都会の真ん中に潜む名店! この隠れ家フレンチが今、注目の理由
2026年6月27日、虎ノ門に注目のフランス料理店がオープンした。〈ラ トラディション(La Tradition)〉は、虎ノ門駅から徒歩約1分という好立地ながら、ビルの地下に位置する隠れ家となっている。

シックなエントランスと、上品で格のあるレイアウトに仕上げた店内
注目の理由は、栗田雄平氏がエグゼクティブシェフとして腕をふるっているから。栗田氏は1979年東京生まれ。都内のフランス料理店で経験を積み、2011年から乃木坂〈レストラン フウ(FEU)〉でスーシェフを務めた。2018年に〈ロテスリーレカン〉のシェフ、2020年に〈銀座レカン〉の8代目シェフに就任。〈銀座レカン〉をミシュランガイドの一つ星に導いた実力派の料理人だ。
店名にも掲げられている“トラディション”=“伝統”は、栗田氏の料理を読み解くキーワード。フランス料理のクラシックな技法やソースを大切にしながら、現代の感性で再構築していく。コース前半の3皿では季節を意識し、後半の魚料理と肉料理はワインとしっかり寄り添うようにしている。旬に合わせて内容を少しずつ変えていき、その日に入った最もよい食材によって、コースをフレキシブルに組み立てている。
サービスを率いるのは下野隆祥氏。銀座〈マキシム・ド・パリ〉でソムリエ、〈銀座レカン〉ではシェフソムリエや支配人を務め、ロンドン〈レストラン・ミラベル〉の総支配人も経験した。1993年には〈タイユバン・ロブション〉、現在の〈ジョエル・ロブション〉の初代総支配人に就任。2010年にはフランス共和国農事功労章“シュバリエ”を受章した、サービス界の重鎮だ。居心地のよさも確約する。
栗田氏の料理を存分に堪能するなら、ディナーの“ムニュ デギュスタシオン(Menu Dégustation)”(2万2000円)で決まり。 アミューズ、旬を映した前菜、オーセンティックな魚料理と肉料理、デザートまで続いていく。
“北海道産秋刀魚とキャビアドオーベルジーヌ”
秋の訪れを感じられる冷前菜が、“北海道産秋刀魚とキャビアドオーベルジーヌ”。初物の北海道産秋刀魚の身を、塩、グラニュー糖、赤ワインビネガーでマリネ。下には内臓や骨まで使ったピューレを敷き、秋刀魚そのものの旨味を余すところなく表現。茄子の“キャビアドオーベルジーヌ”、アンチョビ、ジャガイモ、ディルに、フランス産キャビアまで合わせている。秋刀魚の脂やほろ苦さに茄子の上味、キャビアの塩味が加わり、余韻まで重層的。
“オマール海老のグラッセ 里芋とブーダンノワール”
“オマール海老のグラッセ 里芋とブーダンノワール”は、食味に優れたオマールブルーを艶やかにグラッセした温前菜。弾力のある身は甘味も濃厚で、その下には里芋を使ったブーダンノワールを合わせている。里芋のねっとりとしたテクスチャーとブーダンノワールのコクが出色だ。アメリケーヌソースの泡をたっぷりとまとわせれば、甲殻類の滋味がさらに深まる!
“平目のブレゼ デュグレレ風”
魚料理の“平目のブレゼ デュグレレ風”は、これぞフレンチと思わせる一品。旬を迎える青森県産の平目にジャンボマッシュルームをまとわせ、骨や頭から取った出汁を使ってブレゼ=蒸し煮にした。平目はしっとりやわらかな身質で、俊味にあふれている。白ワインとバターのブールブランソースにトマトを合わせ、“デュグレレ風”に仕上げた。バターのコク、トマトの酸味や甘味によって、古典的でありながら軽やかな味わい。
“ランド産仔鳩のファルシ ノワゼット風味のジュ”
メインディッシュは、“ランド産仔鳩のファルシ ノワゼット風味のジュ”。仔鳩の腿、首、頭、内臓をペーストにして、胸肉の中に包み込んだ手の込んだファルシだ。断面は美しいロゼ色で、繊細な身質と濃密な旨味。上にはヘーゼルナッツをあしらい、香ばしい風味を加えている。根セロリのドフィノワとオーストラリア産黒トリュフまで添えられ、秋らしい芳醇な香りに満たされる。
“キャラメルと黒トリュフのスフレ”
グランデセールの“キャラメルと黒トリュフのスフレ”は、テーブルに運ばれた瞬間から気分が高揚する。オーブンから出したばかりで、生地はぷっくりと膨らみ、最高の熱々な状態。ふわふわっとしたテクスチャーの中からキャラメルの香ばしい甘味が広がり、黒トリュフの妖艶な香りが重なる。添えられた冷たいコニャックのソルベとの温度差も心地よく、最後まで印象に残るデザートだ。
“シャンパーニュ+5杯”。左から、“フルーリー ブラン・ド・ノワール ブリュット”、“シャトー・ラ・モット・デュ・バリー キュヴェ フレンチ・キス ボルドー・クレレ 2023”、“トマ・モレ シャサーニュ・モンラッシェ 2023”
料理とワインのマリアージュを楽しむなら、“シャンパーニュ+5杯”(1万6500円)をチョイスしてみて。フランスの銘醸地を中心にセレクトされ、一皿一皿に寄り添うように考えられている。
最初の1杯は、シャンパーニュの“フルーリー ブラン・ド・ノワール ブリュット”。白桃や洋梨、リンゴ、白い花、ヘーゼルナッツなどの香りが華やか。果実味に厚みがありながらも酸とミネラル感が鮮明で、焼き立てのグジェールやアミューズにもぴったりだ。
冷前菜に合わせるのは、“シャトー・ラ・モット・デュ・バリー キュヴェ フレンチ・キス ボルドー・クレレ 2023”。一般的なロゼよりも色合いと果実味が濃い。イチゴやレッドチェリーを思わせるみずみずしい風味と軽いタンニンがあり、脂ののった秋刀魚を軽やかに受け止める。
魚料理には“トマ・モレ シャサーニュ・モンラッシェ 2023”。白桃や洋梨、柑橘の果実香に、火打石やナッツを思わせる複雑なニュアンスがある。バターのコクがある“平目のブレゼ デュグレレ風”とは鉄板の組み合わせだ。
旬の食材を取り入れながら料理を少しずつ変え、長く培われてきた技法やソースを新たな一皿へと繋いでいく。栗田氏が〈ラ トラディション〉で表現する“伝統の今”を、ワインとともにとくとご堪能あれ!
⚫︎ムニュ デギュスタシオン(Menu Dégustation) 2万2000円
・アミューズ ブーシュ
・北海道産秋刀魚とキャビアドオーベルジーヌ
・オマール海老のグラッセ 里芋とブーダンノワール
・セップ茸とモンサンミッシェルムール貝のフリカッセ
・平目のブレゼ デュグレレ風
・ランド産仔鳩のファルシ ノワゼット風味のジュ
・巨峰のコンポート ヴェルヴェンヌのジュレ
・キャラメルと黒トリュフのスフレ
・食後のドリンクと小菓子
⚫︎ラ トラディション(La Tradition)
住所:東京都港区虎ノ門1-7-6 升本ビルB1
営業時間:ランチ 土・日曜 12:00~15:00(13:00LO)、ディナー 水~日曜 17:30~22:00(19:30LO)
定休日:月・火曜
TEL:03-6273-3010
URL:https://latradition.jp/
※サービス料別
グルメジャーナリスト 東龍さんの連載・記事はこちら!
アレが食べたいからこの店へ!
グルメジャーナリスト東龍のホテルグルメで“口福”体験!
●『Safari』公式 Instagram(@safarimagazine_official)もチェック!
1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。



































































