●今月のビジネスセレブ
ニコル・オートモビルズ合同会社 ゼネラルマネージャー
ミヒャエル・ヴィット[Michael Witt]
Profile
総合コンサルティング会社、アクセンチュアでビジネスマンとしてのキャリアをスタート。その後ヘッドハンティングを受け、BMW AGへ。セールスマーケティングのインハウスコンサルティングを担当し2012年、BMWジャパンのアフターセールス・ダイレクターとして来日。BMWオーストラリアへ赴任した後に、2018年6月より現職を務める。
ロレックス
オイスター パーペチュアル サブマリーナー
●愛用歴/約3年
●購入場所/オーストラリアの時計店
●購入時の金額/日本円で約270万円
ダイヤルと同色の逆回転防止ベゼルはファッショナブルなだけではなく、耐蝕性と耐傷性も高い。300 m防水のタフさも魅力だ。
「ホワイトゴールドとステンレススティールには大きな違いがあります。身につけたときの重さだけでなく、ブレスの色はその価値を直感的に伝えるので、ホワイトゴールドの時計は慎重に扱うようになりました」
ROLEX[ロレックス]
オイスター パーペチュアル サブマリーナー(右)
〈ロレックス〉の数あるモデルのなかでも、人気と希少性の高さから、主に外国人ファンの間で“ハルク”というニックネームで呼ばれているグリーンダイヤル&ベゼルのRef. 116610 LV。ユニークなニックネームの由来は、アメコミに登場するキャラクター“超人ハルク”。ブレスレットの長さは最大2㎝の微調整が可能で、実用性の高さも兼ね備える。
オイスター パーペチュアル サブマリーナー(中)
右の“ハルク”と同様、〈ロレックス〉ファンの間から、ニックネームで呼ばれ、憧憬を集めている、通称“スナーフ”、Ref. 116619 LB。これはサブマリーナーで初となる、ホワイトゴール
ドを採用したモデルで、全世界的に入手困難な状況が続いている。爽やかなブルーのダイヤル&ベゼルと、リッチなホワイトゴールドのバランスが最高にクールな1本だ。
オイスター パーペチュアル シードゥエラー(左)
1971年に誕生した本格ダイバーズウォッチの3代めモデルとなるRef. 16600。これはミヒャエルにとって記念すべきはじめてのラグジュアリー時計で、2001年に購入したもの。最大の特徴は自動的にヘリウムガスを排出するヘリウムガスエスケープバブル。現在はモデルチェンジを果たした後継機が入手可能だが、生産終了となったこのモデルの人気は依然高い。
サブマリーナーを素材、色違いで2本、そしてシードゥエラー。取材当日持参した3本だけでも、ファン垂涎、圧巻の〈ロレックス〉コレクションだが、ほかにもGMTマスターⅡ、通称“ペプシ”も所有しているミヒャエル。そう、彼にとって〈ロレックス〉は特別な存在のブランドだ。しかし、コレクションしたい、する、しているという意識は希薄。彼が彼の人生を歩んできた過程で出合い、一度手に入れたら大切に愛用し、手放すことはないため、自然と集まってしまったというのが実情だ。
「私は時計を買うとき、下取りに出さず保管しています。手放すことは考えたことがありません。多くの人が腕時計の中古相場を注視していることは知っていますが、私は興味がないんですよ」
時計やクルマは使って、乗ってナンボ。常に実用性を考えているところにミヒャエルの、いかにもドイツ人らしい気質を感じる。そして彼はすべての時計に、同じ質量の愛情と愛着を持っている。
「一般的な家庭環境に生まれ育った私にとって、〈ロレックス〉は手の届かない存在でしたが、そのブランドの哲学とデザインに魅了されていました。しかし、大学を卒業し、コンサルティング会社に就職したことで、私の夢は実現に近づいたのです。はじめて担当したプロモーションが成功し、その報酬を受け取った私はチューリッヒに向かい、最初の〈ロレックス〉となるシードゥエラーを購入しました。今から約20年前のことです」
自身はダイビングを嗜むわけではないが、1200m防水というスペックと、ヘリウムエスケープバルブのタフな機構に魅せられたという。
「私はこの時計のスポーティさとエレガンス、その両面が好きです。プライベートでもビジネスシーンでも身につけることができて購入してから約20年間、ほぼ毎日つけていましたね。手首にこのシードゥエラーがあるとき、私は幸福に包まれていました」
運命のシードゥエラーに満たされ、長年にわたり蜜月を続けてきたミヒャエルだったが、2017年、赴任先のオーストラリアで、これら2本のサブマリーナーと巡り合った。ステンレススティールにグリーンダイヤルの、通称“ハルク”、そしてホワイゴールドにブルーダイヤルの“スマーフ”。いずれもニックネームがつけられるほど人気が高く、当時も入手困難だったモデルだ。
「これらの2本のうち、どちらを買うべきか、私にはなかなか決められませんでした。そんな私に担当セールスは“両方買うべきだ”という面白い提案を持ち掛け(笑)、私のためにウェイティングリストを調整してくれたのです。最終的に私はこの2本のサブマリーナーと、別にさらにもう1本、合計3本の腕時計を同時に購入しました。私がこれらを手に入れるためには、妻にデイトジャストをプレゼントする必要があったからです。人生にはお金がかかります(笑)」
オーストラリアから日本に戻ってきてからの3年間、ミヒャエルはこの希少性の高い“ハルク”や“スマーフ”をつけている人とまだ、出会っていない。
「ラグジュアリーブランドを所持することはそれだけで気持ちのいいことですが、他人と被らないことは私に特別感を与えてくれます。この2本のサブマリーナーのインパクトは絶大。一見、目立ちすぎるように映るかもしれませんが、オンオフどちらのスタイルにおいても、着こなしのアクセントとして完璧に調和しています。私は47歳になりますが、まだまだ若い着こなしは大事でしょう?」
2018年、赴任先のオーストラリアから再び日本に戻り、アルピナ社日本総代理店のニコル・オートモビルズ合同会社で現職に就いたミヒャエル。それには“運命”を感じずにはいられなかったと当時を振り返る。
「なぜなら、コーポレートカラーであるブルーとグリーンは、入社の直前に私が購入した2本のサブマリーナーと同じ色だったからです」
アルピナブルーとアルピナグリーンはアルピナ車の専用色、そして日本でも人気のボディカラーだ。
「購入当時は無意識でしたが、直感的に自分の将来のポジションを感じ取っていたのかもしれませんね。みなさんも時計を購入する際には複雑に検討したりせず、ご自身の直感に従うことを、自身の体験からおすすめします」
彼にとって大事なのは、自分にフィットするかどうか? そのデザインに夢中になれるか? その2点だ。
「私は買った時計をできるだけ毎日身につけたいと思っています。だからこそ時計は私のキャラクターや着こなしにフィットする必要があります。プライベートだけでなく、ビジネススタイルにも」
アルピナとドイツの自動車文化を日本へ
BMWをベースに、スポーティでラグジュアリーなハイエンドモデルを生産する、ドイツで最も小さな自動車メーカー〈アルピナ〉。ニコル・オートモビルズ合同会社は、1979年から一貫して日本に輸入しているアルピナ車の販売を手掛けている。ショールームは青山と世田谷。2010年には他社に先駆けて、日本市場にディーゼルモデルを投入。アルピナ車だけではなく、ドイツの自動車文化を日本に届ける企業としても有名。累計販売台数は5000台を超える。
雑誌『Safari』12月号 P252~253掲載
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photo : Koki Marueki(BOIL) text : Kayo Okamura