〈ゴニア クラマエ〉の“サラダボウル”
新旧の実力店が群雄割拠する焼き肉タウン・浅草で、肉の目利きと焼きの技を武器に、シーンをイノベートする〈焼肉ビースト〉の山田貴弘シェフ。焼き肉ファンのみならず、全国を食べ歩く食通からも絶大な信頼を寄せられている山田シェフが、今、注目する新店とは?
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- 注目シェフが教える感動の「名店メニュー」 vol.32
ゴニアスペシャル
(1320円~)
7~8種のフレッシュな野菜のほか、ゆで卵、自家製ツナ、オーブンで焼いた鶏のせせりに生ハムと“スペシャル”の名にふさわしい内容。ベースはオニオンドレッシング、仕上げはマヨネーズソースで。テイクアウトもできる
〈焼肉ビースト〉山田貴弘シェフ希少牛の炭火焼き肉をシェフズテーブルで
和牛のなかでも最高峰とされる兵庫県産太田牛の専門店。希少部位も揃い、部位ごとにふさわしい切り方や味付けなど、技が光る肉仕事で、焼き肉の概念をアップデイトしてくれる。山田シェフ自らが炭火で焼く肉を楽しめるカウンター席は、シェフズテーブルさながら。
住所:東京都台東区浅草2-19-5 営業時間:17:00~23:00LO(日曜・祝日13:00~21:00LO) 定休日:水曜 TEL:03-5830-3729
惜しみない手間暇が伝わる味
フレンチやイタリアンより、寿司店や和食の店に出かけることが多いという山田貴弘シェフ。「シンプルで、食材を生かした料理が好き」と話すが、その言葉は自身の仕事にも通じる。極上の素材を前に、状態を見極め、必要なひと手間を加えることで味をより高め、焼き肉をアップデイトしてきた人だ。
生まれも育ちも浅草で、浅草界隈のシェフたちからも信頼される“兄貴分”的存在。そんな山田シェフが注目していると話すのが、伊藤良行シェフの新店、〈ゴニア クラマエ〉だ。
「独立前に“肉の扱いを学びたい”と、うちの店を手伝ってくれたことが。フレンチなどの名店でしっかりと修業した基礎がありながら、いい意味で貪欲」
開業後は、いち早く足を運んだという。
「鉄板で焼く肉料理はもちろん、名物と謳うサラダもとても美味しい。野菜の扱いが丁寧で、ドレッシングも自家製。かけた手間暇が、味に表れています」
肉料理に加え、野菜中心でも満足できる一皿
生まれ育った浅草エリアに店を構えた伊藤良行シェフ。修業時代に繁盛ビストロなどで培った技術を生かしつつ、「これまで地元になかった店にしたい」と、サラダとスープの2品をメニューの核に据えた。
「修業した白金台や中目黒など、東京の西側には、サラダの専門店もあるけれど、この界隈にはない。ヘルシー志向の人にも支持され、ワイン好きがおつまみとして食べられるような、主役になるサラダやスープを作りたいと考えたんです」
店名を冠した“ゴニアスペシャル”は、ローストして甘みを引き出したたまねぎに、ビネガーの酸味を効かせた紫キャベツやニンジン、フレッシュのマッシュルームの薄切りなど、手間をかけて調理した野菜が7~8種類使われている。
「スライサーで切りたての生ハムがのるのも、レストランのサラダならでは。スプーンでストレスなく口に運べる“食べ心地”も考えて作った一皿です」
Check1 野菜を細かく切り刻むロメインレタスやホウレン草など、ベースの葉野菜は、マシンで細かく刻む。ちぎった葉よりも大量の野菜が食べられ、味が絡みやすくなるうえに、ほかの野菜ともよく馴染む
Check2 生ハムは切りたてでイタリアの老舗ブランド〈ベルケル〉社の高級電動スライサーを導入。切っておくと時間とともに味が劣化するパルマ産の生ハムは、調理の仕上げに切りたてを盛りつけている
GONIA KURAMAE
オーナーは、白金高輪〈オー・ギャマン・ド・トキオ〉(現在は恵比寿に移転)をはじめ、時代をリードする繁盛店で8年、腕を磨いた伊藤良行シェフ。満を持して開いた自身の店は、日常使いできるビストロだ。地元・蔵前のY字路に立つホテルの1階で、通りに面した窓が開放的。プランチャ(鉄板)を中心とした厨房を囲むカウンターは、ライブ感もひとしおだ。王道のビストロ料理を軸にしつつ、サラダ、スープのメニューも豊富に揃う。シグネチャーのサラダは、1皿で満足できるボリュームで、ワインのつまみにも好適。
厨房を囲むカウンターのみ
“山形豚のデミグラスハンバーグ”2420円。ポルト酒が香る濃厚なソースで
ワインはブルゴーニュなどエレガントなものが中心。ソムリエ資格も持つ伊藤シェフのセレクト
伊藤シェフ
●ゴニア クラマエ
住所:東京都台東区蔵前3-1-1
営業時間:11:00~14:00最終入店、17:00~19:30LO
定休日:月曜
TEL:03-5823-4432
雑誌『Safari』11月号 P246~247掲載
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photo : Jiro Otani text : Kei Sasaki