3カ月でミシュランを獲得した、美食家も注目の極上フレンチ!
2025年6月20日、南青山にフランス料理店〈マージ(mærge)〉がオープンした。表参道駅の喧噪から少し離れた静かな通りに佇み、開業からわずか3カ月で“ミシュランガイド東京2026”の一つ星を獲得。1年以上経った今も、美食家たちの熱い視線を浴びている。
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店名は、フランス語で“余白”を意味する“marge”と、英語で“融合”を意味する“merge”を掛け合わせた造語。“まだ名のない素材にも額縁をかけ、食材と食べ手のあたらしい関係を繋ぐ”という想いが込められている。
大人にふさわしい静かなる空間を感じさせるエントランス
オーナーシェフの柴田秀之氏
オーナーシェフは、北海道留辺蘂出身の柴田秀之氏。1999年に恵比寿〈レストランモナリザ〉本店で修業をはじめ、2006年に渡仏。星付きレストランで研鑽を積む。2007年に帰国し、2009年に〈レストランモナリザ丸の内〉、2012年に恵比寿本店の料理長に就任。2016年、白金に〈ラ・クレリエール〉を開業し、2019年から6年連続で一つ星を獲得した。2021年には、ゴ・エ・ミヨの“明日のグランシェフ賞”にも輝いている。
総支配人でシェフソムリエの飛田泰秀氏は、銀座〈オストラル〉や南青山〈ランベリー〉、パリでの経験を経て、2016年に〈乃木坂しん〉を開業。2022年には“ゴ・エ・ミヨ ベストソムリエ”を受賞し、2024年から〈マージ〉に参画した。
ディナーの“ムニュ マージ(menu maerge)”(4万4000円)は、柴田氏の哲学を堪能できる12品の構成。
“キャレドブール”
定番となっているのは、“キャレドブール”。フランス語で“四角いバター”を意味し、福岡県大牟田市〈オーム乳業〉のバターを使ったペイストリーに、ワゴンで運ばれてくる7種類のアイテムを好きに組み合わせる。大粒のオシェトラキャビア、スペインの生ハム、豚肉のリエット、自家製リコッタチーズ、目の前で削る熟成コンテチーズ、赤玉ねぎのピクルス、ハーブと、どれを選んでも心が躍る。もちろん、“全部のせ”でもいいので、極上のオープンサンドを味わってみて。
“島原素麺”
“島原素麺”も独創的なシグネチャーディッシュ。中国料理の“酔っ払い海老”に着想を得た一品で、紹興酒の代わりにシェリーや“ヴァン・ジョーヌ”=“黄色ワイン”を用いて再構築した。カクテルグラスに2年熟成の島原素麺を盛り、酔っ払い海老と、濃厚な卵黄をまとわせた海老をのせている。熟成香を帯びた海老と、喉越しのいい麺の組み合わせが見事だ。
“白トリュフのフラン”
“白トリュフのフラン”では、器が見えなくなるほどの白トリュフをスライス。下には蓮根やごぼうなど、秋の根菜をベースにしたフランが隠れている。スプーンですくえば、白トリュフの幽香と根菜の快味が一体となる。
“荒間鶏と天然茸のパルマンティエ”
“荒間鶏と天然茸のパルマンティエ”は、テーブルでのキノコのプレゼンテーションからはじまる。〈マージ〉では、産卵を終えて通常は食材にされない老鶏を“荒間鶏”と名付けて用いている。そのほぐし身を赤ワインで煮込み、キノコのソテー、茨城県産の栗きんとん、舞茸やシメジから取った出汁を重ねた。パルメザンチーズとジャガイモのムースリーヌ、赤ワインソースをかけ、栗のパウダーを散らしている。最後はパン・ド・カンパーニュでぬぐって、一滴残らず味わいたい。
“九絵松”
魚料理の“九絵松”は、山口県萩産の九絵に、スライスした松茸をのせた。九絵は均一で繊細な火入れで、しっとりとした身から上品な滋味が広がる。九絵の出汁をベースにしたヴァンブランソースは、適度な酸味が心地よい。付け合わせには、イチジクの葉で包んで熟成させた自家製リコッタチーズ、蕪の白和え、水茄子、蕪の茎が添えられている。
“スコットランドより雷鳥胸肉のローストと腿肉の煮込み”
肉料理は、北海道留辺蘂の米麹で熟成させたジャージー牛の薪焼きなど6種類から選べる。迷ったら、ジビエ料理でも評判の高い柴田氏の“スコットランドより雷鳥胸肉のローストと腿肉の煮込み”(+2200円)をセレクトしてみて。胸肉はオイルバスで低温調理し、皮目はパリッと香ばしく、上にはササミを配した。手羽や頭も添えられ、ジビエのフォンをベースにしたコーヒーのソースが、野趣あふれる風味をまとめ上げる。付け合わせは、鶉の卵、ナスを詰めた赤パプリカのマリネ、滋賀県日野町発祥の蕪“日野菜”、コリンキー、落花生、チーズのチュイールと多彩だ。マデラ酒で味付けをした鴨肉ミンチを詰めた腿肉の煮込みとハンガリー産鴨のフォアグラが、続いて供される。
“チュアオ”
メインのデザートは“チュアオ”。ベネズエラ北部の村チュアオで育ったカカオのムースは、素晴らしい佳香。隣には、焼き立てのふわふわなスフレが添えられる。甘味とほのかな苦味のバランスがよく、ほっこりとした気分で締めくくることができる!
左上:“ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2008” 右上:“クリュッグ グランド・キュヴェ 174エディション” 左下:“ピエール・モレ ムルソー レ・テッソン 2023” 右下写真左:“フランソワ・ヴィラール コート・ロティ ル・ガレ・ブラン 2014” 右下写真右:“ファミーユ・イザベル・フェランド シャトーヌフ・デュ・パプ 2022”
料理とワインのマリアージュを楽しむなら、アルコールペアリング(2万7500円)がいい。ホテルからワインバーまで、幅広く活躍してきたメートル・ドテルでソムリエの三沢雄一氏が極上の一杯を注いでくれる。
最初のシャンパーニュはいくつかの中から選べる。この日のプレステージシャンパーニュは、“ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2008”(ペアリングに+3300円)。柑橘や白い花にブリオッシュやバターのような熟成香が重なり、気分も高揚する。張りのある酸とクリーミーな質感が共存し、アミューズにもばっちり合う。
キャレドブールに合わせるのは、“クリュッグ グランド・キュヴェ 174エディション”。ドライフルーツやトーストなどの複雑な香りと豊かな厚みが、生ハムや熟成コンテの旨味を力強く受け止める。九絵には、“ピエール・モレ ムルソー レ・テッソン 2023”。洋梨や白桃、ヘーゼルナッツ、バターの香りに心地よいミネラル感。ふくよかでありながら酸に張りがあり、ヴァンブランソースのコクと好相性だ。
雷鳥には、赤ワイン2種が合わせられた。“フランソワ・ヴィラール コート・ロティ ル・ガレ・ブラン 2014”は、黒系果実の燻香にスパイスが広がり、しなやかなタンニンがコーヒーのソースと響き合う。“ファミーユ・イザベル・フェランド シャトーヌフ・デュ・パプ 2022”は、熟した果実と胡椒の香りが豊かで腿肉やフォアグラにも負けない。
店内は落ち着いて料理を味わえるうえに、ゆっくりと会話も楽しめる。こんな時間があると幸せだ
柴田氏は自身の料理を、ここでしか食べられない“東京料理”と呼ぶ。東京料理とワイン、サービスと空間が一体化した〈マージ〉で、モダンガストロノミーの現在地を確認してみて!
- ムニュ マージ(menu maerge) 4万4000円
・雉羽太、ブーダンノワール
・鬼灯、クレームドオマール
・キャレドブール
・白トリュフのフラン
・貝類のエチュベ
・荒間鶏と天然茸のパルマンティエ
・島原素麺
・九絵松
・紫式部
・本日のお肉(別途メニューよりチョイス)
・翡翠
・チュアオ
・食後のドリンクと小菓子
- マージ(mærge)
住所:東京都港区南青山3-8-14 VORT南青山III1F
営業時間:12:00~15:00、17:00~23:00
定休日:水曜、不定休
TEL:03-6910-5615
URL:https://maerge.tokyo/
※サービス料別
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。










































































