ラベルヴィー 代表取締役――アラン・スラス
様々なビジネスを手掛け、ワールドワイドに活躍している経営者であるアラン・スラスが現在愛用している時計は〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉のオーヴァーシーズ・デュアルタイム。
- SERIES:
- ビジネスセレブの「時を紡いで」 vol.09
●今月のビジネスセレブ
ラベルヴィー 代表取締役
アラン・スラス[Alain Soulas]
Profile
1962年、フランス生まれ。パリ・ソルボンヌ大学経済学修士課程修了、経営学MBA取得。2002年にイベント企画会社エモーションを共同で創業。2018年にはフラッシュセールサイトを運営するギルト・グループの代表取締役に就任。2019年1月より社名変更し、現在に至る。
ヴァシュロン・コンスタンタン
オーヴァーシーズ・デュアルタイム
●愛用歴/約1年
●購入場所/銀座のヴァシュロン・コンスタンタン ブティック
●購入時の金額/ 250万円くらい
2018年に発表された比較的新しいモデルのため、現在も銀座の直営ブティックや百貨店、時計専門店等で入手することが可能。
「ラグジュアリーウォッチには珍しく、付属のアリゲーターストラップやラバーストラップに付け替えられるインターチェンジャブル仕様。本当に簡単に着脱ができるので、気軽に様々な表情を楽しめるのは、この時計の大きな魅力だと思います」
ヴァシュロン・コンスタンタン[VACHERON CONSTANTIN]
オーヴァーシーズ・デュアルタイム
世界最古の歴史を誇る名門〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉のコレクション中、唯一ステンレススティール素材のモデルを展開するラグジュアリー・スポーツウォッチ。なかでもこのデュアルタイムは、コレクションのテーマ「旅と発見」を体現する人気のモデル。ブレスレット、ストラップを自分で簡単に付け替えることができるインターチェンジャブルで様々な表情が楽しめる。
ステンレススチールという、本来カジュアルな素材のケースとブレスレットながら、名門の技術力を感じる仕上げの美しさによってエレガントな表情も併せ持つ。この時計を入手してまだ1年あまりということなので、それは当然かもしれないが、傷ひとつない、まるで新品のような状態。彼がとても大切に取り扱っていることが窺われる。
「とても気に入って買ったものですが、私自身、毎日腕時計をしなくては落ち着かないというタイプではないんです(笑)。ファッションやその日の予定、気分によって、使うのは週に1〜2回でしょうか」
実はアランにとって、これは人生で2本めの〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉だ。まだ14 歳の頃、父親が愛用していたものを譲り受けたという。
「当時は時計の、そしてブランドの価値を深く理解していたわけではありませんが、大人に近づいたような気がして、とても嬉しかったことを憶えています。そう、それは私にとって生まれてはじめて手にした自分の時計でもありました」
しかしなんと! その大切な腕時計は紛失してしまったという。
「しかし、縁というのは不思議なもので、歳月を経て、私が経営しているイベントを手掛ける会社で、しばしば〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉とお付き合いさせていただくようになったんです」
父親から譲り受けたヴァシュロンの、苦い思い出は封印。
「懐かしい友達に再会したような気持ちですよね。それから、このブランドをさらに身近に感じるようになったとともに、〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉というマニュファクチュールの歴史やフィロソフィーを深く知る機会にも恵まれて、次に自分で買うとしたらこのブランドしかないと思うようになりました」
クラシカルなパトリモニー、モダンでエレガントな雰囲気のフィフティー・シックス、ブランドを象徴するマルタなど、個性が異なる様々なコレクションを擁するこの名門ブランドの中から、このオーヴァーシーズを選んだ理由は?
「これはもう、理屈ではなく、パッと見た瞬間に“これだ!”とひらめきました。まさにひと目惚れでしたね。私は頻繁に出張しますし、日常的に海外とコンタクトを取っていますので、デュアルタイム搭載のこのモデルを選びました」
多岐にわたってビジネスを展開する経営者にとっても、この時計は決して安い買い物ではない。しかし実際手にして、使っていくにつれ、プライス以上の価値があると痛感すると言う。
「〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉の、正統派、クラシカルな名門というイメージと、非常に高いクオリティのムーブメント。それでいながら見せびらかすような、いかにもギラギラした感じではない――そんな洗練されたバランスはさすがですね。また、私はセーリングが趣味で、自分の船も持っているのですが、この時計からは海や旅への憧憬、冒険心を掻き立てるようなエモーションが感じられ、つけているととても気分を高揚させてくれるんです。時刻を知るためなら、スマホでことは足ります。なので、男性にとって主張できるファッションのひとつであると同時に、つけていて楽しい、嬉しいというこの感覚こそが腕時計をつける意味だと私は思います」
この時計を入手した後、自分の船で大西洋横断を敢行したという。
「セーリングは“自由”をシンボライズするところがあるスポーツ。それに憧れてはじめて、今では私の人生に欠かせないものになりました。大西洋横断の旅も、とても素晴らしい経験になりましたね。もちろん、この時計も私と一緒に冒険した――と申したいのですが、陸で留守番を頼みました(笑)。スポーティな時計ではあるけれど、セーリングするための時計ではありませんし、また父から譲り受けた時計と同じ悲劇を繰り返したくなかったので」
そんな彼は、もし次に時計を買うとしても、〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉にするとキッパリと言い切る。
「スイスには高級時計ブランドはたくさんありますが、〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉は私にとって特別な存在なんです。私はいわゆる時計のコレクターではなく、まだこの時計を買ってから時間がたっていないので、すぐにというわけではありませんが。そしていつかは私の会社でも取り扱わせていただけるようになったらいいなとぼんやり夢見ていますけれど、現実的にそれはなかなか難しいかもしれませんね(笑)」
次の1本を手に入れたら、この時計は自身の息子に受け継ぐのだろうか――かつてのファザー・スラスのように。
「それはしません。自分で働いて買いなさいと言います。私のようになくされたら悲しいですしね(笑)」
Company Information
高感度な大人が集うフラッシュセールサイト
アランが代表取締役を務めるラベルヴィーが手掛ける、会員制のフラッシュセールサイト〈ギルト〉。毎晩21時から時間限定で、国内外の有名ブランドのアパレルや雑貨から、厳選のグルメ、ビューティの体験プランまで、多種多様な商品が優待価格で登場する。NYを中心に、アメリカで一大旋風を巻き起こしたライブ感のあるフラッシュセール。ほかでは見られないラグジュアリーブランドがオフプライスで手に入ることで高感度な大人を中心に支持されている。
雑誌『Safari』12月号 P324・325掲載
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photo : Tomoo Syoju(BOIL) text : Kayo Okamura