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2020.02.06


マリブの森で暮らす多才なサーファー

マリブの大自然の中で活動を行うアーティストサーファーのダニエル。陶芸の世界では15年以上ものキャリアを誇る一方、最近ではリサイクルボードを利用したボードシェイプもはじめ、新境地を開拓中だ。プライベートでは家庭菜園の世話をしたり、ビーチクリーンを行ったり、素朴なライフスタイルを実践している。そんな彼の半生を探っていこう。

●今月のサーファー
ダニエル・ジョージ[DANIEL GEORGE]

海に行きたくても行けない青春


南フロリダ州のゲインズビルという郊外で育ったダニエルは幼少の頃は海と無縁の生活を送っていた。はじめてサーフィンをしたのは友人とともに訪れたフロリダのセント・オーグスティンというビーチ。借りモノの7フィートのファンボードを使って挑戦したそうだ。

「グリーンの小さな波の面をスライドしたときの快感は今でも覚えているよ。乗った後にこみ上げた達成感と爽快感はなんとも言えなかった」

以降、チャンスがあればできるだけ海に通って波乗りの腕を磨いた。ダニエルの場合、海の近くに住んでいないこともあり、毎日のように練習はできない。偶然ボードには立てたものの、しばらく海に通わないと感覚を取り戻すにはそれなりの時間が必要だった。カラダが慣れるまでは思うようにボードもさばけず、予想外の大きな波に直面しては、撃沈。そんな状況でもとにかく時間があれば海に通って練習を重ねた。

「いくら目の前にいい波が来てもパドルが素早くできなければその波に乗ることはできない。波乗りの95%は"パドル力"だと思うから水の中でどれくらい過ごすかで上達度が違ってくるよね」

仙人のように穏やかなダニエルだが、サーフィンの話になると途端に真剣な眼差しに。波に乗りたくても乗れない青春期のモヤモヤが、サーフィンへの情熱をかえって後押ししたのかもしれない。

波乗りの傍ら、大学では民族植物学とスペイン語を専攻していたダニエル。卒業後は博士号を取得するためにペルーのアンデスに移住。だが、なにかが違うと感じた彼は、スペイン語をマスターするために再び移住を決める。新天地のコスタリカで波乗りを再開した彼は、自分の人生にサーフィンが欠かせないものだと痛感した、と語る。帰国後は迷うことなく海の近いマリブへ居を定め、大自然に囲まれたカリフォルニアライフを満喫するように。ロングボードをメインに優雅なライディングを楽しんでいる。

「ロングボードを極めるとショート、フィッシュなど様々なレングスやスタイルのボードが簡単に乗りこなせるようになったんだ。波に適したボードを使うことで、適切なポジションに乗ることが重要だともわかったよ」


波乗りに負けない情熱を傾けるモノ


そんなダニエルを語るうえで欠かせないのが、セラミックアーティストとしての顔。美しいフォルムと表面に施された民族的なアートが印象的で、陶芸の世界で非常に高い評価を受けている。おもに食料保存用のジャーやマグカップ、ボウルやポットなどを制作しており、最近では、持ち運びができる小ぶりなポケット・ウイスキージャーも人気。彼の代表作のひとつとなっているのだとか。デザイナーものを扱うお洒落なセレクトショップやファッションストア、オンラインストアなどで扱われ、年々そのファン層も拡大しているという。そんな彼がセラミックと出合ったのは、意外にも大学時代。

「きっかけは大学でたまたま受けたセラミックのクラス。これが面白くて、徐々にのめりこむようになったんだ。素手で象っていくハンドビルドとロクロをまわしながら形を整える2通りをじっくり学んだよ」

ビギナー向けの内容ということもあり、単純に学ぶこと自体を楽しめたというダニエル。

「授業を通して、幼少の頃に粘土遊びに夢中になっていた自分の記憶が蘇ってきたんだ。自分はもともと手を動かしてモノを作ることが好きだったんだなってね」

その教授からは、セラミックの基本を教わっただけではなく、モノ作りへの情熱や創造する喜びなど精神的なことも学んだ。ポタリーに木版画を組み合わせるという彼独自のスタイルも、この頃すでに誕生していたという。ただの大学の授業と思いきや、得るものはかなり多かったようだ。

より本格的に陶芸に取り組むようになったのは、マリブに拠点を構えてからのこと。ヴェニスにあるスタジオに毎日のように通い練習に明け暮れた。同スタジオには、デザイナーやアーティストなど、感度の高い人々が多く通っていた。そんな仲間たちに作品が高く評価され、やがて個展を開くなど本格的な陶芸家としてのキャリアがスタート。前述したように現在では数多くのショップで取り扱われている。彼の作品のファンにはサーファーも多く、最近ではケリー・スレーターファミリーからオーダーを受けたそう。

シェイパーとしての新境地

現在、マリブの小洒落た古民家で暮らすダニエル。広い裏庭の一角にはスタジオが設置され、制作活動や彼が講師を務める陶芸クラスも開催している。その隣の敷地には、なにやらシェイプルームが。聞けば、以前はただの物置だったが、1年前に両壁を設置し環境を整えたという。実は、ダニエルはリサイクルボード専門のシェイパーとしても活動している。

「最初は自分の中古ボードを使って好みのボードを削ってみたんだ。それからリシェイプする作業が楽しくなって病みつきになったのさ」

以来、友人から譲り受けたサーフボードや、ビーチに放置されていたボードを利用し、それらのボードを蘇らせてきた。その方法もユニーク。従来のシェイパーはブランクスをカットすることからはじめるが、ダニエルの場合はボードの表面(レジンやガラスクロスシート)を剥がす作業から開始。その後、丸裸にしたボード(ブランクス)を好みの形にノコギリでカット。新しいボードに取り付けるフィンも、当然リサイクル。適切なサイズがない場合は再利用の木材をカットして作るのだそう。

なぜリサイクルにこだわるのかと尋ねると、

「ビーチには多くのゴミがあふれ、そこにはサーフボードもたくさん放置されているんだよ。壊れているものは修理すればまだ使えるじゃないかと、自分のできることからはじめたんだ」

そんな彼の噂は口コミで広がり、リサイクルボードを購入したいというオファーが殺到中。

「今は陶芸とリサイクルボードを繋ぐプロジェクトを計画中。近い将来、アメリカだけでなく日本でも展開するつもりだよ」

ホームポイントはココ!
ズマ・ビーチ[ZUMA BEACH]
マリブピアからクルマで20分ほど北上すると現れる穏やかなビーチ。基本的にショアブレイクでショート向きだがチューブも期待できる。ダニエルはかつてマリブピア付近に通っていたが、最近は家に近いこちらがお気に入りだそう


ボードにガラスクロスシートを被せる前に自身のアートを敷くダニエル。仕上げにレジンを被せると色があざやかに


彼のアートが施されたボード。万物のエレメントである黄金比からヒントを得たシンボルだそう 


ブランクスの上に被せるガラスクロスシートだって無駄使いせずに使用が鉄則


ビーチで回収した中古のフィンも収集。シェイパー界の巨匠、ジョージ・グリノーのフィンも!


独特のアートが施されたダニエルのセラミック。彼の波乗り愛が伝わるサーフアートが施されたものも

シェイプルームの周辺にはこれから使用する中古ボードが並ぶ。マニア垂涎のレアなボードも含まれている!

 
Information

雑誌『Safari』3月号 P196・197掲載

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写真=アンドレア・シェア 文=高橋百々 photo : Andrea Share text : Momo Takahashi(Volition&Hope) photo by AFLO
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