『once ダブリンの街角で』
製作年/2006年 監督・脚本/ジョン・カーニー 出演/グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロバ、ヒュー・ウォルシュ
素敵な楽曲と繊細な人間ドラマ!
ダブリンの街角で歌うストリートミュージシャンの男性と、ピアノを愛するチェコ移民の女性。ひょんなことからセッションすることになった2人は、お互いとの時間を通して惹かれ合っていくが……。のちに『はじまりのうた』や『シング・ストリート 未来へのうた』なども監督したジョン・カーニーの出世作であり、舞台ミュージカルにもなったラヴストーリー。
男と女、それぞれの心情が、彼らの演奏する音楽にのせて丁寧に紡がれていく。男にも女にも苦い過去があり、複雑な現在があり、単純なハッピーエンドが用意されているわけではないが、素敵な楽曲と繊細な人間ドラマの邂逅に心の奥をくすぐられる。
『コーダ あいのうた』
製作年/2021年 監督・脚本/シアン・ヘダー 出演/エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、マーリー・マトリン、ダニエル・デュラント
主人公一家が魅力的で愛おしい!
耳の不自由な家族の中で唯一耳が聞こえるため、家族のコミュニケーションを日々手助けしてきた女子高生ルビー。合唱クラブの顧問に歌の才能を見出された彼女は名門音楽大学への進学を希望するが、彼女の歌声が聞こえない両親からの理解を得られず……。
フランス映画『エール!』をハリウッドでリメイクし、アカデミー賞の作品賞、助演男優賞(ルビーの父親役トロイ・コッツァー)、脚色賞を受賞。夢と現実の狭間で悩む少女の健気な物語であり、ストーリーも深刻だが、ルビーとその家族が魅力的で愛おしく、ユーモラスな描写も相まって心を温められるシーンが多々。ラストにも爽やかな感動が待っている。
『天使のくれた時間』
製作年/2000年 監督/ブレット・ラトナー 脚本/デヴィッド・ダイアモンド、デヴィッド・ウェイスマン 出演/ニコラス・ケイジ、ティア・レオーニ、ドン・チードル、ジェレミー・ピベン
「もし恋人と別れなかったどんな人生だった……?」を描く!
仕事優先の人生を送るために恋人と別れたジャック。それから13年、彼はウォール街で成功し、金融会社の社長として独身生活を謳歌していた。だが、クリスマスの朝にジャックが目を覚ますと、そこは見知らぬ場所。その世界でのジャックは13年前に別れた恋人と結婚しており、2人の子供にも恵まれていた……。
『ラッシュアワー』のブレット・ラトナーがニコラス・ケイジを主演に贈るヒューマンファンタジー。名作『素晴らしき哉、人生!』にオマージュを捧げた物語が展開する中、新たな人生に戸惑う男が自分自身を見つめ直していく。ハートウォーミングなタッチが心地よく、繰り返し見るファンも多い作品。
『アバウト・タイム 〜愛おしい時間〜』
製作年/2013年 製作総指揮・監督・脚本/リチャード・カーティス 出演/ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ、トム・ホランダー、マーゴット・ロビー
ほっこりできて人生の真理も学べる!
自分に自信がなく、恋人もできずにいるティムは21歳の誕生日、自分にタイムトラベル能力があることを父親から知らされる。以来、タイムトラベルを繰り返しながら人生を好転させようとするティムはやがて魅力的な女性メアリーと出会い、彼女の愛を勝ち取るまでに至るが……。
『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督が放つ良質なロマンティックコメディ。タイムトラベルを題材にしたファンタジーではあるものの、繊細なヒューマンドラマの味わい。時間を旅する主人公の奮闘から、同じ宿命を持つ父親とのやり取りまで、ほっこりと温かい気持ちにさせられながら人生の真理を学ぶことができる。
『スリング・ブレイド』
製作年/1996年 監督・脚本・出演/ビリー・ボブ・ソーントン
中年男性と孤独な少年の交流を描く!
少年時代に母親とその浮気相手を殺害し、精神病院に入れられたカール。25年を経て故郷に戻ってきた彼は、父親のいない少年フランクと親しくなる。穏やかな日々を過ごすカールだったが、フランクの母親が恋人から暴力を振るわれていると知り、ある行動を起こすことに……。
カール役のビリー・ボブ・ソーントンが監督・脚本を務め、アカデミー賞脚色賞に輝いたヒューマンストーリー。設定も展開も苦味のあるものだが、寡黙で純粋な中年男性カールと孤独を抱える少年フランクの交流に心を温められる。だからこそやるせない気持ちにさせられるラストまで、淡々と綴られていくストーリーが心に沁み入ってくる。
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