LVMHウォッチ・ジュエリージャパン取締役 タグ・ホイヤージェネラルマネージャー――ニコラ・セナー
複数所有している〈タグ・ホイヤー〉の時計の中で、現在ニコラが最も愛用しているというのが、2022年に発売されたばかりのタグ・ホイヤーオータヴィア60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフだ。
- SERIES:
- ビジネスセレブの「時を紡いで」 vol.36
●今月のビジネスセレブ
LVMHウォッチ・ジュエリージャパン取締役
タグ・ホイヤージェネラルマネージャー
ニコラ・セナー[Nicolas Scenner]
Profile
フランス出身。フランス・リールのスケマ ビジネス スクールを卒業後、Lyrecoや、リシュモンジャパン株式会社 オフィチーネパネライにて、20年以上マーケティング、事業開発及びジェネラルマネージメントの戦略的なポジションを歴任。2022年1月より現職。2001年に来日し日本語も堪能。
TAG HEUER[タグ・ホイヤー]
オータヴィア
60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフ
●愛用歴/約2カ月
●購入金額/ 82万5000円
●使用頻度/週に2~3回
伝統にインスパイアされ、今を生きる冒険家のためにリニューアルされた最新作。100mという防水性も兼ね備える。
「大きな発光アラビア数字のダイヤルバリエーションが採用されるなど、歴史的なオータヴィア コレクションの“73663”からインスピレーションを得たデザイン、そしてフライバックムーブメントを含む、完璧なクロノグラフの機能です」
右:タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー
フライバック クロノグラフ
〈タグ・ホイヤー〉の伝説的クロノグラフ、オータヴィアの誕生60周年を記念して発表されたばかりの新作。クロノグラフはリセットボタンをワンプッシュしただけで瞬時に再計測できるフライバック機能を備える。DLC加工を施したケースとアリゲーターストラップのブラックに、インデックス&針に施された蓄光式夜光のライトグリーンがクールに際立つ。
左:タグ・ホイヤー モナコ キャリバー
ホイヤー02 クロノグラフ
1969年、世界初のスクエアケースの防水クロノグラフとして誕生した、〈タグ・ホイヤー〉を象徴するフラッグシップモデル。ニコラが愛用しているのは、自社製ムーブメント“ホイヤー02”を搭載したパワーリザーブ約80時間のモデルだ。
「オータヴィアは、AUTomobile(自動車)とAVIAtion(航空)、ふたつの世界にリンクしているため、私のお気に入りの時計のひとつです。このふたつの世界は〈タグ・ホイヤー〉の豊かなDNAの一部であり、私がとても好きなものでもあります」
時計界では、“伝説的クロノグラフ”と謳われるオータヴィアの歴史を辿ると、1933年に遡る。自動車と航空機が急速な発展を遂げていた時代、前身であるホイヤー社が開発したダッシュボードタイマーはオータヴィアと名づけられた。30分と12時間、ふたつの積算計を積んだこの時計は、1962年に発表したクロノグラフの腕時計に名前を継承。それから今年で60年を迎えたというわけだ。
ニコラは最新作であるこのオータヴィアを「完璧なクロノグラフ」と言い切る。
「フライバックムーブメントを含む、完璧なクロノグラフの機能を備えています。そして、クールでモダンなブラックのデザインと美しいインデックスを持ち合わせた、モダンアドベンチャーを楽しむ方のためのモデルです」
最新テクノロジーを駆使し、実現させた機能性。そしてスタイリッシュなデザイン。しかしこのオータヴィアの魅力はそれだけではない。
「この時計の背後にある素晴らしい歴史も、私がこの時計に惹かれる魅力のひとつです。2022年の最新作のオータヴィアは、歴史的なオータヴィア コレクションの“73663”からインスピレーションを得ており、大きな発光アラビア数字のダイヤルバリエーションが採用されています。このように、私にとってのこの時計の大きな魅力は、現代に受け継がれている伝統的な歴史です」
基本的には、上品なブラック系のコーディネートに合わせるのが好きと語るニコラだが、この日のようなブルー系のジャケットスタイルにも違和感なくマッチする。スポーティでタフでいながら、どこかにエレガンスも併せ持つ、オータヴィアならではのコーディネートだ。
現在、このオータヴィアに心底惚れこんでいるニコラだが、同じくらい気に入っているというのが、スクエアケースのクロノグラフの名品、モナコだ。ほかにもカレラのトゥールビヨン、ヴィンテージのモンツァを所有している。日本におけるブランドのトップとして、そしてこれらの時計を実際に愛用するオーナーとして、〈タグ・ホイヤー〉とはどんなブランドか? 説明を乞われたら、どのような言葉で語るのだろうか?
「最適な言葉は、革新、エレガンス、そしてアヴァンギャルドな精神に基づく高性能です。また、〈タグ・ホイヤー〉は、幅広いレンジの時計を取り揃えています。エントリープライスからトゥールビヨン、メンズとレディース、クォーツから自動巻き。私はこのような多彩さを誇りに思っています」
正確な時間はスマホで知ることができる現代社会において、腕時計は必ずしも“時間を見るため”だけのツールではない。それでも男性が腕時計をまとう理由を、ニコラはどんなふうに考えているのだろうか?
「私たち男性はジュエリーやアクセサリーの選択肢が限られています。私の見解では腕時計は男性のメインのアクセサリーです」
ニコラが語るように、〈タグ・ホイヤー〉の多彩なコレクションには、クォーツやコネクテッド・ウォッチも揃っている。しかしニコラ自身が実際に身につけているのは、すべて機械式時計だ。その魅力はどんなところにあるのだろうか?
「機械式の時計は、時計自体のエネルギーで永遠に動き、個性を表現することができるものです」
では、ニコラにとって、“腕時計”とはどんな存在なのだろう。
「時計は時間を意味し、私たち全員が地球で過ごす時間があり、私たちはその時間を失う感覚を持つのではなく、むしろ楽しむべきです」
1月に開催された“LVMH ウォッチウィーク 2022”では、11モデルものアクアレーサー プロフェッショナル200を発表。カレラやモナコと並ぶこのアイコニックなコレクションをあざやかに進化させた。
3月30日から、フィジカル&デジタルで開催される“ウォッチ・アンド・ワンダー ジュネーブ 2022”で発表される新作にも期待が集まっている。
「もちろん、今はまだなにも開示することはできませんが、〈タグ・ホイヤー〉は162年の革新的な歴史があり、この素晴らしいイベント会期中にこのレガシーが再び証明されると思います。期待していてください!」
常に挑戦を続けるアヴァンギャルドな革命児
1860年、スイスのサンティミエで、若き時計師、エドワード・ホイヤーが前身となる会社を設立。1887年には“振動ピニオン”を開発し特許を取得。現在のクロノグラフの礎を築いた。その後も時計史に数々の金字塔を立て、世界的に知名度を上げる。1985年、社名をホイヤーからタグ・ホイヤーに変更、1999年にLVMHグループに加わった。近年はコネクテッドウォッチも意欲的に発表し話題を呼ぶ。間もなく開催される“Watches and Wonders Geneva 2022”にも参加し、新作に期待が集まる。
雑誌『Safari』5月号 P236~237掲載
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photo : Mai Hokari(BOIL) text : Kayo Okamura