1950年代に作られ、実は今、カーマニアの間でブームを巻き起こしているドイツの自動車メーカー、BMWの人気車種、ミニクーパー。タイトルもズバリ『ミニミニ大作戦』(2003年。原題はThe Italian Job)は、そのミニが活躍する強盗アクションだ。劇中の強盗シーンでは電動のミニクーパー2台とミニクーパーS1台を含めて、合計32台が登場。そのカラフルなボディと効率のいい動きはカーマニアでなくても楽しいし、目の保養になる。ミニはかつてイギリスの自動車メーカー、BMCが開発し、1959年から2000年までの41年間、一度もモデルチェンジすることなく製造を続けたが、イギリスの自動車産業の低迷を受けて、1994年以降はBMWに権利を譲渡している。
『ミニミニ大作戦』(1969年)
1969年に製作されたオリジナルのイギリス映画『ミニミニ大作戦』には、オースティン・ミニクーパー1275S、フィアット500F、アルファロメオジュリアTIとヨーロッパの名車が数多く登場する。さて、ここから話題はクルマから服へとシフト。1969年版で強奪チームの1人、チャーリー・クローカーを演じたマイケル・ケインが身につけるのは、1960年代後半の英国ファッションをリードしたデザイナー、ダグラス・ヘイワードによるグレーのスーツ。クルマの国籍は様々だが服はれっきとしたメイド・イン・UKで、ヘイワードの名前はオープニングクレジットにしっかり明記されている。
『ミニミニ大作戦』(2003年)
それに対して、2003年版はアメリカ映画だから服はアメカジでほぼ固められている。チャーリーを演じるマーク・ウォールーグが鍛え上げられた上半身を武器にファッションアイコンとしても破竹の勢いがあった頃だから、マークが着こなすTシャツやジャケットがクルマに負けず劣らずオシャレ好きの目を引く。例えば、チャーリーがジェイソン・ステイサム演じるチームの運転手、ハンサム・ロブとバスケを楽しむシーンでは、ステイサムが〈ロンズデール〉のTシャツで、マークは〈ナイキ〉の赤いタンクを着て自慢の上腕二頭筋を見せつけている。あの頃のマークは他の誰よりもスポーツウェアがいたについていた。普段着として自然に馴染んでいるのだ。
また、マークが羽織る黒のレザージャケットが、これまたシンプルでいい。シャツスタイルの襟、フロントジッパー、フルスリーブ、オープンヘムポケットが印象的なこのジャケットの下には、赤い開襟シャツを合わせたりして、コーデセンスも抜群なマーク・ファッションを楽しみたいなら、『ミニミニ大作戦』ハリウッド・バージョンを是非もう一度。
『ミニミニ大作戦』
製作年/2003年 監督/F・ゲイリー・グレイ 出演/マーク・ウォールバーグ、シャーリーズ・セロン、エドワード・ノートン、ジェイソン・ステイサム
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photo by AFLO