素材使いとカスタマイズで職・住・趣味に浸れる家
武骨なインダストリアルスタイルに惹かれるのは、無駄をそぎ落とした潔さと変に頑張りすぎない、気取りのないかっこよさをそこに感じるからだ。N邸はまさにそのお手本。新旧のアイテム、素材感のミクスチャーを楽しみながら自在にカスタマイズ。好きなもの、気持ちいいものを集めて落ち着きと愛着のある部屋を進化させていくスタイルが学べる。
- SERIES:
- 西海岸的なハッピー・ルーム! vol.32
N邸/4SLDK/170㎡趣味で曲作りなどをするパソコンデスクは、〈イケア〉の黒のスチールデスクに好みの天板を載せたもの。デスク前の壁だけターコイズに自分で塗装。むき出しのコンクリートの箱に、深みとアクセントをつけている
以前の事務所が手狭になったため新たにオフィス兼住居として築25年以上の物件を購入したデザイナーのNさん。もともとはバブルの薫りを色濃く残すあでやかな建物だったが、年月を経た躯体のもつ雰囲気や凝った階段のつくりなどは生かしつつ、全面的にリノベーションした。
出来上がったのは、以前の佇まいとは趣を異にする、経年変化を味わいとしてみせる、スタイリッシュな空間だ。ビルトインガレージの上にオフィスフロア、さらに上階を住居フロアとした。
事務所フロアはコンクリートを白くペイントして軽やかな印象にする一方、住居フロアは、打ちっ放しの壁やむき出しの天井、ステンレスやアイアン使いなど武骨で無機質な素材感を楽しむ。長年愛用してきた木製のフロアスタンドやグリーンを置いて、空間を柔らかく演出し、個性をプラスしている。
さらに、幼い頃からギターに親しみ、音楽が身近にあったNさんは、建物のあちこちにスピーカーをしつらえ、好きな場所で音楽を楽しめる仕様にした。なんと、住居のワンフロアは趣味の部屋にしている。「ここでは、仕事が終わるとギターを弾いたり、曲を作ったり、パソコンでアレンジをしたり、家族や友人たちとプロジェクターで映画を見たりして遊んでいます」とNさん。
趣味の部屋の壁の一面は、暮らしはじめてから自分たちで濃紺に塗った。ブルックリン生まれのアクリル塗料メーカー、〈ベンジャミンムーアペイント〉で好みの色を調合してもらったものだ。キッチンには棚を造作したり、有孔ボードを取り付けたり。「賃貸ではなく持ち家だからこそ、自由にネジもクギも打ち込めます」と、インテリアをカスタマイズして、自分たちらしい家にしていく、進化の過程を楽しんでいる。
01 クールでタフな素材はグリーンや小物で遊ぶ最上階の住居にあるキッチンは対面式のオープンに。黒のキャビネットに木のフレーム、ステンレスのクールな素材感には動物のフィギュアやグリーンで遊び心をオン
02 重厚になりがちな本棚は白のケーシングで軽やかに事務所フロア。コンクリートを白くペイントし、本棚にも白を効かせて柔らかさを出した
03 落ち着きを感じさせる小石を敷き詰めた床1階のビルトインガレージ。小石を浮き出させた洗い出しの床はリノベーション前からのもの。料亭の玄関を思わせる凝った造りに、ソファを無造作に置いてカジュアルな空間に
04 手すりがアートする階段の造形を楽しむ階段は不規則に組み合わせた手すりが軽やかで、オブジェを思わせる
05 海外のアパルトマンを思わせるナンバープレートタイルで作った文字盤が面白みを出している
北欧デザインを思わせる木のシンプルなスタンド趣味の部屋に置いているのは、木製のフロアスタンド。直角のアームやプルスイッチ、足元の丸みなどディテールまで木の質感を生かした仕上げ。布製シェードからの光の加減が気に入って長年愛用してきた。友人たちと音楽を楽しむときは、フロアスタンドの柔らかな明かりを灯し、それぞれ好きな場所でくつろぎながら楽器をつま弾く。
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アメリカナイズされた上質な住空間を提案
“古くなって捨てられるようなモノは、買わない、売らない、つくらない”が理念のリノベーション会社。個人宅以外にも、オフィス、店舗、オーダー家具までデザイン。専属の不動産アドバイザーもいるので、物件紹介も可能。住空間のスペシャリスト。
住所:東京都目黒区中目黒1-9-3 ROJU NAKAMEGURO
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●ハウストラッド
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雑誌『Safari』12月号 P238~239掲載
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