時計はファッションにおいて重要な役目を果たす。表面積が小さいためいわゆるアクセサリー的な、脇役としての文脈で語られることも多いけれど、キャラクターの際立った、高品位な時計はたとえば少々凡庸なコーディネートでも腕元から全身へとオーラが伝播するかのごとく、たちまちスタイリッシュに変貌したりする。トータルのイメージをスマートにまとめ上げる決め手、といったところ。
スイス時計の名門〈タグ・ホイヤー〉のアイコニックモデル、タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフの最新作はそんな時計のポテンシャルが見事に開花。ご覧の通り、このモデルの躯体は正方形に近いスクエアシェイプ。エッジの効いた構造美をベースに、高精度なクロノグラフ機構や視認性の高いダイヤル、これらに紐づく審美性などといった高級時計の粋を結集。ブレのないスタイルとなって大勢を魅了する。
“モナコ”と聞くと、少なからぬ人が周囲をフランスに囲まれて地中海に面した(裕福な!)独立国家のモナコ公国を、さらに同国の風物詩であるF1のモナコグランプリもセットで想像するはず。果たしてこのコレクションのネーミングはモナコグランプリに由来。過酷で華麗なレーシングの世界観を取り入れながら発展。〈タグ・ホイヤー〉は2011年からモナコグランプリのオフィシャルウォッチパートナーを務めており、モナココレクションはその業績を象徴する存在。
スケルトナイズしたフェイスの素地やストラップに新色のダークブルーを採用。ダークブルーはモナコグランプリの背景となる地中海の色であり、初代モデルから受け継がれるアイコニックな色調でもある。モダナイズされた格別のダークブルーが、モナコのアイデンティティを炙り出すかのようにメカニカルなフェイスに映える。センターのクロノグラフ秒針と3時位置の30分積算計、9時位置の12時間積算計の針にあしらわれたイエローはレースで車体から飛び散る火花を表現。軽量で衝撃に強いチタン素材のケースにはダイヤモンドに迫る表面硬度を実現するブラックDLC(ダイヤモンド・ライク・コーティング)が施され、独特のコントラストがレース会場の熱気や興奮を伝える。
モナココレクションの歴史は古く、初代モデルが誕生したのは1969年。旧来の時計デザインの在り方を超越した斬新な外観もさることながら、〈タグ・ホイヤー〉が本来は競合である〈ブライトリング〉や現在の〈ハミルトン〉などと共同開発した世界最初期の自動巻きクロノグラフキャリバー、“クロノマティック(キャリバー11)”を搭載し、さらに角形の時計として世界初の防水機能を備えた画期的なモデルだった。1971年にモナコグランプリと同じく世界3大レースのひとつに数えられるル・マン24時間耐久レースを描いた映画『栄光のル・マン』で世界的な俳優のスティーブ・マックイーンがモナコを着用したことで人気に火がつき、モナコはレーシングウォッチの金字塔に。偉大な系譜の“末裔”である本作は2023年にデビューし、量産モデルとしてはモナコ初のスケルトンダイヤルをフィーチャーした次世代機種の新たなバリエーション。モナコの魅力がよりスタイリッシュにアップデートされている。
コンセプチュアルな魅力にあふれるダイヤルの奥で精彩を放つのが、自社製のクロノグラフキャリバーCal.TH20-00。このムーブメントは同社がマニュファクチュールとして躍進する基盤となったCal.ホイヤー01の発表から2年後の2017年に誕生、2019年にモナコに初採用されたCal.ホイヤー02の進化版。歯車の形状を見直し、さらに巻き上げ方式を従来の片方向から両方向にすることで効率をアップ。フル巻き上げの状態で約80時間もの間安定した高精度で駆動する。6時位置にはスモールセコンドとデイト表示も備え、さらに防水性能は100m。傷のつきにくいサファイアクリスタル風防や、ケース素材のアドバンテージと相まって日常での利便性も抜群。つまり外観だけでなく、実質的なクオリティもモナコ史上最高レベルの、集大成。
ケース径39㎜、自動巻き、SSケース、カーフ&ラバーストラップ、100m防水。141万3500円(タグ・ホイヤー/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー)
F1マシンさながら、高度な技術を駆使して実現した機能美のポイントはアクティブでダイナミックな疾走感。ロングセラーならではの普遍性も宿り、これらがファッションに及ぼす効果は無限大。着ける人のスタイルによって多彩な表情が楽しめる。
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