〈リストランテ クロディーノ〉の“カチョ・エ・ペペ”
東京・銀座を拠点に、上海、ハワイ、LA、NYなど世界5都市に9店舗を構える〈銀座おのでら〉。その全店を統括するのが坂上暁史総料理長だ。グローバルな舞台で活躍する坂上総料理長が推す店を、一皿とともに紹介。
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- 注目シェフが教える感動の「名店メニュー」 vol.34
フェットチーネ
カチョ・エ・ペペ
(2200円~)
“カチョ”は“チーズ”、“ペペ”は“胡椒”を意味するイタリア語で、名のとおり、胡椒とチーズで作るシンプルなパスタ。手打ちのフェットチーネを使って、ブイヨンやバターを加え、贅沢な味に仕上げたリストランテ仕様。
〈鮨 銀座おのでら総本店・本店〉坂上暁史総料理長
銀座から世界へ日本の食文化を伝える
世界で6店舗の寿司店に加え、天ぷら、薪焼きなど様々なジャンルを通じ、和の食文化を世界に伝える〈銀座おのでら〉の総本山。江戸前鮨の伝統に根ざす技法と、洗練されたしつらえで、東京・銀座から日本の食文化を発信。世界中の食べ手を魅了している。
住所:東京都中央区銀座5-14-14サンリット 銀座ビルⅢ B1・2F 営業時間:11:00~15:00、17:00~22:00(最終入店20:30、土・日・祝15:00~) 無休 TEL:03-6853-8878
寿司に通じるごまかしのきかない仕事
北海道・札幌の名店〈すし善〉で腕を磨いた坂上暁史総料理長。当時から休みのたびに上京し、気になる店に足を運んでいたそう。そんな坂上総料理長曰く「外食はご縁の賜物」。
「札幌時代は、東京などから来店されるお客様にたくさんの店を教えていただいた。上京後は、市場の仲買人の方々にご紹介いただくことも。生産者と料理人を繋ぐ仲買人は、厳しい目を持った食のプロ。だから情報に信頼が置けます」
丸山孝一シェフとも、築地(現豊洲)のマグロ卸業者を介し出会ったそう。
「食材選びから妥協がない、職人肌のシェフ。食事に伺うたびに発見があります」
そう話す坂上総料理長が〈リストランテ クロディーノ〉で必ずオーダーするのが“カチョ・エ・ペペ”。
「カジュアルなメニューだけれど、リストランテの仕事が落とし込まれている。シンプルなだけにごまかしのきかない味は、寿司にも通じると感じます」
料理人の腕が試されるベーシックな一皿
坂上暁史総料理長の言葉を受け、「ジャンルは違えど、自分こそたくさんの刺激を受けている」と話す丸山孝一シェフ。とりわけ魚の扱いに関しては学ぶことが多いのだとか。
「たとえば、イタリア料理ではあまり使わないいくらも、坂上総料理長に触発され、仕込みを学んだ食材のひとつです」
その坂上総料理長がリピートするカチョ・エ・ペペは、店の開業時からの定番。
「ベーシックな一皿を美味しいと感じていただけたら、お客様との信頼関係も築けるかなと考え、お出ししています」
ただし乾麺ではなく、手打ちのフェットチーネで作る豪華版。チーズ、黒胡椒に加え、鶏の出汁、バターも加えて、香り高く重層的な味わいに仕上げる。素材はバージョンアップしても、「大切なことは同じです」と話す丸山シェフ。
「味の決め手は、乳化。水分と油脂分が溶け合った味です。基本中の基本ですが、精度に料理人の技術が表れると思います」
Check1 強火で一気に乳化パスタの茹で上がりに合わせて、ブイヨン、バター、チーズを熱し、パスタを加えたら強火で手早く一気に乳化させる。すべての旨味が溶け込んだ三位一体の美味しさが味の着地点
Check2 チーズは削りたて上質な牛乳製チーズ、ロディジャーノを使用。シュレッドタイプ(粉チーズ)ではなく、削りたてをたっぷりと使うことで、より深みのあるリッチな味わいに仕上げることができる
ristorante KURODINO
フィレンツェの名門〈エノテカ・ピンキオーリ〉で修業し、〈エノテカ・ピンキオーリ東京〉の開業から20年間シェフソムリエを務めた黒田敬介オーナーが、2011年に開業。東京店でスーシェフを務めた丸山孝一シェフが厨房を預かる。メニューに並ぶのは、イタリア各地の伝統料理への敬意と、旬の上質な食材から受ける閃きが感じられるもの。食材の組み合わせやソースのバランスを追求し、精巧かつ華やかで、香り高い一皿に。トップソムリエがサービスするワインと合わせ、リストランテならではの食体験が得られる。
上質で落ち着いた空間
“秋鮭のソテー ほおずきとイクラ”。香り高いバターソースで。メニュー スタジオーネ1万5000円からの一皿
個室も備える
〈エノテカ・ピンキオーリ〉本店で修業経験のある丸山シェフ
●リストランテ クロディーノ
住所:東京都中央区銀座3-4-17 オプティカ銀座6F
営業時間:11:30~14:00LO(金曜・土曜・祝日)、 18:00~21:30LO
定休日:日曜、第1・第3月曜
TEL:03-5579-9815
雑誌『Safari』1月号 P206~207掲載
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photo : Jiro Otani text : Kei Sasak