Safari Online

SEARCH

LIFESTYLE ライフスタイル

2024.03.14


【楢﨑智亜】表彰台に届かない悔しさが成長の糧に!

世界選手権ではボルダリングと複合で通算3個の金メダルを獲得し、W杯ではリードで4度表彰台に上がった実力を誇る。2大会連続出場の切符を掴んでパリ五輪に挑む日本のエースが、失意の東京五輪を語る。

TOMOA NARASAKI
TURNING POINT
【楢﨑智亜】表彰台に届かない悔しさが成長の糧に!2021年8月5日
東京オリンピック
スポーツクライミング男子複合決勝

昨年8月にスイスで行われたクライミング世界選手権男子複合で銅メダルを獲得し、パリ五輪日本代表に内定した楢﨑智亜。2021年開催の東京五輪では、金メダルの最有力候補に挙げられながらも4位に終わり、メダルには届かなかった。その悔しさを晴らす挑戦権を得た楢﨑が、リベンジを誓った東京五輪のことを分岐点として語ってくれた。

「2019年の世界選手権で優勝して代表内定を獲得後、調子が上がってきていた状態で挑んだ大会でした。フィジカルの面でいえば絶対に勝てる大会だと思っていたのですが、それまでの世界大会にはない感覚があって、いいパフォーマンスが発揮できず。自分をうまくコントロールできていませんでした」

コロナ禍によって開催が1年延期されたことなども影響し、今思えば、自ら様々な重圧を抱え込んでいたという。

「クライミングが競技として初採用された五輪で、しかも自国開催。さらに自分自身もはじめてのオリンピックでした。五輪以前のそれまでの国際大会はあくまで自分自身の戦いで、なんというかすごく身軽な感覚がありました。でも、東京五輪では様々なものを背負ってしまっている感じがして、身体がうまく動いていませんでした。自分が結果を出せばクライミングが今まで以上に注目されて、競技が盛り上がっていくかもしれないということなど、いろいろ考えてしまった。戦い方もそうですが、気持ちの面で勝てる状態ではなかったですね。緊張ということでいえば、東京五輪ほど緊張したことはなかったと思います」

東京五輪のクライミングは、スピード、ボルダリング、リードの3種目で総合順位を決める複合競技として行われたが、楢﨑は最初のスピードでつまずくことに。当初決勝は8人で戦う予定だったが、スピードが強いフランスの選手が棄権し、7人で争うことになった。スピードが得意な楢﨑は、この種目で1位を獲得できる可能性が高まったが、逆に「戦い方に迷いが生じてしまっていた」のだという。

「自分に一番タイムが近い選手がいて、ここで彼に競り勝つことができればいい流れだと思っていたのですが……。欲が出てしまったせいで力が入りすぎ、足をスリップさせてしまいました」

それでも「最低限の2位は取れた」と気持ちを切り替え、同じく得意種目であるボルダリングで巻き返しを図ることに。しかし、3つあるボルダリングの課題のうち、ふたつめを登りきることができず。セッティングされた課題が難しすぎて3つめの課題を誰も登ることができなかったこともあって選手たちのリザルトが分かれず、優位に立つことができなかった。結果的に「スピードとボルダリングを終えた時点で勝負を決めておきたい」と思い描いていたゲームプランが、現実と噛み合わなくなってしまった。

「自分で重圧を背負ってしまっていたこともありますが、フィジカルの面でも五輪前の1年で伸びたので、いろいろなことに手をつけすぎてしまった部分もあったかもしれません。毎年4月のW杯に向けて、シーズン終了後から半年くらいかけてトレーニングをするのですが、東京五輪の年はコロナ禍の影響でW杯の開催も延期され、トレーニング期間も延びました。そういった期間にできることを増やしていくと、それを洗練させていく時間も必要になってくるのですが、そこがちょっと足りなかったという思いもあります。たとえば、筋力が上がったらすぐに競技力が向上するわけではなく、それを技術に紐づけていく作業も必要になります。それと同じようにうまくまとめることに対する意識も、今思えばもっと必要だったのではないかと思います」

そんな東京五輪の雪辱を果たす思いで挑むパリ五輪に向け、どんな思いでクライミングと向き合っているのだろう。

「パリ五輪でのクライミングは、ボルダリングとリードの2種目の複合競技になります。そうなるとボルダリングで確実に1位を取りつつ、リードでどれだけ点数を稼げるのかが重要になってくるので、今はリードの強化として無駄なく効率よく動くトレーニングなどに取り組んでいるところです。東京五輪で金メダルを獲得できなかったのは、やはり精神的にきつかったですね。でも結局試合中に戦うのは自分なので、今は自分にフォーカスすることを意識してクライミングと向き合っています。僕にとって今まで一番悔しかった経験は、やはり東京五輪で金メダルを取れなかったこと。その気持ちは、五輪でしか返せないと思っています」

【楢﨑智亜】表彰台に届かない悔しさが成長の糧に!スポーツクライマー
楢﨑智亜
TOMOA NARASAKI
1996年、栃木県生まれ。小学校4年から兄の影響でクライミングをはじめ、宇都宮北高を卒業後、プロとして競技に専念。2016年のクライミングW杯のボルダリングで日本男子初の年間総合優勝を果たす。2019年の世界選手権3種目複合で優勝して出場した東京五輪で、4位入賞。

TAMURA’S NEW WORK
全日本フィギュアスケート選手権
【楢﨑智亜】表彰台に届かない悔しさが成長の糧に!樋口新葉や坂本花織、宇野昌磨、“りくりゅう”ペアというトップスケーターに加え、三浦佳生、島田麻央、鍵山優真といった次世代を担うスケーターを大会のシンボルとして表現。「この競技ならではの表情の豊かさにもこだわって描きました」

力強さと華麗さを感じる作品に

今にも動き出しそうな躍動感で描かれた、日本を代表するフィギュアスケーターたち。これは昨年末に開催され、フジテレビで中継された“全日本フィギュアスケート選手権2023”のために田村が描き下ろしたメインビジュアルだ。

「昨夏に“ワイドナショー”という番組に出演させていただいたのですが、それを見たプロデューサーの方からお声がけいただいたんです。本気で絵と向き合っていれば、見ている人は見ていてくれるんだということを改めて実感しました」

他競技とはまた少し違う意識で描いた。

「フィギュアスケートは、選手のみなさんが長い時間をかけて美しさを極め、芸術性を表現するアート作品のような魅力がある競技。その中でも今回は、全日本という大きな舞台で戦うトップクラスの表現者であることを意識して描かせてもらいました。力強さだけではなく、華麗さも表現している競技の素晴らしさが伝わるような作品になっていれば嬉しいです」

<img src=アーティスト
田村 大
DAI TAMURA
1983年、東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会であるISCAカリカチュア世界大会で、総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のフォロワーは10万人以上。その中にはNBA選手も名を連ねる。Instagram:@dai.tamura

アスリートに関するオススメ記事はコチラ!
【楢﨑智亜】が語る、強さの秘訣とお洒落について! 感覚と見せかけて裏に緻密な計算もあり!
アスリートとファッション
美女アスリートとデニム

 
Information

雑誌『Safari』4月号 P166〜168掲載

“アスリートの分岐点”の記事をもっと読みたい人はコチラ!

●『Safari Online』のTikTokがスタート!
こちらからアクセスしてみて!

イラスト=田村 大 文=遠藤 匠
illustration : Dai Tamura text : Takumi Endo photo by AFLO
Urban Safari CLOSE-UP BRAND フレデリック・コンスタントエレガントな時間を、手元に宿す。
SPONSORED
2025.11.28

Urban Safari CLOSE-UP BRAND フレデリック・コンスタント
エレガントな時間を、手元に宿す。

創業地“小矢部”の名を冠した〈ゴールドウイン〉のプレミアムな1着!大人のスキーウエアは上質感と快適さで選ぶ!
SPONSORED
2025.12.01

創業地“小矢部”の名を冠した〈ゴールドウイン〉のプレミアムな1着!
大人のスキーウエアは上質感と快適さで選ぶ!

1950年にはじまった〈ゴールドウイン〉のヒストリー。その新作スキーウエアコレクションの名前は、創業地にちなんだ“オヤベ”だ。歴史の深みを感じさせ、エイジレスなスタンダードデザインでありながら、機能は最新鋭。素材はもちろん、ひとつひとつの…

TAGS:   Fashion
初登場HYDEが〈ハリー・ウィンストン〉をまとう!カリスマに似合うのはいつも最高峰の輝き!
SPONSORED
2025.11.25

初登場HYDEが〈ハリー・ウィンストン〉をまとう!
カリスマに似合うのはいつも最高峰の輝き!

一流は一流を引き寄せるとは、よくいわれること。ロックアーティストHYDEがまとったのは“キング・オブ・ダイヤモンド”として名高い、世界最高峰のジュエリー&ウォッチブランド〈ハリー・ウィンストン〉。常に最高を求め続ける両者が出会うと、どんな…

TAGS:   Fashion Watches
〈タトラス〉で見つけたここぞの1着!さりげに違い出しできる大人の冬アウター
SPONSORED
2025.11.25

〈タトラス〉で見つけたここぞの1着!
さりげに違い出しできる大人の冬アウター

冬カジュアルの主役であるアウターは、さりげなく違いが出せる1着を選びたい。そこで注目すべきなのが、大人のための上質な冬アウターに定評のある〈タトラス〉。定番ベースのシンプルなデザインを基本としつつ、街ゆく人をハッとさせるさりげない“違い”…

TAGS:   Fashion
〈サンローラン〉なら小さくても格上感あり!大人の革小物はさりげなロゴ使いで!
SPONSORED
2025.11.25

〈サンローラン〉なら小さくても格上感あり!
大人の革小物はさりげなロゴ使いで!

普段、バッグや靴ほど目立たないが、意外とセンスを問われるのが財布などの革小物。大人ならシンプルながらも品があって、さりげない上質感のあるものが狙いめだ。となれば〈サンローラン〉の革小物を。小ぶりなアイコンロゴがピリッと効いた財布やカードケ…

TAGS:   Fashion
俳優・桜田 通が〈ベル&ロス〉の希少な限定モデルをつけこなす!“赤き情熱”と“煌めく緑”の衝撃!
SPONSORED
2025.11.25

俳優・桜田 通が〈ベル&ロス〉の希少な限定モデルをつけこなす!
“赤き情熱”と“煌めく緑”の衝撃!

航空計器から着想を得た革新的なデザインが人気の〈ベル&ロス〉から、2本の限定モデルが登場した。情熱的な輝きを放つダイヤルの赤と闇夜にクールに浮かび上がる蓄光の緑。異なる魅力を宿す2本のパワーウォッチがファッションシーンでも注目を集める俳優…

TAGS:   Fashion Watches
大人にこそ持ってほしい〈フルラ〉の新作!冬カジュアルに効く品格バッグ!
SPONSORED
2025.11.25

大人にこそ持ってほしい〈フルラ〉の新作!
冬カジュアルに効く品格バッグ!

大人の冬カジュアルに欠かせない名脇役がバッグ。どんな着こなしにも似合う上質なバッグがあれば、気分よく外出できるというもの。そこでおすすめしたいのが、〈フルラ〉の新作として登場した“アーバン バックパック”。コートなら背負って、短丈ブルゾン…

TAGS:   Fashion
機能美が所有欲をくすぐる〈アシックス〉のワーキングシューズ!こだわる男のための次世代ワークブーツとは!?
SPONSORED
2025.11.25

機能美が所有欲をくすぐる〈アシックス〉のワーキングシューズ!
こだわる男のための次世代ワークブーツとは!?

男のカジュアルウエアは、ワークやミリタリーをモチーフにしたタフで骨太なアイテムが定番。それは服だけでなく、足元も同じだ。とはいえ往年のワークブーツなどでは、履き心地やスペック的に現代の暮らしにフィットしない!? ならば、〈アシックス〉のワ…

TAGS:   Fashion
“とっておき”を、自分にも、大切な人にも!“上質”を贈りたい 大人のギフト!
SPONSORED
2025.11.25

“とっておき”を、自分にも、大切な人にも!
“上質”を贈りたい 大人のギフト!

クリスマスに忘年会、そしてニューイヤー……年末年始は、特別なギフトシーズン。頑張った自分へのご褒美に、大切な人に感謝を込めて、“とっておきの上質”を贈りたい。自分の身と心を一新させるようなワザありの逸品から、相手の顔が思わずほころぶ名品ま…

建築家・クマタイチが〈バルミューダ〉で発見。豊かな暮らしをデザインする、加湿器の新しい選択。
SPONSORED
2025.11.14

建築家・クマタイチが〈バルミューダ〉で発見。
豊かな暮らしをデザインする、加湿器の新しい選択。

〈バルミューダ ザ・ストア 青山〉を訪れた建築家・クマタイチさん。暮らしに寄り添う建築を数多く手掛けてきたからこそ、関心を寄せたのは新しい加湿器“レイン”だ。ただ湿度を調整するだけでなく、暮らしを豊かに導くための機能や造形美を兼ね備えた“…

勝利を呼び込む〈タグ・ホイヤー〉の傑作3選!名作時計はファッション使いするのが決め手!
SPONSORED
2025.11.11

勝利を呼び込む〈タグ・ホイヤー〉の傑作3選!
名作時計はファッション使いするのが決め手!

2025年で創業165周年を迎え、そのうえ、22年ぶりにモータースポーツの最高峰である“F1”公式タイムキーパーにも返り咲いた〈タグ・ホイヤー〉。モータースポーツと密接な関わりをもち、勝利を象徴するウォッチとして君臨してきたそれは、時を経…

素材感と職人技が光る〈アニアリ〉。ミニマルに洗練されたジャパンメイドのトートバッグ。
SPONSORED
2025.11.18

素材感と職人技が光る〈アニアリ〉。
ミニマルに洗練されたジャパンメイドのトートバッグ。

上質なレザーのしなやかな感触と使い勝手の良さで支持を集めている〈アニアリ〉のバッグ。ミニマルで洗練されたデザインは、装いを自然に洗練されたものへと導いてくれる。また、確かな日本の職人技に裏打ちされた使いやすさと安心感が、使うほどに深まる風…

TAGS:   Urban Safari Fashion

NEWS ニュース

loading

ページトップへ