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2023.07.24


【大橋海人】伝説的大会での優勝がフリーサーファーへの道筋に!

国内外のコンテストで結果を残し続けてきた実績を誇り、海外のサーフメディアからはスタイリッシュなサーファーとして脚光を浴びている大橋海人。日本を代表するフリーサーファーが、原点ともいえる大会を語ってくれた。

KAITO OHASHI
TURNING POINT
【大橋海人】伝説的大会での優勝がフリーサーファーへの道筋に!2013年9月23日
イナムラサーフィン
クラシック                  

サーフィンの魅力を
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10代から日本サーフィン界のトッププロとして活躍し、現在はフリーサーファーとしての活動に軸足を置いている大橋海人。世界に羽ばたく若手サーファーの育成を目指すオンライン活用型コンテストを運営し、オリジナルのサーフィン動画を海外に向けて発信するなど、新しいアクションが注目を集めている、日本サーフィン界のキーパーソンの1人だ。

そんな大橋がサーファーとしての分岐点として語ってくれたのは、2013年に湘南・稲村ヶ崎で開催された“イナムラサーフィンクラシック”だ。この大会は、台風が多く発生する夏から初秋にかけて波を待つウェイティング期間を設定し、期間中に大会にふさわしいビッグウェイブがこなければ開催されない伝説的なコンテスト。1989年の第3回大会以来、24年ぶりの開催となったこの大会に、36名の招待選手の1人として出場したのが当時21歳の大橋だった。

「大会の2年前に他界した父が招待選手で、親子で招待されたこともあったので大会の存在自体は知っていました。当初は出場すること自体に特別な思いはなかったのですが、いざ決意して会場に行ったら、稲村ヶ崎の海岸が朝からすごい人だかりで。テレビも来ていたし、ギャラリーは3000人くらいいたと思います。その雰囲気を見て『この大会、ヤバくね!?』って気分が一気に上がりました(笑)」

台風20号からのうねりが生み出す頭からオーバーヘッドのサイズの波に、JPSA(日本プロサーフィン連盟)の上位選手や稲村ローカルと挑んだ大橋は、セミファイナルまで順調に駒を進め、4名のファイナリストとして決勝に進出。辛抱強く勝負どころの波を待ち、後半に調子を掴んだ大橋は得意とするカーヴィングを連発し、優勝を勝ち取って見せた。

「特別な大会で優勝できて本当に嬉しかったし、父も喜んでくれたと思います。普段のコンテストではありえないくらい注目を集めた大会でもあったので、この優勝がきっかけでサーフィン業界以外のところでも注目してもらえるようになったのは当時の僕には大きな出来事でした」

優勝し、祝福を受けたことは最高の体験だったが、会場入りしたときの出来事も忘れられないことだったという。

「朝一番のヒート(試合)に出場することになっていたのですが、いつもの感覚で家から稲村ヶ崎に向かったら道路がものすごい渋滞でクルマが全然動かなかったんです。それで現場に電話をかけたら、自分以外の選手はもう海に入っているよっていわれて。結局試合がスタートする直前ギリギリで会場に到着して、練習とかはいっさいなしでやるしかなくて(笑)。ただ、それでも駐車場から波の感じをパッと見て直感的にフィンを変えました。ちょっとフレックスする柔らかいフィンに変えたのですが、それがバチッとハマりしました。まわりの人には、なにやってんの、早く海に行きなよっていわれていましたが(笑)。フィンって日本ではあまり変えない人が多くて、当時もかなり珍しかったのですが、自分は昔から使い分けが重要だと思っていて。当時からちょこちょこ変えていたんです。それがこの大会でも当たってフィンの重要性を再認識できたし、自分の直感的な判断が武器になるということも身をもって知ることができた。ただ、みんなにめちゃめちゃいわれました。遅刻してきて全部持っていっちゃうなんてズルすぎるって(笑)」

サーファーに限らず、一般のギャラリーを含めた多くの人が観戦してくれた大会だったことも特別だったという。

「たくさんの人が観戦してくれて、海から上がってきたら拍手をしてくれたり、ハイタッチをしてくれたりしたのですが、人に見てもらう嬉しさってこういうことなのかって思いました。なんというか、スポーツをやっているなっていう気持ちになれた。あの体験があったからこそ、サーフィンをもっともっと多くの人たちに見てもらいたいと思うようになったし、今サーフィンを映像で発信していることもそれがきっかけになった部分が大きい」

実はこの大会でも、専属カメラマンに映像を撮影してもらっていたという。

「当時からフリーサーフィンで自分を発信していこうと考えていました。ただ、最初からそれではまわりが認めてくれないので大会で結果を出してからシフトすることにしたんです。今、日本でもようやくフリーサーフィンのステイタスが少しずつ高まってきた。10代の頃から、海外の権威あるアワードで優勝できるような映像を撮ることが夢でした。フリーサーフィンに専念できるようになった今こそ、そこを目指したいですね」

【大橋海人】伝説的大会での優勝がフリーサーファーへの道筋に!フリーサーファー
大橋海人
KAITO OHASHI
1992年、神奈川県生まれ。17歳でプロサーファーとなり、2015年にWSL日本チャンピオンに輝く。現在は、サーフィンコンテスト『ノットオンラインコンテスト』の代表理事を務め、サーフギアブランド〈ローディッシュ ビヘイビア〉を手掛けるなど多方面で活躍中。

TAMURA'S NEW WORK
ワールド・ベースボール・クラシック 2023
【大橋海人】伝説的大会での優勝がフリーサーファーへの道筋に!「まだ出場選手が決定していない準備段階から、様々な制約がある中で描いたこともいい思い出です。僕自身、バスケをはじめる前の小学校の6年間は野球少年だったので、侍ジャパンが世界と戦う大会で自分の作品が公開されることが本当に光栄でした」

描いたことで自分も勇気づけられた作品

今回紹介するのは、“ワールド・ベースボール・クラシック 2023”で躍動した選手たちを、田村特有の迫力あるタッチで描いた作品。開催前から大会のメインビジュアルとして交通機関などで公開され、一次ラウンドの熱戦が繰り広げられた球場でも注目を集めた。

「僕の作品はSNSをはじめとしたオンラインを活用することが多いのですが、この作品は球場などのオフラインの場での公開がメインだったので新鮮でした」

開催前から大会を盛り上げるための作品でもあったが、嬉しい出来事があった。

「当初は作品を手掛けたことを告知していなかったのですが、空港でこの作品を見た方がもしかして僕が描いた作品じゃないかと聞いてきてくれて。1秒か2秒くらいしか見られない公共の場で目にとまってくれたことが嬉しかったですし、アーティストとして作風で認知してもらえるところまでこれた。そう思ったら、もっと頑張ろうという気持ちになれました」

<img src=アーティスト
田村 大
DAI TAMURA
1983年、東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会であるISCAカリカチュア世界大会で、総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のフォロワーは10万人以上。その中にはNBA選手も名を連ねる。Instagram:@dai.tamura

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Information

雑誌『Safari』8月号 P214~216掲載

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イラスト=田村 大 文=遠藤 匠
illustration : Dai Tamura text : Takumi Endo photo by AFLO
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