〈ブライトリング〉スーパーオーシャン “BREITLING SUPEROCEAN”
プロの計器を標榜する〈ブライトリング〉は、潜水士の要望にも応える。 スーパーオーシャンは、タフで視認性に優れたダイバーズウォッチ。 多様なサイズとカラバリが展開されており、ビーチでも街でも映え、世界中のサーファーたちをも魅了し続けている。
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屈強に水圧と戦う海のプロの計器
フルリニューアルを果たした最新作。インデックスは3方向のアラビア数字+楔形へと変更されて少し優しい顔つきになった。しかし屈強な1000m防水などプロの計器であることには変わりはない。ベゼルもラッカーの焼き付け塗装に変更。
❶複数サイズの展開
2010年のフルリニューアル以降、同じ外観で多彩なサイズを展開してきた。2019年に刷新された現行モデルでは、36・42・44・46・48の5サイズが、“ヘリテージ” も3サイズが用意される。
❷カラーバリエーション
1995年にその名が復活してから、ブラックやブルーに加え、イエロ ー、オレンジといったビビッドなカラーリングで注目を集めてきた。 現行モデルでも豊富なカラーバリエーションから好みが選べる。
❸サイズ、シリーズで異なる防水性能
複数のサイズを展開しているのは、高い防水性能を得るには大型にする必要があるから。現行モデルでいえば42mmは500m防水で、44mmは1000m、46mmは2000m。36mmとヘリテージは200m。
空気ボンベを背負い、海中を自由に泳ぐ。自給式水中呼吸装置=スキューバが発明されたのは、1943年のこと。これが広く普及した1950〜60年代にかけて、多くのダイバーズウォッチが生まれた。〈ブライトリング〉のスーパーオーシャンもそのひとつだ。誕生は、1957年。ベーシックな3針モデルに加え、クロノグラフもラインナップしていたのが、このブランドらしい。
1950年代当時の広告ビジュアル。ベーシックな3針モデルに加え、2カウンターのクロノグラフもラインナップされていたのがわかる。回転式のベゼルは取り外し可能でメンテナンス性に優れていた。3針モデルのムーブメントは自動巻き。クロノグラフは手巻き
●1957年:初代スーパーオーシャン
時分針は形と長さの両方で大きくメリハリをつけ、海中での視認を容易にしていた。スリムな楔形インデックスは、時針の先端まで長く延ばされ、個性的な表情を生み出している。 4方向に置いた巨大なドットインデ ックスと針には、蓄光塗料が施されている。防水性能は20気圧。
そのクロノグラフをダイビングに特化させたのが、1964年に発表された第2世代。クロノグラフ針を、分単位で潜水時間を計るダイビング用に1時間で1 周する設計としたのだ。極めてユニークなダイバーズクロノは、しかし70年代のクォーツショックで姿を消すこととなる。
そして1995年、今もあるコルト・コレクションからハイスペックな1000m 防水ダイバーズ“コルト・スーパーオーシャン”として、その名が復活。さらに1998年に登場した“コルト・スーパーオーシャン・プロフェッショナル” では、1500m防水を達成している。 2000年、スーパーオーシャンは独立したコレクションに。その5年後には、 驚異の2000m防水モデルも誕生し、 真のプロの計器として進化を続ける。
一方2007年に誕生した“スーパーオーシャン ヘリテージ”は200m防水と常識的なスペックで、レジャーダイビング用に位置づけられるだろう。初代をモチーフとしたヴィンテージな印象は、 一昨年のリニューアルでより高まった。
ハイスペックなスーパーオーシャンは、 2010年のリニューアルでは、コルト時代の名残としてライダータブ付きだった逆回転防止ベゼルを、スムースベゼルへと変更。2015年の刷新を経て、今年また新たな装いへと生まれ変わった。
航空クロノグラフで知られる〈ブライトリング〉は、海でも高い実力を発揮する。
上のモノクロ写真に後ろ姿で写る3人のサーファーは、中央に立つのが生ける伝説ケリー・スレーター。 両隣は2人のクィーン、サリー・フィッツギボンズとステファニー・ギルモア。 写真では確認できないが、彼らの左腕には“スーパーオーシャン ヘリテージ クロノグラフ 44”がある。ビッグウェイブの強烈な水圧も、ものともしない屈強なダイバーズクロノは、サーフ界のレジ ェンドと東京五輪も狙う現役トップサーファーから絶大な信頼を得ている。
〈ブライトリング〉は、様々な分野のプロがチーム“スクワッド”を組み、一体となって活動することを称賛してきた。 そして彼ら3名は、昨年3月に結成された“ブライトリング・サーファーズ・ス クワッド”のメンバーなのだ。3名が選ばれたのは、実力もさることながら美しい海を保つことに貢献してきたから。そのメンバーの活動を支援しているのだ。
Kelly Slater
1972年フロリダ生まれ。10代ですでに無敵のアマチュア選手として知られ、18歳でプロに転向。WSLチャンピオンシップ11回制覇の記録を打ち立てた史上最強サーファー
Sally Fitzgibbons
1990年オーストラリア生まれ。14歳でASPプロジュニアの大会で最年少優勝を果たし、2009年からワールドツアーに参戦。WSLワールドツアーでの優勝は11回を数える。
Stephanie Gilmore
1988年オーストラリア生まれ。ワールドチャンピオンシップ で、2007年から2010年まで4年連続でタイトルを獲得。その後も3度タイトルを獲得し、殿堂入りを果たす。
またケリーがデザイナーのジョン・ムーアと共同で創設したサスティナブルなアパレルブランド〈アウターノウン〉ともパートナーシップを締結。ストラップやパッケージの素材にリサイクル素材を用いた、パートナーシップモデルも発表している。こちらで紹介するその最新モデルの発表会場に選ばれたのは、ケリー・スレーターが開発したウェイブプール“サーフランチ”。
サーファーズ・ スクワッドのメンバー全員が、ウェイブプールでパフォーマンスを披露した。ダイバーズウォッチは、他社にも数多い。 しかしサーフ界とこれほど密接に関わっているのは、スーパーオーシャンだけだ。
ケース径44mm、自動巻き、SSケース。ECONYL ヤーン NATO ストラップ。77万円(ブライトリング/ブライトリング・ジャパン)
ブラック×ブルーは海や地球を想起させる。ストラップは魚網などのリサイクルナイロン製。
その実力を改めて知る
前述のとおり、スーパーオーシャン ヘリテージは2017年、スーパーオーシャンは2019年、より魅力的にフルリニューアルした。3 サイズ展開のヘリテージは、ラグジュアリーなゴールドモデルやクロノグラフもラインナップし、選択肢が豊富。スーパーオーシャンは、さらに多い5サイズ展開で、ビビッドなオレンジダイヤルのようなほかにないカラーも選べる。全モデルが、クロノメーターを取得。信頼がおける高精度ムーブメントも、〈ブライトリング〉の魅力だ。
ケース径44mm、自動巻き、SSケース。ECONYL ヤーンNATOストラップ。45万円(ブライトリング/ブライトリング・ジャパン)
タフなダイバーズにカーキグリーンが似合う。ストラップは第1弾と同じリサイクル素材製。スーパールミノバ で視認性が高いのも魅力だ。
ケース径44mm、自動巻き、SS ケース&ブレス。56万円(ブライトリング/ブライトリング・ジャパン)
初代に似たヴィンテージな外観を、あざやかなブルーでモダナイズ。メッシュブレスもお洒落だ。〈チューダー〉と提携した Cal.B20は、70時間駆動を誇り、実用性も高い。
ケース径42mm、自動巻き、SS ケース、 ラバーストラップ。40万円(ブ ライトリング/ブライトリン グ・ジャパン)
ブラックのベゼルとダイヤルのオレンジとが、あざやかなコントラストを成す。海中で目立ち視認性を高めるビビッドなオレンジは、砂浜の白や海の青にも映える。
ケース径42mm、自動巻き、SS ケー ス&ブレスレット。49万円(ブライトリング/ブライトリン グ・ジャパン)
ベゼルとダイヤルとをブルーに染めた、日本限定モデル。 秒針やインデックスにあしらわれたイエローが、絶妙なアクセントに。ブレスのバックルは長さ調整機能付き。
海を健やかに守る活動を40年以上続けるオーシャン・コンサーバンシーを〈ブライトリング〉は支援する。右は1000本限定のパートナーシップモデルで、売り上げの一部が寄付される“スーパーオーシャン ヘリテージ クロノグラフ 44 オーシャンコンサーバンシー リミテッド エディション”69万5000円。
〈ブライトリング〉は〈アウターノウン〉とも協力関係にあり、ストラップにはリサイクルナイロンを使用。5月にバリ島で行われた発表会にはサーファーズ・ スクワッドのメンバーも集結しビーチクリーンを行った。
●ブライトリング・ジャパン
TEL:03-3436-0011
雑誌『Safari』1月号 P256〜259掲載
text : Norio Takagi