●今月のビジネスセレブ
アドビ・ジャパン 代表取締役社長
ジェームズ・マクリディ[James McCready]
Profile
マサチューセッツ州ベントリー大学で経営学の理学士号を取得。1991年から1997年までメジャーリーグ・NYメッツなどにピッチャーとして在籍。引退後はビジネスの世界に入り、20年以上、EMC(現Dell EMC)でアメリカとアジアにおけるエンタープライズセールスとマネジメントを経験。2012年にはEMC JapanのCOOに就任。2018年から現職。
ロレックス
オイスター パーペチュアル デイトジャスト 36
●愛用歴/約5年
●購入場所/銀座の時計店
●購入時の金額/約250万円
3時位置の小窓で日付を表示する、〈ロレックス〉のクラシックウォッチの典型。シンプルなデザインが、時計本来の美を再認識させる。
「一番好きなカラーがブルーなので、この文字盤の美しいブルーの色みです。インデックスがダイヤモンドなのですが、ホワイトゴールドとのコンビということもあって、ギラギラと派手にならず、あくまでも上品なところも気に入っています」
ROLEX[ロレックス]
オイスター パーペチュアル デイトジャスト 36〈上〉
SS×イエローゴールドのコンビで華やかな印象ながら、3連のオイスターブレスレットのカジュアル感によって華美になりすぎない好バランス。シンプルなホワイト文字盤にイエローゴールドのローマ数字インデックスが映える。入手してから20年の歳月を経てもなお、褪せない不朽のデザインと堅牢さは、真の“名品”と呼ぶにふさわしい
オイスター パーペチュアル デイトジャスト 36〈下〉
ジェームズにとって2本めとなる〈ロレックス〉は、SS×ホワイトゴールドベゼルのコンビ。フルーテッドベゼルとジュビリーブレスレットによってエレガントな印象が強まる。あざやかなブルーの文字盤にインデックスのダイヤモンドが際立ち、ラグジュアリーな雰囲気が加速。
「メジャーリーガーから社長になった男」――ジム(ジェームス・マクリディの愛称)にはこんな枕詞がつく。大学卒業後あのNYメッツに入団し、約6年間ピッチャーとして活躍した。
「ケガのためにプロ野球選手を引退してから、私のビジネスマンとしての人生がはじまりました。野球選手からIT企業のビジネスマンというのは、我ながら結構ユニークな経歴だと思います(笑)」
引退後進んだのはIT関連の企業。
「学生時代の友人たちから、エキサイティングだし、革新的だとすすめられてこの道を選びました。また、ITのキャリアを積めば、世界のいろいろなところへ行けるかもしれないと、そんな夢を抱かせてくれたのがこのITという分野だったんです」
ビジネスの世界でも才覚を現したジム。ひとつめの〈ロレックス〉は、彼のセールスの売り上げに対する褒賞として、なんと会社からプレゼントされたという。今から20年前のことだ。
「その頃は自分で買った〈モバード〉の時計を愛用していました。〈モバード〉はアメリカでとても人気があり、兄が使っていたこともあって選んだのですが、実はその時点から〈ロレックス〉に憧れていたので、いただいたときは本当に嬉しかったですね。思えば幼い頃、祖父がつけていた時計をよく触らせて貰っていて、いい時計というのは、かっこいい大人の象徴として無意識に刻まれていたのかもしれません」
2本めは、5年前に、結婚15周年の記念として妻からプレゼントされたもの。
「プレゼントされる前に、一緒に時計店に行ってみたりしていたのですが、そのときの私のリアクションから、このブルーの文字盤の〈ロレックス〉というベストなチョイスをしてくれたんだと思います。でも実は、当初、妻は“また時計がいいの?”という感じで乗り気ではなかったんです。“もうあるじゃない”と(笑)。でも、私たちには息子がふたりいるので、いつか1本ずつ息子たちに引き継ぐためにという理由で、納得してもらいました」
プレゼントにしても、ジムの希望を反映した2本めの時計も〈ロレックス〉。しかも、文字盤の色や素材、ブレスレットやベゼルの意匠こそ違えど、同じモデルの“オイスター パーペチュアル デイトジャスト 36”。数多あるラグジュアリーウォッチブランドの中でも、ジムにとって〈ロレックス〉は特別な存在なのだろう。
「幼い頃、父とよくゴルフを観戦していたのですが、当時、グローバルなトーナメントではスポンサーが〈ロレックス〉ということが多かったんです。有名なゴルファーたちにも愛用者が多いですし、〈ロレックス〉というのは、エクセレンスを示す腕時計だというイメージが子供心に刻まれていたのでしょうね」
そして今、企業のトップとして、その“エクセレンスを示す時計”2本を気分によって使い分けている。
「どちらも、スーツにも合いますし、休日のカジュアルにもマッチします。私は趣味のゴルフをするときにも、これらの時計を愛用しています。長年愛用してみて実感しているのが、時代を経ても決して褪せないデザインの完成度の高さ。もちろん飽きることもありません」
2本の〈ロレックス〉とともに刻んできたジムの人生。その時間の過ごし方は、新型コロナウイルス感染拡大前と現在とでは当然大きく変化した。
「日本だけではなく世界的に今、在宅勤務が多くなりましたが、むしろ働いている時間が増えすぎているかもしれない。この環境下においては、自身を含め、ワークライフバランスを注意深く見ていかなければいけませんね。一方プラス面もあります。私の場合はふたりの息子たちと妻と、一緒に過ごす時間が増えたことです。あっという間に彼らは巣立っていってしまうでしょうから、これはとても貴重な時間であり、今の私にとっては至福の時間です」
多くの人間がついネガティブな思考に陥ってしまいがちな昨今だが、ジムは至って前向きだ。自らの人生をドラマチックに綴り、数々の成功と幸福を手中に収めた秘訣は、もしかしたらそこにあるのかもしれない。
「これまで結構大きな失敗をしたことも、もちろんありましたよ(笑)。でも、その失敗からなにかを学んで前に進んでいくこと。たとえばある一日が最悪だったとしても、明日はいい一日だと思える。そんな楽観的な考え方は、スポーツで身についたのかもしれません。大変なときがあっても、その後必ずいいときが来るということを知っています。私自身は、いいチームの一員になりたいという気持ちがとても強いです。また、チームのみんなから信頼される自分でありたいとも。あまり強くないチームの素晴らしいプレイヤーであるよりは、素晴らしいチームの中の一員でありたい。それはスポーツでも会社でも」
クラウドサービスで優れた顧客体験を実現「世界を変えるデジタル体験を」をミッションに掲げる企業。世界のクリエイターの9割以上が利用する総合クリエイティブプラットフォームAdobe Creative Cloud、ドキュメント関連プラットフォームAdobe Document Cloud、包括的な顧客体験マネジメントを推進するAdobe Experience Cloudという3つのクラウドサービスにより、優れた顧客体験を実現。また日本法人は2020年6月、社名を“アドビ システムズ”から“アドビ”に変更。それにともない企業ロゴも一新した。
雑誌『Safari』9月号 P172~173掲載
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photo : Tomoo Syoju text : Kayo Okamura