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2020.06.15


〈ル・コック〉の“スモークサーモン”

神泉の予約至難のイタリア料理店〈オルランド〉。20代の頃からイタリアンに限らず、あらゆるレストランの食べ歩きを続ける小串貴昌シェフが「憧れ続ける」と話す、20年近く通い続けるフランス料理店のスペシャリテとは。

自家製スモークサーモン(8000円のコースより)
ほのかな燻製香をまとったレアな食感で、口の中でほどけるような柔らかさ。決して強い味ではないのに、リッチな余韻が長く続き、酸味のフレッシュなワインと相乗する。シブレットが香る生クリームをアクセントに添えて


オススメしてくれたのはこの人!
〈オルランド〉小串貴昌シェフ


イタリアが香る滋味を各州のワインとともに
もともとはサービスマン。国内外の店で経験を積み、イタリアのバールやエノテカを踏襲した店作りで日本のイタリア料理シーンを刺激し続けてきた小串シェフ。2014年に開業したこの店では自ら厨房に。季節が香る伝統的な料理をワインとともに楽しむ時間を提案する。

住所:東京都目黒区青葉台3-1-15 
営業時間:18:00~22:30L.O 休日:日曜

TEL: 03-6427-0579
www.orlando.tokyo/



小串シェフ
ブレないおいしさを確かめる

はじめて小串シェフが〈ル・コック〉を訪れたのは、18年前のこと。

「まだ用賀にあった頃、勤めていた店のシェフの半指令的おすすめで(笑)。その頃は昼営業もあり、若い僕らの財布にも優しく、料理は感動的に美味しかった」

当時は、週に1度必ずレストランに食事へ出かけていたという。そのためのスーツやシャツを用意して。「レストラン業界の古きよき時代ですね」と話す小串シェフは独立後、一軒めのバールを代官山に開いたことから、世代は違えど、経営者同士、比留間シェフ夫妻とのご近所づき合いがはじまった。

「たくさんの技術が詰まっていながら、ごくシンプルな料理は〝味のリトマス試験紙〞になる。比留間シェフの料理が好きな人とは話が合うと、歴代のスタッフや料理人仲間など多くの人とお邪魔しました。〝自分がフランス料理人だったら、こんな料理を目指すだろう〞と、ジャンルを超えた指標を与えてくれる店です」



比留間シェフ
職人の仕事で定番料理も味に差がつく

小串シェフをはじめ、多くの常連客が「〈ル・コック〉といえばあのスモークサーモン」と、口を揃える一品。「特別なことはなにもないですよ」と、話す比留間シェフだが、ベーシックな一皿の細部には美味しさの秘密が詰まっている。「サーモンはノルウェー産が有名ですが、それよりやや脂が控えめのタスマニア産で、生で食べられるものを使います。脂の量が多めのときは、塩もやや多めにするなど、魚の状態を見て塩分を微調整。クローブやジュニパーベリーなどのスパイスでマリネにして、燻製はごく軽めに。ほのかな燻香をまとい、芯部はしっとり、レアな仕上がりを目指しています」

約2㎝と、ぶ厚くカットしてあるのも大きな特徴。

「味つけも提供方法も、私自身が一番美味しいと感じるスタイルで。口の中に入れた刹那にほろりと崩れ、舌の上で溶けていく、柔らかな食感もお楽しみいただければと思っています」




Check1 スパイスでマリネ

塩、砂糖などの調味料とクローブ、ジュニパーベリー、コリアンダーシードで2日間マリネ。スパイスの香りをまとわせながら、余分な水分を抜き、風味をぎゅっと凝縮させていく

Check2 遠火でじっくり燻製
“スモークウッドをサーモンから遠い位置にセットし、決して火が入りすぎないようにスモークする。仕上げにオリーブオイルをまぶして半日間寝かせて、全体に味を馴染ませる


Le Coq[ル・コック]

オーナーの比留間光弘シェフ、マダムの真由美さんが2人で営むフランス料理店。用賀で開業したのが1997年。夫妻で1年間のパリ暮らしを挟み、恵比寿に移転して12年めになる。フランス料理の伝統技法に忠実ながら、様々な要素をそぎ落とした引き算の味が身上で、食べ慣れた料理の中にほど、ハッとする驚きが潜む。スモークサーモンに鶏の塩窯包み焼き、モンブランなど“名品”と呼ぶべき料理がいくつも揃い、これらを目当てに訪れるゲストの中には、料理人やレストラン関係者など食のプロも多い。

しつらえはシンプルで、隅々まで手入れの行き届いた店内

ラングスティーヌのカダイフ包み焼き(8000円のコースより)


恵比寿駅と代官山駅の中間の静かな通り沿いに立つ

フランスで8年半、ミシュラン三ツ星店を中心に腕を磨いた比留間シェフ

 
Information

●Le Coq[ル・コック]
住所:東京都渋谷区恵比寿西2-7-2 ウィンズビル 1F
営業時間:18:00~22:00L.O

休日:不定休
TEL:03-3770-1915

雑誌『Safari』7月号 P158~159掲載

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photo : Jiro Otani text : Kei Sasaki
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