『ヴェノム』『華氏119』
『スパイダーマン』のスピンオフ企画、トム・ハーディ主演のダークヒーロー『ヴェノム』と、マイケル・ムーア監督がトランプ大統領のカラクリを暴く『華氏119』をピックアップ!
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物語で選ぶ編①
『ヴェノム』
ムネアツなポイントは?
・地球外生命体に寄生されヴェノム化!
・怖さを楽しめる絶妙な残虐度!
・最悪キャラなのになぜか共感してしまう!
・トム・ハーディのコミカルな演技も見どころ!
作品の宣伝コピーが“最悪”。不気味なビジュアルも心をざわめかせる、マーベルコミックの、文字どおり最悪のキャラクターを主人公にした一作が完成。とはいえR指定の強烈テイストではなく、誰もが楽しめる作りになっているので、アンチヒーローものながら全米でも大ヒットを記録している。
人間に寄生する地球外生命体“シンビオート”が誕生させた、このヴェノム。‘07年の『スパイダーマン3』にすでに登場し、スパイダーマンのコスチュームを黒く変貌させる原因も作った。本作では、違法な人体実験をしているライフ財団に潜入したジャーナリストのエディが、このシンビオートに寄生されてしまう。自分の肉体の中に、別の生命体が取り込まれ、恐るべきパワーを持った怪人のヴェノムと化す。しかし、人間の前に現れたのは、そのヴェノムだけではなかった……。
2m以上の身長で、四肢を自在に伸ばし、強烈なパワーで相手を瞬殺。走行する車も軽々と破壊。そして口を開けば巨大な舌が出てきて、鋭い歯で人間の肉体も噛み砕く。動く凶器ともいえるヴェノムの残虐さが描かれるが、バイオレンスが苦手な人でも正視できる程度。その匙加減が絶妙。怖さを“楽しめる”感じが、今作の魅力になっている。それでも瞳のない、真っ白な両目に睨まれると、さすがに背筋が凍る! 人間に寄生する前の生命体のビジュアルも、鮮やかな色と不気味な動きが実にユニークだ。
最悪キャラなのになぜか共感してしまう!
意外なのは中盤から、この最悪キャラ、ヴェノムに共感していく感覚だ。寄生された側のエディの葛藤は切実なのだが、一心同体の状態で慣れてくると、エディとヴェノムの奇妙な絆が育まれていき、悪役の感情にも引き込まれてしまう。やっていることは過激なのに、弱い者は攻撃しない妙な正義感があったりするので、悪役の気分でアドレナリンを上がるのだ。そこが本作の斬新な持ち味ではないだろうか。
エディ役は『ダークナイト ライジング』でもバットマンを苦しめる悪役ベインを怪演したトム・ハーディ。今回は操られる側としてのコミカルな動作も巧みに演じている。エディの恋人アン役は、ここのところ話題作が続くミシェル・ウィリアムズだが、なぜか日本の女子高生の制服のようなミニスカートでアクションをこなすなど、意外な(?)サービス精神にもあふれている。マーベル作品なので、予告となるエンドロールのサービス映像にも注目を!
『ヴェノム』
監督/ルーベン・フライシャー 出演/トム・ハーディ、ミシェル・ウィリアムズ 配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2018年/アメリカ/上映時間112分
11月2日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
物語で選ぶ編②
『華氏119』
ムネアツなポイントは?
・今回のターゲットはトランプ大統領!
・アポなし突撃でなく新たな手法を展開!
・情報量がとっても多い!
・観れば中間選挙が楽しくなるはず!
タイトルを見て、「前に観たよ」と思った人も多いだろう。9.11以降のアメリカ社会とブッシュ政権の実態に迫ったマイケル・ムーア監督の代表作。しかし、あちらは『華氏911』だ。本作は数字の順番を入れ替えたものだが、これは2016年にドナルド・トランプが勝利宣言をした日、11月9日を指している。つまりは、トランプ大統領が今回のテーマというわけだ。
マイケル・ムーア監督の代名詞といえば、“アポなし突撃男”。しかし、本作では汚染水問題を抱える知事のところに向かう1回のみ(結局、会えないのだが、汚染水を知事邸宅に放水するという痛快な展開アリ!)。劇中のほとんどが映像を繋いで展開していくので、以前のようなハラハラするような場面は登場しない。しかし、その分だけ俯瞰で様々な問題を考えることができる。
トランプがテーマなのだが、そこへ至る道筋だったりと話題は盛りだくさん。ヒラリー・クリントンの敗因、その前段階の民主党の候補者選びで、なぜバーニー・サンダースが負けたか。トランプ同様、実業家から政治家に転身したミシガン州知事の失態。パークランド高校で起きた銃乱射事件。観ているとあまりの情報量に追いつかなくなるものの、トランプのからくりがぼんやりでも見えてくるはず。
11月6日、アメリカでは中間選挙が行われる。劇中では、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスなど選挙に挑む新人たちが登場。銃乱射事件で銃規制の行進に参加した高校生たちの一部は18歳となり選挙に参加できる。11月6日までに本作を観ておけば、中間選挙がとてつもなく楽しめるのは間違いないだろう。
『華氏119』
監督・脚本/マイケル・ムーア 配給/ギャガ
2018年/アメリカ/上映時間128分
11月2日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
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