『ストレンジャー・シングス』最終章はこうして生まれた!
【来日インタビュー】「僕らのDNA」ダファー兄弟が込めた80年代カルチャーへの想い
『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン5の配信がスタートした。10年近くにわたって人気をキープしてきたシリーズも、このシーズンでついに最終章。シーズン5の最終エピソードは、まだこれからの配信だが、当然のごとくひとつの大きなクライマックスが待ち構えている。ホーキンスの町が、いったいどんな状態になって物語を終えるのか……。
この『ストレンジャー・シングス』のアイデアを思いつき、シーズン1から製作にかかわってきたのが、マット&ロスのダファー兄弟。双子の彼らは仲の良さで知られ、これまで共同作業で作品を送り出してきた。ハリウッドでも注目の才能となった彼らが、シーズン5配信のタイミングで、メインキャストたちと一緒に来日。インタビューに応じた。
写真左から、マット・ダファー、ロス・ダファー
ーー『ストレンジャー・シングス』の楽しみは、毎回、1980年代を反映したカルチャーがフィーチャーされる点ですが、このシーズン5ではラジオ局が重要な役割を果たしていますね。
ロス「このシリーズは、つねに僕らの少年時代からインスピレーションを受けて作ってきたので、今回も幼少期へのラブレターを書くというスタンスで臨んでいるんです。そこでメディアとして、ラジオを使うことにしました。そしてこれは、配信で観てもらうシリーズなので、現代の若い世代に80年代カルチャーを“受け渡す”という使命から、このようにラジオステーションを登場させているわけです」
ーーそのカルチャーを“受け渡す”という意味で、『ストレンジャー・シングス』には必ず、あちこちに名作映画などへのオマージュが込められています。どんな基準で作品を選んでいるのでしょう。
マット「僕らはとにかく映画が大好き。たぶん映画は、DNAとして僕らの個性を形成してるんです(笑)。これまでのシーズンを作ってきた際にも“あの映画のマネをしよう”とか“オマージュを捧げよう”などと考えず、シンプルにストーリーに組み入れてきたわけですが、無意識のうちに映画や音楽、ビデオゲーム、コミックなど、これまで影響を受けた作品が反映されてきたのでしょう。たまにストーリーのポイントになる部分を考えている時、特定の映画を参考にしたり、何かの要素を具体的に取り入れたりすることもありますけど」
ーーでは今回のシーズン5で、無意識のうちに参考になった作品は?
マット「ターセム・シン監督の『ザ・セル』ですね。あとは『ホーム・アローン』や『ロストボーイ』。もちろんビデオゲームも参考にしましたし、他に何があったっけ……」
ロス「ロバート・レッドフォード主演の『スニーカーズ』も意識したよね?」
マット「そうだった!」
ーー最終話の配信はまだちょっと先の2026年1月1日ですが、現段階(このインタビューは配信スタート1週間前の11月21日に行われた)で、どれくらい完成しているのですか?
ロス「とりあえず編集までは完了しました。現在は最終エピソードの色彩や音響、視覚効果の調整が残っていて、もう少し待てば完成すると思います。あと数週間でしょうか」
マット「意外にスケジュールどおりに進んでいます。僕らにしては、珍しいですよ(笑)」
ーー80年代を舞台にしながら、現在の状況を重ねて描いている部分もありますよね。たとえばシーズン4ではコロナ禍を反映したリモートなども出てきました。そこは意識しているのですか?
マット「80年代を舞台にしていますが、僕らはアメリカ、および世界の“二面性”を描いているつもりです。アメリカの80年代はものすごく楽観的な空気が流れていて、一見みんなハッピーでした。でも一皮むくと、その中にはダークな何かが潜んでいる。『ストレンジャー・シングス』の“裏側の世界(アップサイドダウン)”は、そのように潜んだ何かを象徴していると言えます。そこから現在の世界とのリンクも見えてくるのでしょう」
ーーこれでシリーズすべての終幕を迎えるわけですが、キャストたちもシーズン5の結末に満足していると言っています。この結末は、早い段階で決まっていたのですか?
ロス「はい。今回はこれまでのシーズンと違い、“結末ありき”で、そこへどう向かうかというプロセスで脚本に向き合いました。シリーズの最終シーンがどんなかたちになるのか。そこは何年も前に、おおよそのイメージができていたので、シーズン5の脚本家チームを立ち上げた際に、結末から着手し、そこに至る流れを分析していったのです。チームとして、どのシーンをどこに配置すべきか、どういう展開にするのかを正確に把握していた感じですね。そうしないと、目的地にうまく到達できないわけで、逆に言えば、確信を共有できれば、うまく着地できるという自信がありました。あらゆるプロットや、登場人物の行動や感情のすべてが、最終シーンにつながるよう、逆算の作業をしたのは今回が初めてです」
ーーこのシーズン5は全8エピソードで、3回に分けての配信です。このスタイルになった理由を聞かせてください。
マット「全部で8エピソードになることは早い段階で決めていました。シーズン4がかなり長くなってしまったので(全9エピソード)、少しコンパクトにしたかったのです。Netflixのいいところは、各エピソードの長さを自由に設定できること。『ストレンジャー・シングス』に取りかかる前に、僕らはFOXのネットワークテレビ向けに脚本を書いたことがあるのですが、各エピソードを50分の枠に収める必要がありました。CMの時間も考慮しなければならず、創作にはストレスもたまったものです。結局、不自然なところで切ったりするわけで……。その点、『ストレンジャー・シングス』は、ストーリーのつながりを決めるうえで自由な決定権がありました。各エピソードの長さは、製作中にだいたい予想できたのです」
ロス「配信を3回に分けることも、最初から決まっていましたね。そのため、最初の配信(エピソード1〜4)のラストで、中間地点のフィナーレになるような脚本を作り上げました。そして最終の配信は2話分くらいのボリュームのエピソードにしようと、Netflixとかなり前から話し合ったのです。最終回だけ単独の配信とするアイデアは、撮影がすべて終わった後にNetflixが思いつきました。まとめて全エピソードを配信するのではなく、最終回だけは世界の人たちが同時に体験できるわけで、たしかにそのアイデアを僕らも気に入りましたね。最終回の配信日は、作品に関わった人たちにとっても特別な瞬間になると思います」
Netflixシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界 5』
11月27日(木)より独占配信中
最終シーズンとなる待望のシーズン5は、3回に分けて配信。11月26日にVol. 1 (4エピソード)、クリスマスにVol. 2 (3エピソード)、そして大晦日に最終エピソードが配信開始となる。配信時刻は各回とも米国太平洋時間午後5時 (日本時間翌日午前10時)
さらに詳しく知りたいなら12月9日(火)発売の『Fine』がおすすめ!

雑誌『Fine』(12月9日発売)は、『ストレンジャー・シングス』の丸ごと1冊特集となっている。これまで登場したキャラクターやクリーチャー、各シーズンのそれぞれの面白エピソード、コレクターたちが集めている注目グッズなどの情報が満載。
雑誌『Safari』1月号(11月25日発売)では、『ストレンジャー・シングス』のこれまでのおさらいから人気クリーチャーのまとめ、シーズン5に新たに登場するキャラクターなどを紹介している。気になる方は是非中身を見てみて。
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