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CULTURE カルチャー

2024.10.26


『スナッチ』のレイヤリング。 【アノ映画のファッションに憧れて。Vol.55】



『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)のスピード感に魅了されたブラッド・ピットが、監督のガイ・リッチーに直接出演依頼をかけ、実現したのが『スナッチ』(2000年)。しかし、ピットからの熱烈オファーを了解した時点で、彼の役がなかったことに気づいたリッチーは、急いで脚本を書き替える。そして追加されたのが、キャンピングカーで暮らす素手ボクシングのチャンプ、ミッキー役だった。兄弟たちを束ねるママのことが好き過ぎて、なぜか、話す言葉が時々辿々しくなって聞き取れず、ボクサーなのに肝心のアンガーマネジメントが出来てない。その前の『ファイト・クラブ』(1999年)でも似たような拳闘シーンを演じていたにもかかわらず、このキャラ設定を大いに気に入ったピットはノリノリで撮影に臨んだと言われる。

確かに、急遽書き加えた役にしては、ミッキー役は巨大宝石が絡んだボクシングの八百長試合の顛末を描く群像劇を終始牽引していく。出番は決して多くないのに、美しい顔と鍛え上げられたボディが血と汗と涙に染まっていく様は、ピット以外に演じる俳優なんていないと思わせるほどに。
 

  

 


役の魅力を後押しするのがコスチュームだ。ピットの熟練したレイヤリングはざらついた画面の底から一気に浮かび上がってくるようで、服好きの感性を刺激しまくる。最初の登場シーン、キャンピングカーの影から何気なく姿を現す時の、レザーのハット、薄汚れたTシャツの上にジャリジャリしたチェーンネックレス、ストライプのシャツ、その上に羽織った茶色のシェルパジャケットが、さりげなくて痺れる。外側がスウェードレザー、フェイクシアリングの裏地、ノッチカラーのこのジャケットが、映画のラスト近くで、試合を終えて血みどろになったピットの素肌を直接包み込む時、衣装選びが繊細かつ一流であることがよく分かる。
 

  

 


ほかにも、襟ボアライナーのレザージャンパーと、ピンクのストライプシャツと仕立てのいいジレ(ベスト)の組み合わせなど、目を凝らして見れば見るほど本作でピットが披露する上級コーデには魅了される。極め付けは、トレーラーの炎上シーンで見せる白いタンクにプリントのブリーフ姿じゃないだろうか!?ただ着ているだけじゃない。ピットは役柄を考慮してお風呂にもあまり入らず、服に見合った汚れた体でカメラの前に立ったことが記録として残っている。という風に、ブラッド・ピット流のメソッド演技が服を介して楽しめるのが、この『スナッチ』なのだ。

『スナッチ』
製作年/2000年 監督・脚本/ガイ・リッチー 出演/ベニチオ・デル・トロ、デニス・ファリア、ブラッド・ピット、ビニー・ジョーンズ、ジェイソン・ステイサム

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文=清藤秀人 text:Hideto Kiyoto
Photo by AFLO
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