〈バイ ミー スタンド〉の“ホットサンド”
人気レストランのシェフが、密かに通う店、お気に入りのメニューを教える新連載。第1回は銀座〈マルディ グラ〉の和知 徹シェフが登場。フランス料理にしっかり根ざしながら、型にハマらない料理で食べ手を魅了し続けるシェフのイチオシとは?
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- 注目シェフが教える感動の「名店メニュー」 vol.01
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ブルーマンデー(1250円)
黒パン×オレンジ×ターコイズブルーのプレートの色彩。そして断面からとろけ出すチーズのビジュアル、なにもかもサマになる
欧米では肉料理のソースとしてポピュラーなフルーツ。肉×果物の組み合わせが〈バイ ミー スタンド〉の味作りのベースになっている
オススメしてくれたのはこの人!
〈マルディ グラ〉和知 徹シェフ
幅広い食、旅の経験で味をアップデイトフレンチ界きっての肉シェフとして、世の肉好きを魅了し続ける。迫力のビステッカをはじめとする肉料理はもちろん、世界中の旅先から持ち帰ったアイデアや、高級店からB級グルメまでを食べ歩く幅広い食体験をもとに、味わい、プレゼンテーションを常にアップデイト。
住所:東京都中央区銀座8-6-19 野田屋ビル B1F
営業時間:18:00~24:00
休日:日曜
TEL:03-5568-0222
和知シェフ
果物やパン使い。すべてのセンスにうなりました
日々の営業前、気になる店に出かけるのが習慣という和知シェフ。「職人気質の料理屋だけでなく、カジュアルなカフェやデリも大好き。店内に男性は僕だけ、なんてことも(笑)」 和知シェフが「最近一番のヒット」と話すのが渋谷の〈バイ ミー スタンド〉だ。
「知人のインスタグラムで見て、これは早く行かねば!と。家具や器使い、サンドイッチのビジュアル。全部カッコよくて」
期待どおりの空間に加え、ホットサンドの味にも魅了された。オーダーは“ブルーマンデー"。いつも決まっている。「黒パンとフィリングの相性が絶妙。サンドイッチの世界にも名店はいくつかあるけれど、ここは"今の味"がするんですよね」と話す。マニアックな料理や味を紹介する一方で、「馴染みのあるものを、想像もしなかった独創的なスタイルで作り上げる」ことで知られる和知シェフ。そのインスピレーションの源は、こんなところにもあるのかもしれない。
及川店長
4種類のパン、多彩なチーズで味を作ります
はじまりの一品は“アップルチークス”。「オーナーの山本がニューヨークのダイナーで出合ったこの味に感動して、店が生まれました」と、話すのは、渋谷の本店で開業時から厨房に立つ及川弘店長だ。いまや全国に3軒、韓国ソウルにも店舗を展開するが、味作りは山本オーナーと元パティシエという経歴を持つ及川店長が手掛けている。「パンはイギリスパン、食パン型のフランスパン、カンパーニュ、黒パンと、具材に合わせて4種を使い分けています。牛肉には味のしっかりしたブルーチーズを合わせ、オレンジのスライスをアクセントに加えています」と及川店長。フィリングを挟むところまで仕込んでおいて、オーダー後に鉄板で蒸し焼きに。パンを香ばしくトーストしながら、フィリングをゆっくり温めることで、旨みと香りがサンドイッチ全体にいき渡る。プレスで仕上げるホットサンドにはないひと工夫が、味の違いを生み出しているというワケ。
Check1 蒸し焼き調理
パンを香ばしくトーストしながら、フィリングをいい具合に加熱する鉄板での調理がポイント。混み合う店内には、肉やチーズ、パンが焼ける香りが常に漂い、食欲をそそるのだ
Check2 肉×フルーツ
牛肉×オレンジ、豚肉×リンゴ、ハム×桃×ラズベリーと、肉×フルーツの組み合わせがいくつも見られる。フルーツの甘酸っぱさに、肉の旨み、チーズのコクや塩気が絶妙にマッチ!
BUY ME STAND[バイ ミー スタンド]
アパレルブランド〈サノバチーズ〉が、2015年に渋谷並木橋にオープン。古いマンションをリノベーションした空間は、ペパーミントグリーンが基調。ユーズドの家具やコーヒーメーカーが素っ気なく配された空間は、アメリカのダイナーを彷彿とさせる。センス抜群な空間や器使い、これまでになかったオリジナリティあふれるサンドイッチで瞬く間に人気店に。“ブルーマンデー(憂鬱)”や“カウチポテト(怠け者)”のように、知る人ぞ知るスラングを使ったメニュー名も小粋で洒落ている。味はトップシェフのお墨付きだ。
●BUY ME STAND[バイ ミー スタンド]
住所:東京都渋谷区東1-31-19 マンション並木橋202
営業時間:8:00 ~ 21:00
休日:不定休
TEL:03-6450-6969
雑誌『Safari』4月号 P222・223掲載
photo : Jiro Otani text : Kei Sasaki