〈エドックス〉クロノオフショア1 “EDOX CHRONOFFSHORE-1”
クロノオフショア1は、〈エドックス〉のフラッグシップ・コレクション。 パワーボートレースから着想を得た、見るからにダイナミックな外観は、 防水性と耐傷性とに優れたタフさで、多様なマリンスポーツに対応する。 さらにファッション好きも魅了する適度なラグジュアリー感も併せ持つ。モデル展開は、実に多彩。海にも街も映える、好みの1本が見つけられる。
ウルトラマリン シートゥースカイ
リミテッドエディション
限定333本。ケース径45mm、クォーツ、チタンケース、レザーストラップ。21万5000円(エドックス/ GM インターナショナル)
タフネスダイバーズ
氷の下でフリーダイビングするクリスチャン・レデルとのコラボ。深海を想起させるウルトラマリンカラー のダイヤルには、サンレイ加工が施され、光の具合で色のニュアンスが変わる様子が美しい。サメの保護活動もするレデルにちなみ、裏蓋にはサメの姿が。
❶優れた防水性能
全モデル、300m以上の防水性能を誇り、タフな海時計のコレクションであることを証明する。主流は、ヘリウムエスケープバルブを備えた500m防水。さらに1000m防水も用意され、プロダイバーからの信頼を得ている。
❷セラミック製ベゼル
潜水時間が計れる逆回転防止ベゼルには、ダ イヤモンドに次ぐ硬さを持つハイテクセラミックを使用。普段使いはもちろん、ビーチや海中で岩などに当たっても傷つかず、目盛りも消えず、潜水時間が確実に計れる。
❸アラビア数字の“1”
後述するが、誕生時のコレクション名にはパワーボートレースの最高峰“クラス1”が冠されていた。それにちなみ、一部例外はあるもののほとんどのモデルがアラビア数字としたインデックスの1をアイコンとする。
氷で覆われた極寒の湖をフリーダイビングする、クリスチャン・レデル。〈エドックス〉 は、彼を2010年からサポートしている。アイスダイビングで61mの世界記録を、通常のフリーダイビングでも100mを超える記録を持つ
タフなダイバーズ!
時速200kmを超えるスピードで水面を疾走する様子は、ボートというよりも、まるで飛行機。クロノオフショア1は、海のF 1とも称されるクラス1 ワールドパワーボート チャンピオンシップのパイロットのために製作されたモデルをルーツとする。過酷な海のレースで鍛え上げられたタフさを、現行コレクションも受け継いでいる。
創業は、1884年。〈エドックス〉 は、スイスでも指折りの老舗時計ブランドだ。その長い歴史の中で、様々な革新を腕時計にもたらしてもきた。なかでも画期的な発明は、1961年に考案されたリュウズ機構“ダブルリング”。これによりねじこみなしのリュウズでも、200mという当時としては驚異的な防水性能を実現した。
さらに衝撃吸収を高める構造も、同時に考案。 以降〈エドックス〉は、防水性と耐衝撃性の各技術を研鑽してきた。それがいかんなく発揮されたのが、2007年に発表された“クラスワン”コレクションだった。この年〈エドックス〉は、パワーボートレースの最高峰クラスのオフィシャルタイムキーパーを翌年から務める契約を締結。
1961年に考案した2重のパッキンが備わるリュウズ機構“ダブル - Oリング”の構造図。さらにダブルケースバックとムーブメントを保護するショックアブソーバー・ガスケットも有し、防水性能と耐衝撃性とに優れていた
2007年に発表された“クラスワン”コレクションの中のひとつ。クロノグラフ搭載の“クラスワン クロノオフショア オートマティック”のデザインスケッチ。これが今のクロノオフショアのコレクション名の由来になった。有機的な曲面で構成されたケースのフォルムやフラットなセラミックベゼルなどを、現行モデルが継承している
クラスワンは、その名のとおりクラス1のパワーボートを操るパイロットのために、防水と耐衝撃の技術を注ぎこんで生まれたコレクションだ。仕掛け人は、数々のプロジェクトを成功に導いてきたクリスチャン・オッツ。彼はパワーボートで使われるチタンやセラミックといったハイテク素材を駆使することで、 クラスレースの世界観を腕時計に落としこんだ。現行のクロノオフショア は、 クラスワンのコンセプトと技術とを受け継ぎ、レース前のパーティにもつけられるラグジュアリー感をも身にまとう。
Christian Hotz
〈エドックス〉取締役兼セールス&マーケティングディレクター。1968年生まれ。ビジネスとマーケティングを学び、1992年から時計業界でキャリアを積む。2005年より現職。マーケティング、デザイン、開発、世界戦略などを指揮し、新コレクションやプロジェクトを成功に導く。
クラス1パワーボートレースのオフィシャルタイムキーパーとなったことで生まれた“クラスワン”のファーストコレクションには、クロノグラフ以外にも〈エドックス〉初のクロノメーターを取得した3針自動巻きや、時・分・秒の各針が独立したレギュレーターなどをラインナップしていた。そして誕生と同じ年に、〈エドックス〉は日本に初上陸を果たしている。チタンのケースとセラミック製ベゼルを身にまとい、300m以上の防水性能を持つタフな海時計の登場は、日本の時計市場に大きなインパクトを与えた。そしてクラシックなコレクションを持つにもかかわらず、〈エドックス〉=タフなスポーツウォッチとのイメージが、日本で定着することとなる。
以降クラスワンは、〈エドックス〉を象徴するコレクションとして成長を遂げる。創業125周年という大切な節目を迎えた2009年、その記念限定モデルとして選ばれたのも、クラスワンだった。
クラス1パワーボートレースとのコラボしたファーストコレクションのひとつ“クロノワン クロノオフショア オートマティック”。前出のスケッチのモデルがこれだ。ケースとブレスはチタン製。プッシュボタンに独自のダブル-Oリングを備え、500m防水を取得していた
創業125周年記念モデル“クラス ワン アイスシャーク リミテッドエディション”。ムーブメントを180度回転して搭載した左リュウズのクォーツクロノは、1000本の限定
主力は長くクロノグラフ搭載のクロノオフショアだったが、2011年にデイデイト搭載モデルが登場するなど、機構的なラインナップも増やされてきた。さらに2013年には、初のレザーストラップ仕様を投入。海ではなく、街にも映えるラグジュアリースポーツウォッチという今のスタイルを提示した。
500m防水のチタンケースに、デイデイト装備の自動巻きを搭載。曜日表示を3日分見せているのが、実にユニークだ。逆回転防止ベゼルは、既存モデルと同じくセラミック製
初のレザーストラップ仕様は、オールホワイトの外観と相まってスタイリッシュな街ダイバーズとの印象を高めた。12時位置にビッグデイトを搭載するムーブメントは、クォーツ
2015年、クラス1レースのタイムキーパー契約が終了。これに伴い、クラスワン・コレクションは、今のクロノオフショア ・コレクションへと名称を変更し、よりラグジュアリーな路線へと舵を切った。ケースにゴールドPVDを施した、上の写真にあるPVNモデルがその代表だ。そして2016年には、全モデル 500m以上防水でヘリウムエスケープバルブ搭載へとリニューアル。サファイアクリスタル風防の厚みも増して、タフさにより磨きがかかった。
クロノオフショア1へと名称変更。これはクラス1パワーボートレースのチャンピオン、パル・ヴィリク・ニルセンとコラボした第1号モデルのひとつだ。ゴールドPVDケースと艶あり黒ベゼルの組み合わせが、ゴージャス
現行モデルが誕生したのは、この年。よりタフに進化したのに加え、逆回転防止ベゼルの動きもより細かく調整できるように改良された。デイデイトも備わり、実用性も高い
水しぶきを上げ疾走する、クラス1のパワーボート。そのスピードは、時速200kmを優に超える。波に乗り上げれば、船体は大きく跳ね上がるためパイロットが身につける腕時計には高い防水性はもちろん、耐衝撃性も求められる。そのいずれの技術も、〈エドックス〉は得意としてきた
セラミック製の逆回転防止ベゼルを装備した、500m飽和潜水対応のダイバーズクロノグラフ。これを共通項としながらクロノオフショア1は、実に多彩なラインナップが用意されている。なかでも注目は街ダイバーズなゴールドPVD仕様。定番の黒×金はフルアラビックスが新鮮で、ブルーとホワイトはこれからの季節に最適だ。豪華な装いだが、価格的に身近なのも魅力。黒ケース仕様はより屈強な新素材を用い、タフさのアピールも忘れてはいない。
ケース径45mm、自動巻き、SS ケース、クロコダイルストラップ。41万円(エドックス/ GMインターナショナル)
ゴールドPVD×ブルー
ゴールドカラーのケースとディープブルーの組み合わせは、豪華にしてシック。さらに爽やかな印象も併せ持つ。
ケース径45mm、自動巻き、SSケース、クロコダイルストラップ。45万円(エドックス / GM インターナショナル)
凝った黒金クロノ
定番黒金のインデックスを、 アラビア数字に。さらにクロノグラフを司る3つの針を赤に染め、機構を際立たせた。 ダイヤル全体は、大きな凹凸のタペストリー模様で装飾。
ケース径45mm、クォーツ、SSケース、ラバーストラップ。16万2000円(エドックス/ GMインターナショナル)
ホワイト×ブルー
白ダイヤルにブルーのセラミックベゼルが、あざやかなコントラストを成す。爽やかな夏時計の大本命。ゴールドPVDで豪華さを加味しながらも、クォーツだから手頃。
ケース径45mm、自動巻き、カーボン×セラミックケース、ラバーストラップ。45万円(エドックス/ GMインターナショナル)
新素材を黒に武装
漆黒のケースは、カーボンとセラミックとを鍛造で組み合わせた新素材。硬さと軽さとを併せ持つ。インデックスも、 ドット型のこの素材専用デザインに。
裏蓋のモチーフの由来!
〝エドックス〞とは、古代ギリシャ語で“時間”との意。創業者クリスチャン・リュフリ=フルーリーの時計に対する思いは、ブランド名にこめられている。そして1900年には、時間を象徴する砂時計のロゴが生まれた。思いを形に託すのは、今の〈エドックス〉も同じ。クロノオフショア1の裏蓋にはパワーボートで最も重要なプロペラを象った装飾を置き、ルーツを伝える。
右:クロノオフショア1の裏蓋には、パワーボートのプロペラモチーフの装飾が刻まれている 左:砂時計を象ったロゴマークは1900年に考案され、120年を経た今もそのまま使われる
●GMインターナショナル
TEL:03-5828-9080
雑誌『Sfari』7月号 P132〜135掲載
text : Norio Takagi