【根塚洸雅】ルーキーイヤーの挫折が代表初招集への布石に!
小柄な身長173㎝を感じさせない力強いランを持ち味とし、ボールを持てばラインブレイクを決めて勝利に貢献する。クボタスピアーズ船橋・東京ベイの根塚洸雅。ルーキーイヤーに味わった悔しさを糧に、高みを目指す。
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- アスリートの分岐点! vol.30
KOGA NEZUKA
TURNING POINT
2022年3月11日
NTTリーグワン2022 第9節
VS 東京サントリーサンゴリアス
プロの高く分厚い壁!
ルーキーイヤーとして挑んだ2022年シーズンに輝きを放ち、新人賞、ベストラインブレイカーを含む個人賞3冠を成し遂げた根塚洸雅。7節でデビュー後、プレイオフまでの全12試合に先発出場し、リーグ戦で4トライを達成してベスト15に選出された。6月のウルグアイ代表とのテストマッチでは日本代表デビューを飾り、リーグワンの新星として注目を集める存在となった。
そんな根塚が分岐点として語ってくれたのは、目覚ましい活躍を見せた初年度の一戦。シーズン後半戦となる第9節で順位1位だったチームが、2位の東京サントリーサンゴリアスと対戦した頂上決戦だ。ケガで出遅れていた根塚は、トヨタヴェルブリッツと対戦したデビュー戦で、プレイヤー・オブ・ザ・マッチを獲得。勢いに乗って挑んだ、リーグワン3戦めだった。
「初年度はその前の2試合で自分としても納得できるプレイが続き、いい調子でいけていたのですが、この試合ではそううまくはいかず。社会人の厳しさを味わいました。リーグワンでのデビューをいい形で飾れていただけに、自分としてはめちゃくちゃ悔しかった。同時にここから頑張っていかなきゃいけないんだという現実と向き合った試合でもありました」
鮮明に覚えているシーンも、悔しさを味わった後半のとあるプレイだった。「後半の14分くらいに相手チームのWTB(ウィング)の尾﨑晟也選手とマッチアップしたのですが、思いっきり外されてそのままトライまで持っていかれてしまい、試合も点差を広げられてしまいました。たらればになってしまいますが、自分があの場面で抑えていれば負けなかったかなというのは、試合が終わってからずっと思っていたこと。そこが自分的には一番悔しかった部分ですね。僕は今、ウイングでプレイしていますが、大学までは一個内側のポジションとなるCTB(センタースリークォーターバック)をやってきて、ディフェンスを持ち味にしてきた部分がありました。それでも、しっかり外されてしまった。ずっとリーグのトップでWTB(ウィング)をやってきた尾﨑先輩に、厳しさを叩き込まれた経験でした」
しかし、持ち味を発揮できた部分もあった。相手のペナルティゴールで24-33と9点差まで広げられて迎えた後半33分。自陣10m付近でボールを奪った青木祐樹からのパスが藤原 忍に繋がる。 そこからパスを得意とする立川理道、岸岡智樹を経て外側に運ばれたボールを受けた根塚は、勝負に出て豪快な突破を図った。後半に投入されたリザーブ選手を含めて果敢なチャレンジを試みたここからの一連のプレイでチームはトライを決め、29-33の4点差にまで迫った。
「後半のそのプレイのほかに、前半でもいい形でキックカウンターができていたので、アタックの部分では自分のよさを出せた場面もありました。でも、一方でこの試合は、社会人リーグではじめて負けを経験した試合でもあったんです。だから、なおさらあのシーンで尾﨑さんにあざやかに抜かれてしまった自分に腹が立った、というのはありますね」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイに入団してからウイングに転向し、2シーズンめを迎えた。分岐点として語った試合での悔しさを経て、現ポジションとどう向き合っているのだろうか。
「やはりアタックという部分では持ち味を出せてはいると思いますし、田邉アシスタントコーチともミーティングを重ねながら成長はできていると思います。ディフェンス面では、尾﨑さんにやられて以来、いろいろ試しているところです。日本代表の合宿に参加させていただいたときも、相手を止めるべき局面で止められるかどうかは課題になってくると指摘していただきました。リーグに戻ってきてからも持ち帰った課題を意識しながら、イメージしているディフェンスが徐々にできてきているかなというところです」
ハイボールの競り合いにおけるスキルアップも、成長の課題のひとつだという。
「そこはもう常に意識しています。特にこれから世界と戦っていくことになると、バックスリー(両ウイングと最後方のフルバックの3名の総称)は身体が大きくて身長も高い選手が多くなってくる。その中で、小さい自分がどうやってボールを取っていくのかというのはいつも課題にしていかなくてはならない部分です。ただ、まずは日本代表というより、リーグ戦の優勝が一番の目標。ディフェンスのレベルを一段階引き上げることにビッグフォーカスを置きながら、気を引き締めて戦っていきたいですね」
ラグビー選手
根塚洸雅
KOGA NEZUKA
1998年、兵庫県生まれ。東海大学付属大阪仰星高校、法政大学を経て、2021年にクボタスピアーズ船橋・東京ベイ入団。2022年に新人賞、ベスト15、ベストラインブレイカー賞を受賞。昨年6月のウルグアイ代表とのテストマッチで日本代表初キャップ、初トライを記録。
TAMURA'S NEW WORK
Bリーグ×日本郵便
「身体の大きな選手にも勇敢に立ち向かう河村選手は、多くのプレイヤーに勇気を与えていると思います。クーリー選手は、ゴール下の強さが際立つ選手。ビュフォード選手は、オフェンシブなオールラウンダー。選手たちがここからどんなプレイをするのか想像を掻き立てられたら嬉しいですね」
コートで輝いた選手を讃えるために
河村勇輝を筆頭に、Bリーグを牽引する選手が躍動する姿を描いた作品。これは最も活躍をした選手を選考委員会が毎月選考し、月間MVPとして表彰する“Bリーグ マンスリーMVP バイ 日本郵便”のために描き下ろしたものだ。
「BリーグのMVP選考はこれまでファン投票でしたが、今期から新たに選考委員会を設置し、より選考基準が明確に。選手のモチベーションがさらに高まるものになったと思います。実は僕も選考委員に任命していただいたのですが、受賞選手には僕の作品を用いた表彰楯と日本郵便のふるさと小包などが贈られます」
田村は、インターハイ出場経験のある筋金入りのバスケファンでもある。
「バスケと同じように大好きな絵を描き続けてきたことで、こんな形でMVPに関わらせていただき光栄です。僕が描いた表彰楯を手にすることが頑張りになる選手が1人でもいてくださったらさらに光栄なので、心を込めて描きます」
アーティスト
田村 大
DAI TAMURA
1983年、東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会であるISCAカリカチュア世界大会で、総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のフォロワーは20万人以上。その中にはNBA選手も名を連ねる。海外での圧倒的な知名度を誇る。Instagram:@dai.tamura
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illustration : Dai Tamura text : Takumi Endo photo by AFLO