新たな鮨体験ができる! 〈飯倉〉で江戸前鮨の伝統を再解釈、そして味わう
2024年3月13日の開業から1周年を迎えた〈ジャヌ東京〉。アマングループの世界初の姉妹ブランドホテルとして話題をさらい、今では麻布台ヒルズのランドマークとなっている。美食スポットとしても認知されていて、〈飯倉〉(いいぐら)では極上の鮨が味わえる。
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大将の篠原邦宏さん
大将を務めるのは篠原邦宏さん。国内外で豊富な修業経験をもち、自身で鮨店を開いたこともある。日本料理をはじめとして、イタリアンや中国料理など食通としての顔ももち、江戸前鮨の伝統を再解釈して新たな鮨体験を提供。
篠原さんの紡ぐ鮨を存分に味わえるのが、“おまかせ縁”(3万6000円)。おすすめのつまみ7品にはじまって、鮨9貫、巻物、玉子、留椀、水菓子という、大満足の流れになっている。季節によって変わるので取材時のメニューについて紹介。
最初のつまみは鱈の白子である“雲子”。磯辺和えに仕上げてあり、ポン酢餡の酸味が心地よい緊張感を与える。刺身は2種類。皮目を炙り、黄柚子の柚子胡椒をのせた鰆は、ふくよかな上味でフレッシュで刺激的な香りをまとう。初鰹は、脂がのった腹と旨味に満たされた背の部位を食べ比べできるという、趣ある提案。
鮑の手巻き寿司
鮑料理は篠原さんのシグネチャーのひとつ。最初に、昆布出汁で割った鮑の出汁と蒸し鮑と肝のソースを同時に提供。鮑の滋味が身体に存分に染み渡る。次に出されるのが、定番となっている鮑の手巻寿司。かめ壷で熟成された鹿児島県霧島市の玄米黒酢を使った黒シャリに、黒トリュフの香りを忍ばせ、蒸し鮑と2つの“隠し食材”を入れ、海苔で巻いた。異なるテクスチャーと個性的な味わい、様々な幽香が一体となって、ほかでは体験できない一品に仕上がっている!
河豚のしゃぶしゃぶ
河豚鍋をイメージしたお椀が“締めのつまみ”。厚めに切った河豚のしゃぶしゃぶに河豚のアラの出汁、蕪、芹、柚子を合わせた。慎み深い味わいが感慨深く、赤唐辛子をすりおろして塩漬けにした“赤おろし”を加えると味変になる。
“鮪3種”
握りは、シュッとして食べやすいフォルムで、シャリは個性を出すために差別化した篠原さんのオリジナル。熟成年数や酸度を指定した前述の玄米黒酢をベースにし、2種類の赤酢をブレンドした黒シャリと、食べ疲れしないように白酢をつかった白シャリを、ネタによって使いわけている。ガリは北海道の新生姜で、水抜きしてから甘酢に漬けているので、フレッシュさと濃さが違う。
“小肌”
“小肌”は光り物が好きな篠原さんの得意ネタ。旨味が深まった小肌に、卵黄と酢を混ぜてつくった“黄身酢おぼろ”が、さらに味わいをリッチにさせる。
“赤身漬け”
“中トロ”
“大トロ”
“鮪”
鮪は、4大鮪仲卸のひとつ〈樋長〉から。刃を丁寧に入れてあるので、口溶け感が半端ない。“赤身漬け”は醤油の風味とあいまって重奏的な味わい。“中トロ”はサク漬けしてあるので、まろやかでなめらかな味わいになっている。“大トロ”は炙られていて、適度に脂を落とし、食べやすい食味に。ふくいくたる燻香をまとって、食欲が刺激される。
“車海老”
“車海老”はその模様が映えるように、美しく仕上げられている。包容力のあるシャリと相まって、海老の繊細な佳味が強調される。
オリジナルの太巻きが、“飯倉巻”。いぶりがっこ、どんこしいたけ、紫蘇、醤油漬けした叩いた鮪をはじめ、7種の食材を包み込んでいて、色彩も鮮やかで、乙な味わい。
つまみにも握りにもよく合うお酒も多数用意されている。ソムリエの藤森達也さんが提供してくれる“シャンパン、ワインと日本酒おまかせペアリング5種”(90㎖ 1万4000円)は、つまみにも鮨にもマリアージュするのでイチオシ。
“テルモン レゼルヴ ブリュット”は。口当たりがなめらかで、切れのよいミネラル感があって、果実味に溢れている。クリーミーな香りとスパイスのニュアンスが長く続くので、つまみが進む。“日日 山田錦”は、食中に最適な日本酒。ほどよいガス感とミネラル感があって、きれいな旨味を内包している。デザートに合わせるとよいのが、甘口タイプの“勝山 鴒”。マスクメロンのような上品な香りが漂い、甘くてふくよかなボディがある。旨味成分も多いので、料理に合わせてみても美味しい。
カウンター席
テーブル席
店内にはカウンター6席に加えてテーブル10席があり、前者ではおまかせコースを、後者ではアラカルトもオーダーできる。約5mの高い天井に組子の壁が美しく、エントランスを入ると息を飲むような空間が広がる。カウンターは、樹齢300年にもなる檜の無垢板で、風合いが素晴らしい。
非日常的な空間の中で、賞翫できる“新しい江戸前鮨”。彼女と一緒に口福に身を委ねてみて!
●〈ジャヌ東京〉飯倉
住所:東京都港区麻布台1-2-2 ジャヌ東京2F
営業時間:11:30〜15:00 (月〜金曜14:00LO 土・日・祝日14:30LO)、17:30〜22:00 (21:00LO)
TEL:050-1809-5550 (レストラン予約9:00〜21:00)
URL:https://www.janu.com/janu-tokyo/ja/experiences/dining/
※サービス料込み
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。