●今月のビジネスセレブ
キンプトン新宿東京 総支配人
ネイザン・クック[Nathan Cook]Profile
ニュージーランド出身。ニュージーランド、英国、日本の3カ国にて投資やリノベーション、リポジショニングなどのプロジェクトに携わり成功へと導く。直近では“IHG®ホテルズ&リゾーツ”のグループホテルである“ストリングスホテル東京インターコンチネンタル”にて総支配人を務め、2年間にわたり業績向上に尽力。2019年4月 、“キンプトン新宿東京”の総支配人に就任し現在は2つのホテルの総支配人を兼任。
アイ・ダブリュー・シー
ポルトギーゼ・オートマティック 40
●愛用歴/約1年
●使用頻度/週に1~2回
●購入場所/ IWC銀座ブティック
基本的なデザインは継承しながら、2020年、自社製キャリバー 82200を搭載した40.4㎜ケースでリニューアルした最新作。
「視認性に長けたシンプルなデザイン、そしてなんといってもこの美しいブルーの文字盤です。海の近くで育ったためか、ブルーが好きなんです。手持ちのワードローブもブルーのウエアが多いので、コーディネートしやすいのも魅力ですね」
IWC[アイ・ダブリュー・シー]
ポルトギーゼ・オートマティック 40
〈IWC〉を象徴する歴史的傑作であるポルトギーゼ。完璧な真円を描くケースや、視認性に優れたアラビア数字インデックスにリーフ針――時計本来の美しさを追求したデザインは、ひと目でそれとわかるアイコニックさも併せ持つ。豊富なバリエーションを擁する一大コレクションの中からネイザンが選んだのは、最もシンプルな3針のオートマティック。シャープなSSケースにダイヤルのブルーがスタイリッシュに映え、手元にインテリジェンスを添える。
1981年、アメリカの西海岸サンフランシスコで誕生し、現在では世界各国で70を超えるホテルを展開する“キンプトンホテルズ&レストランツ”。これまでの“ラグジュアリーホテル”の概念を超越した、独創的なデザインやサービスで、世界のビジネスセレブの心を惹きつけている。その“ラグジュアリーライフスタイルホテル”が、2020年10月、待望の日本初上陸を果たした。
インスタレーション、ポップアップストア、そしてローカルたちに愛されるレストランなど、いつもなにかが新しく、誰かに教えたくなるようなことが見つかるーーそんな“キンプトン新宿東京”の総支配人を務めるのが、ニュージーランド出身のネイザン・クックだ。
ライトブラウンのジャケットにニュアンスブルーのパンツを組み合わせたスタイリッシュなコーディネートの手元で、さりげなく主張しているのは〈IWC〉のポルトギーゼ。ブルーの文字盤がパンツと絶妙なグラデーションを描き、着こなしの洗練度を加速させている。
「去年の誕生日に、思い切って買ったんです。実は一昨年、40歳になったときに双子の兄弟がニューヨークから遊びにきて、40歳の記念にお互いに時計をプレゼントしようと約束したのですが、結局1年たってしまって。世界的にこんな状況で自由に会うこともままならないから、それぞれ自分に時計を買おうということになったんです」
このポルトギーゼは、ネイザンにとって 3本めの時計だ。
「21歳のときに父がプレゼントしてくれた〈セイコー〉が、私のはじめての時計でした。私が生まれ育ったニュージーランドをはじめ、海外では、社会に出る一歩手前の21歳というのが大人になるひとつの節目で、そのときに親から子へ時計をプレゼントすることが多いのです。日本でいう成人式のような感じですね。子供の頃から〈セイコー〉がスポンサーのヨットレースを見てきたので、幼心に親しみや憧憬を抱いていましたし、15歳と19歳で二度、日本に留学した経験もあったので、父は日本ブランドの〈セイコー〉を選んでくれたのだと思います」
ニュージーランド人には、冒険者的なDNAが宿っていると語るネイザン。
「21歳になったら、“OE(オーバーシーズエクスペリエンス)はどこへ行くのですか?”と聞かれます。そう、大人になるための冒険として、ワーキングホリデーの制度を使ってヨーロッパなどへ渡り、1~2年勉強をしてくるのがニュージーランドの慣習なんです。私の最初のヨーロッパへの冒険は、この〈セイコー〉がナビゲートしてくれました」
OEを経験して以降、様々な国に赴任してきたネイザン。
「父がくれた〈セイコー〉と、ずっと人生をともにしてきました。今はもう壊れて動いていないのですが、お守りのようにずっと大切にしています」
2本めの時計は、GMに昇進した際にパートナーがプレゼントしてくれたという〈ロンジン〉。なのでネイザン自身が選び、自身で買った時計は、このポルトギーゼがはじめてとなる。様々な選択肢があるラグジュアリーウォッチの中から、ポルトギーゼを選んだ、その決め手はなんだったのだろう。
「まずはデザイン、そしてこの文字盤のブルー。この時計を見ると、ニュージーランドの美しい海を思い出します。だけどもっと私を惹きつけたのは、この時計のルーツであり、物語かもしれません」
〈IWC〉のフラッグシップであるポルトギーゼが誕生したのは、1939年。ふたりのポルトガル商人が注文した、航海用の精密時計マリーンクロノメーターに匹敵する高精度の腕時計がそのファーストモデルだった。
「ポルトギーゼは視認性を追求してデザインされた時計なので、すごくクリアに私を導いてくれる。そんな気がしています。先ほども、ニュージーランド人には冒険者的なDNAが宿っているというお話をしましたが、私のこれまでの人生は父からプレゼントされた〈セイコー〉がナビゲートしてくれてきました。そして今、40歳を過ぎて、冒険の内容も冒険の仕方も変わってきた私をナビゲートしてくれるのはこの時計です」
そう、ネイザンにとって時計とは、父親から腕時計を贈られた21歳のときから、人生の羅針盤となったのだ。
「もちろん、ファッションの一部でもありますが、私の人生をナビゲートしてくれる頼もしい相棒であり、そしてお守りのような存在でもあります」
このポルトギーゼと、〈ロンジン〉の2本で満たされているというネイザンだが、最近、ゴールドケースの時計にも興味が出てきたと微笑む。
「今、ゴールドのリングが気に入って毎日つけているのですが、年齢を重ねてきたせいか、我ながら似合うようになってきたな、と(笑)。だから次に買うとしたらゴールドケースがいいですね。50歳になったときかな」
「日本でここだけ」にあふれた話題のホテル“キンプトン新宿東京”は、NYのアートシーンにインスパイアされたラグジュアリーライフスタイルホテルとして2020年10月にオープン。パーソナルなもてなしをはじめ、モーニングキックスタートやイブニングソーシャルアワー、ペットを連れてのステイや、ヨガクラスなど、今までに日本になかった、“ラグジュアリーライフスタイルステイ”を約束する。ステイケーションにもうってつけな専用ラウンジへのアクセス付きプランや、ペットと過ごせるプランも話題になっている!
雑誌『Safari』7月号 P180~181掲載
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photo : Tomoo Syoju(BOIL) text : Kayo Okamura