「シリーズが久々の復活!」という宣伝コピーはよく目にするが、その作品を好きな人、あるいはあまり知らない人で、受け取り方も大きく変わるはず。ただ映画の作り手は、その両サイドを満足させたがってるのも事実……というわけで、この作品はそんなチャレンジにトライしつつ、誰が観ても楽しめる方向に導く見事な成功例だ。
『ゴーストバスターズ』といえば、1984年、あの主題歌とともに日本でも大ヒットを記録。5年後に続編が作られ、2016年には女性版のリプートも公開されたが、本作は物語の30年後が描かれる。母親と兄とともに、亡くなった祖父の古い屋敷に引っ越してきた12歳のフィービーが、地下室で不思議なマシンを発見。その町で30年も続いている謎の地震とも関係しているらしく、フィービーは兄や学校の友人とともに真相に迫っていく。これまでのシリーズでは、大人たちがゴーストを退治してきたが、その役回りが子供たちにシフト。その分、ヒーローとしての成長や、アドベンチャーもののノリとして素直に興奮できる。最初の2作を監督したアイヴァン・ライトマンの息子で、『マイレージ、マイライフ』などのジェイソン・ライトマン監督が作品を受け継ぎ、子供の目線で撮っているところもグッとくるのだ。
赤い円に囲まれたゴーストのマークや、有名なマシュマロマン、ゴースト退治用に背負ったプロトンパックや、バスターズの愛車など、シリーズを忘れてる人、知らない人でも親しみのあるアイテムやキャラが多数登場。しかもアナログ感を重視しているので、全編、微笑ましい気分で観ていられる。なかでもマショマロマンのシーンは、本作でも最高の記憶として残るはず! そしてフィービーのメガネとヘアスタイルから想像できるように、彼女の祖父は“あの人”。シングルマザーの母も含めて家族のドラマが軸なので、あらゆる観客が共感しやすいのもポイント。“ゴースト”が本来の意味で使われるシーンに、思わず胸が締めつけられる人も多いのでは?
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』2月4日公開
監督・脚本/ジェイソン・ライトマン 出演/マッケンナ・グレイス、フィン・ウルフハード、ポール・ラッド、キャリー・クーン 配給/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2021年/アメリカ/上映時間124分