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CULTURE カルチャー

2023.08.19


映画『バービー』が世界中で社会現象を巻き起こした理由とは?【前編】



各国で7月から公開がはじまった『バービー』は、全米で予想外の大ヒットを記録中。2023年、ここまでナンバーワンの位置にいた『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』に迫り、追い越して年間トップに立つのも時間の問題だ。ふだん映画館へあまり行かない人たちが観に来ているという調査もあり、ストライキで混乱するハリウッドにとって“希望の星”になっている。間違いなく2023年を代表する一作であり、アカデミー賞に絡む可能性もささやかれる『バービー』。アメリカのジャーナリストたちは、ライアン・ゴズリングの助演男優賞ノミネートを早くも確実視している。日本では8月11日から公開がはじまった。

ここまで社会現象を起こしたのは、なぜか。理由の筆頭に挙げられるのが、主人公のバービー役をマーゴット・ロビーが演じたこと。そもそもバービーは、おもちゃの人形のキャラクター。1959年にマテル社から発売され、アメリカを中心に世界的なヒット商品となった。身長28cmのプラスチック製で、着せ替えを楽しみ、ドールハウスで遊ぶわけだが、あくまでもおもちゃなので、コミックやアニメ作品のような“ストーリー”は存在しない。ディズニー/ピクサーの人気シリーズ『トイ・ストーリー』にバービーが登場したことはあったが、今回のように本格的な実写映画になるのははじめて。おもちゃの人形を、人間の俳優が演じるわけで、キャスティングは重要だった。その意味で、いまハリウッドで最も勢いのあるマーゴット・ロビーが演じたのは大正解! 

 
 

 


DC映画のハーレイ・クイン役では、ヴィラン(悪役)にもかかわらず、とことんチャーミングに演じたマーゴット。アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)では、フィギュアスケート界の黒歴史を作ったトーニャ・ハーディング選手を、やはりどこか憎めない人物へ変化させることに成功。このように一見、“非人間的”キャラクターに血肉を通わせるマーゴットの才能が、今回のバービーにも最大限に生かされた。他の女優では、ここまですんなり役になりきれただろうか? 『バービー』にはマーゴットの製作会社も関わり、彼女もプロデューサーだったことから、当初、バービー役を『ワンダーウーマン』(2017年)などのガル・ガドットに任せる選択もあったようだが、マーゴットは見事なハマリ役となった。

映画『バービー』の冒頭は、ちょっと衝撃的でもある。少女たちがそれまで遊んでいた人形を叩き壊すシーンが展開されるからだ。赤ちゃんの人形と戯れていた少女たちの前に現れたのが、巨大なバービー。少女たちのおもちゃといえば、赤ちゃんの人形という“常識”を、バービー人形が打ち破ったことを意味するのだが、スタンリー・キューブリック監督の名作『2001年宇宙の旅』(1968年)へのオマージュになっているところが楽しい。一部、元ネタを知らない人から批判を浴びているこのシーンだが、映画ファンには強烈にアピールする。何より、自身たっぷりの表情でそそり立つマーゴット・ロビーのバービーの姿に、映画を観るわれわれも平伏してしまうのだ。
 

 


そこから物語は、ピンク色が溢れる“バービーランド”へあざやかにシフト。バービーの日常が描かれるのだが、人間の日常と同じようで、かなり基本が違うこの世界を、しばらくわれわれは映画的に愛でることになる。バービーランドには、“バービー”という名前のキャラで溢れており(おたがいを“バービー”と呼び合ってる)、マテル社が発売してきた、さまざまな人種、職業、生い立ちのバービーが多くの俳優によって体現されている。ボーイフレンドのケンも同様に、多様なタイプが存在する。おもちゃとしてのバービーの歴史を知る意味でも好奇心がそそられる設定だ。

来る日も来る日もパーティやドライブ、サーフィンなどに明け暮れ、現在も将来も、悩みなんてゼロのバービーランド。家やクルマのサイズが微妙に人間の世界と違ったりするし、重力も無視して動けたりもする。ピンクをメインにした、要するに“夢の世界”。この独自の世界観だけで、まずはテンション上がるのが『バービー』の魅力。そこだけでも体感する価値があるのだが、バービーが人間の世界へ行くことになる中盤からは、物語も別のステージへシフトしていく……。(後編に続く)


『ミッション:インポッシブル』の特集記事を読む
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文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
photo by AFLO
(c)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
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