地底から火山まで! 冒険へ誘う湖【11選】
地殻変動や火山活動など、長い歳月をかけて生まれた湖。避暑地のリゾートとして、あるいは冒険者のオアシスとして、美しい湖は人々を魅了してきた。北半球では初夏を迎え、太陽が高くなる季節。光輝く湖で癒され、英気を養い、やがて日常へと戻っていく。そんな心まで洗われる、世界の湖を旅してみよう。
ミステリーへの入り口か
爽やかな風が吹く初夏の湖。欧米では避暑のリゾート、旅人にとっては癒しのオアシスとして親しまれてきた。そんな心安らぐ存在の一方、実は湖には“謎”もつきもの。たとえばネス湖のネッシー伝説に、大探検家スヴェン・ヘディンが追いかけた中央アジアの『さまよえる湖』、はたまた『ルパン三世 カリオストロの城』の湖底に眠るお宝。人間は、静謐な湖面の奥に神秘を感じるらしい。
実際、湖は研究が追いつかずに、未解明のミステリーも多い。なにしろ、その数は世界で億単位といわれ、正確な数が把握できていない。さらに海と違って隔離された空間にあり、その成り立ちは千差万別。火山の火口に水が溜まった火口湖や地層がずれてできた断層湖、氷河が溶けてできた氷河湖、外海と隔てられてできた潟湖、さらには地表の下に潜む地底湖や、南極の氷の下に広がる氷底湖など、全貌さえ見えないものもある。
その多様さゆえか、今回紹介したレンソイス・マラニャンセス国立公園で乾季になると姿を消す生き物や、ヒリアー湖がピンクに染まる現象も、諸説あるがまだはっきりとは解明されていないという。そう考えると、吸い込まれそうなエメラルドグリーンやコバルトグリーンの湖面の奥に“ミステリー”を感じるのは、必然!? 美しく煌めく水面に誘われながら、人間は神秘の世界の入り口に立たされているのかもしれない。
クロアチア
首都ザグレブから南へ約100㎞、ボスニア・ヘルツェゴビナとの国境近くにある国立公園。石灰華と呼ばれる堆積物が川をせき止め、およそ8㎞にわたり大小16の湖を形成。湖と湖の間を川や滝が繋いでいる。透明度の高い水中を泳ぐのはマス。国立公園周辺のレストランではこの“マスのグリル”が名物だ。
アルゼンチン/チリ
南米パタゴニア地方にある湖。アルゼンチン側では“ブエノスアイレス湖”の名で呼ばれる。湖底には石灰質の山々から流れ込んだ石灰分が沈殿しており、光が当たると乳白色に輝く。湖の水で浸食されてできた大理石の洞窟“マーブル・カテドラル”を訪れるツアーが人気。
イタリア
イタリア最大の湖。湖岸には100を超える小石や砂利のビーチが点在するリゾート地だ。面積は琵琶湖の約半分。北端の街リーヴァはウィンドサーフィンのメッカとして国際大会も開かれる一方、南岸のシルミオーネは古代ローマから続く温泉保養地として有名。
ペルー
現地ではラグーンと呼ばれる、砂丘に囲まれた湖。ワカチナは人口100人ほどの小さな村だが、観光客も多く、砂丘ではサンドボードやバギーツアーが盛んだ。エメラルド色の湖には人魚が住む、はたまた最愛の人を亡くした女性の涙でできたなど、数多くの伝説が残る。
ブラジル
ポルトガル語で“シーツ”を意味するレンソイス。シーツのごとく白くて柔らかい砂丘が広がる。雨季の後半(6 ~ 9月)になると、雨によって水位が増した地下水が砂丘の間の谷に湧き出て、幾多もの淡水湖を形成。湖には様々な生物が生息するが、乾季の間どう生存しているかはわかっていない。
ギリシャ
イオニア海に浮かぶケファロニア島にある地底湖。1951年に発生した地震で地上が崩落し、偶然発見された。1962年の発掘調査では紀元前の遺跡が見つかっており、神話の精霊ニンフが住んでいたとされる。天井の穴から光が差し込む姿は確かに神々しさを感じさせる。
アイスランド
“氷河の川の湖”を意味する、アイスランド最大の湖。ヴァトナヨークトル氷河が溶けたことででき、その面積は拡大中。宝石のような青い氷塊が漂う光景はロケ地としても人気で、映画『007』や『トゥームレイダー』のほか、ジャスティン・ビーバーのMVにも登場した。
メキシコ
カリブ海のリゾート、カンクンの南に位置する湖。湖底は白い石灰岩でできており水深の違いや太陽光の加減で色が変化するため“七色の湖”の異名を持つ。水温が高く、年間を通じて遊泳でき、ダイビングやシュノーケリングも人気。ウォータースライダーを備えた有料施設もある。
日本
山梨県の富士五湖のひとつで、最も水深が深く、透明度が高い。北岸からは富士山の展望が見事で、本栖湖に映る“逆さ富士”が現行の千円札の絵柄に採用されている。地形的な特徴から午後に風が強くなるため、午前はSUPやカヤック、午後はウィンドサーフィンが人気。
日本
宮城県蔵王連峰の中央部にある火口湖。外輪山に囲まれた姿が“お釜”に似ていることからその愛称で親しまれている。太陽光によってブルーや深緑などに色を変えることから“五色沼”とも呼ばれる。湖底から硫黄物が噴出し、強酸性の水質のため生物は生息できない。
オーストラリア
西オーストラリア州の南部、ミドル島にある湖。ピンク色に染まって見えるのは、藻類の一種ドナリエラ・サリナが生息しているからで、日が当たるとベータカロチンを生成するという説が有力。本土の街エスペランスからは、湖を眺める遊覧飛行ツアーが催行されている。
雑誌『Safari』7月号 P111〜116掲載
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