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CULTURE カルチャー

2021.12.18


ニューヨーク ×『恋人たちの予感』

秋から冬は旅行のハイシーズン。目的地がどこであっても比較的、穏やかな気候を満喫できるからだ。そしてこの時期、最もプッシュしたいのがニューヨーク。街の美しさが最高レベルとなって旅行者を迎えてくれる。秋冬を舞台にしたNY映画の中で、その代表格が『恋人たちの予感』。NYの観光スポットが、この時期ならではの風景で彩られているので、街と季節のコラボレーションを心ゆくまで実感したい!

男女の友情は成立するのか?
『恋人たちの予感』(1989年/アメリカ映画)


【映画を巡る旅に出よう!】ニューヨーク ×『恋人たちの予感』

最も美しく彩られる街並みを見よ
ニューヨーク(ニューヨーク州/アメリカ)


【映画を巡る旅に出よう!】ニューヨーク ×『恋人たちの予感』

● 原題:When Harry Met Sally...
● 製作・監督:ロブ・ライナー
● 脚本:ノーラ・エフロン
● 出演:ビリー・クリスタル、メグ・ライアン、キャリー・フィッシャー

Story
大学を卒業したハリーとサリーは、シカゴから同じ車でNYへ向かう。ハリーの恋人がサリーの親友だったからだ。しかし初対面の2人はなにかと意見が衝突。それから5年後、彼らは空港でばったり出会い、飛行機で隣の席に座るが、またも口論。さらに5年後、NYで再会した2人は友人としてつき合い、結婚や恋の悩みを打ち明ける。

メグ・ライアンの輝き!
かつて“ロマコメ(ロマンチック・コメディ)の女王”と称されたメグ・ライアン。『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』などロマコメの代表作は多いが、その原点となったのが本作。親しみやすさとキュートさの両面を発揮する彼女の魅力は、このサリー役が最高レベル!

登場人物【映画を巡る旅に出よう!】ニューヨーク ×『恋人たちの予感』右:こだわりの強いお茶目な女性
サリー(メグ・ライアン)
ジョーという恋人と長年つき合ったが、なかなか結婚できず、思い悩んでいるときにNYでハリーと再会。独身主義だったジョーが別の女性と結婚すると知って落ち込み、ハリーに慰めてもらう。

左:皮肉屋で頭の回転が早い
ハリー(ビリー・クリスタル)
妻と離婚して落ち込んでいたとき、会うたびに険悪な関係に陥ったサリーとNYで再会。自分の友人を彼女の恋人候補として紹介したりするが、サリーのことを真剣に考えている自分に気づく。

どこかへ旅行する場合は、当然ながら“時期”も重要なポイントとなる。ただし大都会なら、一年中どんな季節でもそれなりに楽しめるのでは? 確かにLAやサンフランシスコなどアメリカ西海岸の都市は、さほど四季の変化に影響されず、年間を通して過ごしやすい。しかし東海岸は季節によって大きくその風景が変わる。NYに行ったことのある人は、その事実を実感しているだろう。ではNY旅行に最適な時期は、いつなのか。

NY通の多くが“秋から冬にかけて”と答えるのではないか。セントラルパークをはじめ、マンハッタンには意外なほど木々が多いので、それらの葉が黄色や紅に色を変え、周囲の歴史ある建物と美しい風景を完成させる。ハロウィンやサンクスギビングデー(感謝祭)のイベントでは街全体が賑わうし、早くもクリスマスのデコレーションがはじまる。NYの魅力を最大限に味わいたいなら、ピンポイントで“晩秋”を選んでほしい。

ということで、世界中の人を魅了する晩秋のNYは、映画でも最高の舞台となる。『月の輝く夜に』や『ブルックリン』のほか、『オータム・イン・ニューヨーク』などタイトルが“まんま”の作品もあるが、その多くはラブストーリー。やはり晩秋のNYにはロマンチックな物語が似合う。その中で最高の1本を挙げるなら『恋人たちの予感』だ。

1989年の公開当時、“男女の間に友情は成立するか?”というテーマが大きな話題を呼び、メグ・ライアンの人気を急上昇させた。いろいろな季節も描かれるのだが、秋のシーンがやたらと多く、NYの秋映画の代名詞になったと言っていい。改めて観ると、恋愛の価値観や男女の役割など現代までの変化も楽しめるはず。しかし変わらない事実も画面に焼きつけられている。それは晩秋のNYの美しさで、時代を超えて旅行願望を刺激する名作なのである。

【映画を巡る旅に出よう!】ニューヨーク ×『恋人たちの予感』Place 01(公園)
ワシントン・スクエア公園【映画を巡る旅に出よう!】ニューヨーク ×『恋人たちの予感』ロウワー・マンハッタンの散策で休憩する際の最適スポット。凱旋門が有名で、噴水の周りでは常にミュージシャンが演奏していたりして、NYらしい光景を味わえる。シカゴから車でNYに到着したハリーとサリーは、この公園の前で別れる。そして10年後にもう一度、重要なスポットとして登場。劇中には今はなきツインタワーも遠くに映っている。
●Washington Square Park
住所:Washington Square, New York, NY 10012

Place 02(レストラン)
カッツ・デリカテッセン【映画を巡る旅に出よう!】ニューヨーク ×『恋人たちの予感』この映画で最も有名なシーンが撮られた場所。ハリーを前に、サリーが女性のエクスタシーの瞬間を大胆に表現。それを横で見た女性(監督の母が演じた!)が“私にも彼女と同じものを”と注文してしまう。人気メニューはパストラミのサンドイッチ。特大サイズで、ライ麦パンやマスタードと絶妙な相性。自家製のピクルスとともにNYの味を楽しもう。
●Katz’s Delicatessen
住所:205 E Houston St., New York, NY 10002

世界一有名な店?
1888年創業というNYで最も古いデリカテッセンで、訪れたスターの写真も店内に飾られている人気店。映画のヒットでさらに有名となり、ハリーとサリーが座ったテーブルの上には“ここが、あの席です”というサインが吊るされているので、とりあえず入ったら空席か確認を!

Place 03(通り)
Broadway & W 96th St.【映画を巡る旅に出よう!】ニューヨーク ×『恋人たちの予感』
NYでは11月の後半になると、あちこちの店頭にモミの木が雑然と置かれはじめる。クリスマスツリー用に販売されるからだ。サリーは、ハリーと一緒にアッパーウエストサイドのこの住所の店でツリーを買って、引きずりながら運んでいく。現在、その店は1ブロック横のアムステルダム・アベニューに移り、PlantShed New York Flowersという名で営業中。マンハッタンを代表するフラワーショップで支店もある。店内にはカフェも併設されており、花や多肉植物に囲まれた明るい雰囲気で、ゆったりコーヒーを楽しめる。
住所:200 W 96th St., New York, NY 10025

Place 04(ビル)
パック・ビルディング【映画を巡る旅に出よう!】ニューヨーク ×『恋人たちの予感』ソーホーから少し北のノリータ地区にあるこのビルは、19世紀に印刷所として建てられた。パックとはビルに編集室があった雑誌の名前。そのイメージキャラクターである子供の金の像が、ビルの外壁とエントランスに設置され、目印になっている。現在のビルのオーナーは、トランプ元大統領の義理の息子。ハリーとサリーが、それぞれの恋人候補として自分の友人を紹介するが、その友人同士が結ばれて、彼らの結婚式が撮影されたのがこのビルの7階。
●Puck Building
住所:295 Lafayette St., New York, NY 20012

紅葉のセントラルパーク【映画を巡る旅に出よう!】ニューヨーク ×『恋人たちの予感』NYの晩秋を満喫するなら、映画のハリーとサリーのようにセントラルパークを散歩するのがベスト。おすすめは、パーク東側のアンデルセン像あたりを歩き、一度外に出てからメトロポリタン美術館に入るコース。2人と同じように美術館のガラス越しに紅葉を眺めることができる。

 
Information

雑誌『Safari』1月号 P204~205掲載

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