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2021.05.27


地元の新世代を導くレジェンドシェイパー!

実は本連載で数回にわたり紹介しているのがニューポートビーチ出身のサーファー 。このエリアは昔から変わらず、様々なカルチャーを生み出してきた活気あるビーチタウンだ。現在、ここを拠点とし、その歴史を継承する新しい世代がすくすくと育っている。今回紹介するのは、そんな彼らが憧れ、師と仰ぐ名シェイパー、ダノ・フォルテだ。


今月のサーファー
ダノ・フォルテ
[DANO FORTE]

東の少年が西海岸に染まるまで


ニューポートビーチの隣町、コスタメサ。海からクルマで数分ほど入った閑静な住宅エリアで、お洒落なショップやサーフボードファクトリーなど、海を愛する者にとってまさに楽園のような街だ。今回紹介するダノは、ここを拠点に活躍するシェイパー。すでにレジェンド的存在の彼だが、もちろん最初はサーフィンの初心者だった。実はカリフォルニアに移住したのは10代はじめの頃。幼少期はニューヨークで育ったこともあり、波乗りとの出合いはやや遅めだった。

「はじめてボードに立った感触は鮮明に覚えているよ。今までに体験したことのない無重力感と衝撃にいい意味でショックを覚えたよ。それからただひたすらスキルを上達させることだけに集中して毎日のように海に通ったんだ。どんな波の状態でもエキサイトしていたのを覚えているよ」

ホームポイントであるブラッキーズで、華麗なカットバックをメイク

場所によって波質は若干異なるが、ニューポートビーチは基本的にビーチブレイク。冬はピア至近のスポット、ブラッキーズで入ることが多い。ここをホームとしているサーファーは、かのマイク・ロジャーズやアレックス・ノスト等、数えきれないほどいる有名スポットだ。ちなみに夏は、通称アッパーストリートで入ることが多いのだそう。また、オレンジカウンティとサンディエゴの境にあるロングボードの聖地、サン・オノフレでもスキルを磨いた。

「僕にとってパーフェクトな波? そのときによって違うから一言では難しいけど、ロングボードでクルーズできるようなメローな波も大好きだし、ショートボードを楽しむならホローなビッグウェイブが最適だよね」

ロングボードのイメージが強い彼だが、波によってボードを使い分けて楽しんでいるよう。特に若い頃はショートボードにハマったそうで、コンペティションにも参加。大会を通じ多くのサーファーと出会い、彼らから刺激を受けたと語る。そんなダノのサーフヒーローは、サンディエゴのローカルサーファー、フィル・エドワーズをはじめ、ジェリー・ロペス、トム・カレンなど。東海岸生まれの少年は、毎日のように海に通い、サーファーの友人と一緒に過ごすことが当たり前の生活となっていった。

床に並んだ美しいロングボードは、クラシックカーからインスパイアされたデザイン。色合いもなんだかレトロ

レジェンドの師はレジェンド


サーフィンの虜となったダノは、自然と自分のボードを削りたいと思いはじめる。まず、両親の家のガレージを借りて、ブランクスのシェイプからスタートした。

「その頃はYouTubeなんて便利なものはなかったから、サーフ雑誌の特集を見たり、現役のシェイパーに聞いたりしながら手探りでビルドしてみたよ。なんとか形にはなっていたけど不確かな部分が多かったから、実際にシェイパーやグラッシャーに会いに行き、彼らから少しずつシェイピングの基礎を学んだんだ」

そんな彼の師の1人が、サンクレメンテのローカルシェイパー、ブラッド・バーシャム。彼は主に'50~'60年代に活躍したシェイパーで、デール・ヴェルジーやハップ・ジェイコブス、レイノルズ・イエーターなどのシェイパーと同時期に活躍した名シェイパーだ。

「ブラッドは僕のビッグメンター。彼のそばで2~3年間修業して細かい技術を習得させてもらったんだ。ボードビルドは多くのステップがあるけれど、そのひとつひとつを根気よく教えてくれたことに本当に感謝しているよ」

ニューモデルの'50年代スタイルボード。ウッドグラスのビッグフィンが存在感たっぷり

その後、ニューポートビーチで自身のブランド〈ダノ・サーフボーズ〉をスタートさせたダノ。フィッシュ、エッグ、'70年代風のシングルフィンロングボードなど、あらゆるスタイルをビルドして、徐々に彼自身の顧客を増やしていった。その客層はキッズからレジェンドまでと非常に幅広く、現在ではニューポートビーチのアイコンブランドと化している。最近はこのエリアに'60~'70年代のカルチャーをリスペクトする若いサーファーが急増中。そんなこともあり、最近はクラシックなシングルフィンのロングボードが圧倒的に多いのだそう。

ボードビルドからデザイン、グラッシングまで1人で行うダノ。その作品たちは機能性も見た目もとても独創的。それゆえ、30年もの間このエリアでトップシェイパーの評判をキープしている。その人気は実は現在も右肩上がり。ニューポートビーチに行けば、至るところで〈ダノ・サーフボーズ〉のステッカーを目にすることができる。

〈ダノ・サーフボーズ〉はギアだけでなくアパレルも展開。こちらはオリジナルのジャケットを纏った彼自身

父、夫、ミュージシャンとしての顔


このエリアを代表する人気シェイパーとして忙しい日々を送るダノ。実は週に2~3回、ブルースミュージシャンとしてライブハウスのステージに立つシンガーでもある。

「スタートしたのは約12年前。ジューク・ジョイント・フリークショーという名前で基本的にソロで活動しているんだ。今は一時的にライブが開けない状況だけれど、このパンデミックがあけたら再開する予定だよ」

ミュージシャンとしてステージに。こちらもクラシックな装いとギター

そんな彼の毎日の生活を覗いてみると、波の状況次第でその日のスケジュールが決まるという。たとえば、朝起きて波がよければ2~3時間ほど海に入り、その後シェイプルームに向かいボードをビルドする。逆に午前中に波がないときは、早朝から仕事に取りかかり夕方近くにサーフィンを楽しむ。どちらのケースも夕食は愛妻のリサと2人のキッズと一緒にとり、その日にあった出来事を皆でシェアするのがお決まりだそう。その後は、ギターを弾いたり読書をして静かな時間を過ごすようだ。

「素晴らしい家族に恵まれたおかげで、30年もの間、シェイパーとしてやってこれたんだと思うよ。仕事だけでなく、いろんなことを家族とシェアできたからこそ行き詰まったことはなかったし、12年間もミュージシャンとしてステージに立つことができた。本当に感謝しているしラッキーだと思うよ」

そんな彼の最新ボードは、'50年代スタイルのピッグシェイプのロングボード。ウッドグラスのビッグフィンが付いたこのクラシックボードはさっそくオーダーが殺到しているという。

愛車はマットブラックのヴィンテージカー。これに自身がシェイプしたボードを載せてビーチへ。ハワイアンシャツとハットでサーフデイもお洒落に

●ホームポイントはココ!
ブラッキーズ[BLACKIES]ニューポートビーチ ピアと28thストリートの中間にあるスポットでロングボード向きだがショートも楽しめる人気スポット。多くのプロサーファー、アーティストサーファーが通い、ここにいればサーフシーンのトレンドも学べる。

 
Information

雑誌『Safari』7月号 P178~179掲載

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