ クシノマヴロ 2022”は、最初に供されたギリシャの赤ワイン。スパイシーな香りが広がり、細やかなタンニンがバランスよく感じられ、モンゴウイカやトロブリをエレガントに引き立ててくれる。丸みのある果実味とクリーミーな質感をもつ白ワインが、“ドメーヌ・デ・ガンディーヌ マコン・ペロンヌ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2022”。シャモのつくねやイノシシの肉にもぴたりと寄り添う。“マッシモ・リヴェッティ バローロ 2017”は鹿肉との相性がばっちりな赤ワイン。凝縮した果実味に張りのある酸が美しい。鹿肉のコクをさらに引き出してくれる。デザートに合わせられたのが、“ペルデバーグ・セラー ドライ・ランド・コレクション ロンジェヴィティ ナチュラル・スイート・シュナン・ブラン 2022”。南アフリカの甘口ワインで、濃密な甘味を爽やかな酸が支える。みかんが持つ甘味や酸味にちょうどいいバランス。
昨年末にオープンして、瞬く間に話題をさらった〈81(エイティワン)〉。ますます注目が集まっていて、予約困難になってきているので、早いうちにご体験あれ!
⚫︎81(エイティワン)
住所:東京都港区白金6-16-24 シャレイ白金
営業時間:18:00~、21:00~
定休日:日曜
TEL:03-6427-7145
URL:https://eightyone.restaurant/
※サービス料別
グルメジャーナリスト 東龍さんの連載・記事はこちら!
アレが食べたいからこの店へ!
グルメジャーナリスト東龍のホテルグルメで“口福”体験!
●『Safari』公式 Instagram(@safarimagazine_official)もチェック!
1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。


































































