スターシェフ勢揃いの〈オーベルジュ ときと〉で、豊かさを追求した新たな日本料理を体験!
ローカルガストロノミーが注目されてから久しいけれど、それと相まって熱を帯びているのがオーベルジュ。オーベルジュは宿泊機能が設けられた飲食店のことで、少し遠くまで足を伸ばして美食を堪能したい時にぴったりだ。数あるオーベルジュの中で、最近よく話題に上っているのが、2023年4月6日にオープンした〈オーベルジュ ときと(Auberge TOKITO)〉だ。
歴史を受け継ぐ〈オーベルジュときと〉の正門
〈オーベルジュときと〉の中庭
〈オーベルジュ ときと(Auberge TOKITO)〉は老舗料亭〈無門庵〉の跡地に、その歴史的建物の一部と庭園を継承して生まれ変わったもの。アフタヌーンティーや日本茶が楽しめる茶房、温泉かけ流し露天風呂付きで100㎡を超える4部屋の宿房、そして、ミシュランスターシェフがプロデュースする食房を有している。
食房を司るシェフのみなさん
総合プロデューサーで総料理長を務めるのが石井義典さん。〈京都吉兆嵐山本店〉では副料理長までになり、ロンドンの〈ウム(UMU )〉では総料理長を務め、欧州の日本料理店として初めてミシュランガイド二つ星に輝いた。総支配人で料理長の大河原謙治さん、料理長の日山浩輝さん、副料理長の佐澤慧さんと上野賢一郎さん、ペストリーシェフの黒岩加奈子さんと、石井さんの一声でスターシェフが勢揃いした。
この食房で体験できるのが、10品前後の“テーブル席おまかせコース”(2万7500円)と14品前後の“カウンター席おまかせコース”(5万5000円、宿泊者様優先)。最旬の素材を用いるので、1カ月半くらいで内容は検討され続ける。
堀口切子の器に盛られた“うじお”
コースの中でシグネチャーともいうべきメニューは“うじお”。旬の白身魚に、羅臼昆布と塩で作られたとろみのあるソース“うじお”=“旨塩”が添えられた新感覚のお造りで、白身の繊細な旨味に、滋味豊かな“うじお”が奥行きを与えてくれる。それぞれの白身に異なるコンディメントが載せられているのも、ちょっとしたひと工夫。山葵、梅肉と花穂紫蘇、醤油ジュレと葱が合わせられていて、この順番で食べ進めると、味わいの輪郭がよりはっきりと感じられる。キラキラと煌く堀口切子の下には、石井さんが自ら制作した日本語と英語のメッセージが記されたカードが敷かれているので、食べ終えた後に確認してもらいたい。
“サーフ&ターフ(Surf & Turf)”
“サーフ&ターフ(Surf & Turf)”は、海の幸である黒鮪と山の幸である仔牛の競演。藁焼きにした香り高い黒鮪と旨味のある仔牛のフォン・ド・ボーという力強い組み合わせで、躍動感のある味わい。上には冷たい山ワサビのアイスクリームが載せられていて、ピリッとした刺激とメリハリのある温度感が。ソースを最後まで食べてもらいたいということから、途中で自家製の全粒粉のパンが添えられるので、豪快にぬぐって食べてみて!
“料理人の寿司”
“料理人の寿司”と銘打たれた“熱寿司”は、時間を逆算して炊き込んだ生姜ご飯に、寿司酢として使ったバルサミコ酢やワインビネガーで心地よい酸味を加え、プリップリの大きな毛蟹の身を据えたもの。毛蟹の滋味に生姜のスパイシーな味わいがよく合う。
“〆の一杯”
“〆の一杯”はサステナブルなラーメン。一般流通に乗りづらい“未利用魚”のオクカジカを燻製熟成して素晴らしい出汁に昇華させ、そこからスープへと紡いだ。北海道の小麦粉を用いた手打ちの全粒粉麺は食べ応えがあり、これまたスープがよく絡む。添えられた豚肉と猪のチャーシューは、脂が美味で大満足の〆だ。
中庭を望む食房のホール席
食房のカウンター席
多皿の料理に合わせて、バラエティ豊かなアルコールペアリング(テーブル席 9900円~、カウンター席 1万9800円~)も用意されている。シャンパーニュなどのフランスワインから、イタリアやスペインなどヨーロッパ全土のワイン、さらには全国各地の希少な日本酒からクラフトビールまでマリアージュされるから楽しい。
石井さんが作陶した陶器や備前焼の新進気鋭の若手作家の器も使われているので、ワインだけではなく、“料理と器のマリアージュ”も堪能してほしい。
宿泊してのんびり食事するのもいいし、日帰りもできるから、彼女との“オーベルジュデート”をどうぞお試しあれ!
●オーベルジュ ときと(Auberge TOKITO)
住所:東京都立川市錦町1-24-26
営業時間:
ホール:ランチ 12:00〜、13:00〜/ディナー 18:00〜、18:30~、19:30〜
カウンター:ディナー 19:00〜
TEL:042-525-8888
URL:https://www.aubergetokito.com/
※サービス料別
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。