Safari Online

SEARCH

CULTURE カルチャー

2024.07.14

MLBの挑戦者たち〜メジャーリーグに挑んだ全日本人選手の足跡
Vol.20 多田野数人/七転び八起きの苦労人

【Profile】多田野数人(ただの・かずひと)/1980年4月25日生まれ、東京都出身。日米通算19勝21敗(2004〜2014年)

若い頃のたった一度の過ちにより、その後の野球人生が数奇なものになったのが多田野数人だ。高校時代から本格派右腕として注目され、立教大学に進学。春のリーグ戦で勝利を挙げるなど、1年生にしてエース格の活躍を見せる。その後も順調に成長した多田野は、大学野球屈指の好投手として、’02年のドラフト会議でも上位指名を確実視されていた。

ところが、大学卒業を前にしてスキャンダルが発覚。ドラフト会議では各球団が“故障”を理由に指名回避する事態となった。この件については、MLBに渡った後に釈明会見を開いており、日米の各球団やチームメイトからも理解を得ている。いまさらこの話を蒸し返す意味もなく、これ以上詳しく触れることはしない。

ともかく、そうした事情で日本プロ野球への道が閉ざされた多田野は、MLBの入団テストを受けることを決意。コロラド・ロッキーズ、アリゾナ・ダイヤモンドバックスからは獲得を見送られたものの、クリーブランド・インディアンズ(当時)の入団テストに合格し、マイナー契約を勝ちとる。もちろんスタートは底辺の1Aから。このあたり、同じく若くして渡米したマック鈴木の境遇とも重なるところだ。多田野は当時の様子を「毎日が必死。つねに100m走を全力で走っているような状態でした」と語っている。

スタートこそ苦労した多田野だったが、1Aから2A、2Aから3Aと、とんとん拍子に昇格を果たす。2年目の開幕を3Aで迎えると、4月にはついにメジャー昇格。マック鈴木に続き、日本プロ野球を経ずにメジャーリーガーとなった2人目の日本人となった。7月2日のシンシナティ・レッズ戦でメジャー初先発、初勝利。14試合に登板(4先発)し、1勝1敗、防御率4.65という成績だった。
 

  

 


しかし翌’05年は1試合の登板にとどまり、メジャー定着の道は遠かった。’06年4月に戦力外通告を受けると、オークランド・アスレチックスとマイナー契約を締結。2A、3Aからメジャーに挑戦し続けるも、多田野に朗報が届くことはなく、’07年オフに解雇された。

この年の11月、NPBのドラフト会議にかかり、北海道日本ハム・ファイターズから1巡目指名を受ける。プロとしてアメリカ野球の経験しかない多田野は、最初のシーズンで7つのボークを犯すなど、日本野球への適応に苦労したそうだ。「普通の日本人選手にはわからない感覚でしょう」と多田野は笑って語っている。

日本ハムには7年間在籍し、18勝20敗2ホールド。’09年には9回2アウトまでノーヒットノーランの快投を見せるも、次打者に安打を浴びて大記録はならず。それでもプロとして最初で最後の完封勝利を挙げている。ユニークな経歴だけでなく、手投げに近い独特なフォームや、球速60キロ台の超スローボールなどでも話題を集めた多田野だったが、’17年に独立リーグで現役を引退。絶望を力に変え、何度も這いあがってきた、ど根性の野球人生だった。

●Safari公式ECサイトでMLBアイテムがすぐに買える!
別注限定 MLBパイルセットアップ チームロゴ刺繍

●こちらの記事もオススメ!
Vol.1 野茂英雄/日米球界をつなぐパイオニア【前編】

Vol.5 伊良部秀輝/強烈な輝きを放った豪腕(前編)

Vol.10 イチロー/野球の見方を変えた男【前編】

Vol.11  新庄剛志/記憶に残るスタープレーヤー

Vol.16 松井秀喜/日米で愛された名スラッガー【前編】

Vol.19 高津臣吾/魔球を操る名クローザー
 

  

 

 
文=野中邦彦  text : Kunihiko Nonaka
photo by AFLO
〈アメックス〉のスモール・スポンサーシップ・パートナーズも参加!『サファリ・オープン』で特別な1日を体験!
SPONSORED
2025.12.24

〈アメックス〉のスモール・スポンサーシップ・パートナーズも参加!
『サファリ・オープン』で特別な1日を体験!

今年で3回めの開催となった、本誌『サファリ』主催のゴルフイベント『サファリ・オープン 2025』。毎年、様々なコンテンツやアクティビティでも話題となるこのコンペ。今回はさらに斬新なサービスも加わり、熱い盛り上がりを見せていた。そんな大盛況…

TAGS:   Lifestyle
知的なムードが漂う〈トム フォード アイウエア〉の新作!大人の品格を宿すクラシックな1本!
SPONSORED
2025.12.24

知的なムードが漂う〈トム フォード アイウエア〉の新作!
大人の品格を宿すクラシックな1本!

大人のコーディネートは、小物選びで“品格”が決まる。特に顔まわりの印象を左右するアイウエアは、手を抜けない重要パートだ。そこで注目したいのが〈トム フォード アイウエア〉の新作。繊細でクラシカルなフォルムが目元に知性を添え、冬スタイルを格…

TAGS:   Fashion
今、〈エドウイン〉の名作“505”が見逃せない!デニムにこだわるならメイド・イン・ジャパン!
SPONSORED
2025.12.24

今、〈エドウイン〉の名作“505”が見逃せない!
デニムにこだわるならメイド・イン・ジャパン!

タフで男らしい大人のカジュアルに欠かせないデニムは、今、王道の骨太な1本が人気。なかでも2023年に復活し、昨今のトレンドも相まって注目されている〈エドウイン〉の名作“505”が見逃せない。デニム本来の武骨な魅力やヴィンテージ感を気軽に楽…

TAGS:   Fashion Denim
クオリティにこだわった〈センテナ〉の新作アウター!今、着たいのは大人仕様のミリジャケ!
SPONSORED
2025.12.24

クオリティにこだわった〈センテナ〉の新作アウター!
今、着たいのは大人仕様のミリジャケ!

カジュアル好きの男にとって、ミリタリー系のアウターは昔から定番。とはいえ、いい年の大人になるとガチの軍モノは、マニアックすぎて少々着こなしにくいのも事実。ならば、洗練された大人仕様の1着を。〈センテナ〉のミリジャケなら武骨なデザインはその…

TAGS:   Fashion
Urban Safari CLOSE-UP BRAND フレデリック・コンスタントエレガントな時間を、手元に宿す。
SPONSORED
2025.11.28

Urban Safari CLOSE-UP BRAND フレデリック・コンスタント
エレガントな時間を、手元に宿す。

創業地“小矢部”の名を冠した〈ゴールドウイン〉のプレミアムな1着!大人のスキーウエアは上質感と快適さで選ぶ!
SPONSORED
2025.12.01

創業地“小矢部”の名を冠した〈ゴールドウイン〉のプレミアムな1着!
大人のスキーウエアは上質感と快適さで選ぶ!

1950年にはじまった〈ゴールドウイン〉のヒストリー。その新作スキーウエアコレクションの名前は、創業地にちなんだ“オヤベ”だ。歴史の深みを感じさせ、エイジレスなスタンダードデザインでありながら、機能は最新鋭。素材はもちろん、ひとつひとつの…

TAGS:   Fashion
素材感と職人技が光る〈アニアリ〉。ミニマルに洗練されたジャパンメイドのトートバッグ。
SPONSORED
2025.11.18

素材感と職人技が光る〈アニアリ〉。
ミニマルに洗練されたジャパンメイドのトートバッグ。

上質なレザーのしなやかな感触と使い勝手の良さで支持を集めている〈アニアリ〉のバッグ。ミニマルで洗練されたデザインは、装いを自然に洗練されたものへと導いてくれる。また、確かな日本の職人技に裏打ちされた使いやすさと安心感が、使うほどに深まる風…

TAGS:   Urban Safari Fashion

loading

ページトップへ