シカゴ ×『フェリスはある朝突然に』
高層ビルや魅力的な建築物が多く、エネルギッシュな街シカゴは、様々な映画の舞台になっている。’80年代を代表するティーンムービーの佳作『フェリスはある朝突然に』は、高校生のフェリスが学校をズル休みして友達とシカゴの観光名所を巡る青春映画。この映画を観れば、シカゴの街を楽しむフェリスたちのように、街に繰り出して完璧な1日を過ごしたいと思うはず!
- SERIES:
- 映画を巡る旅に出よう! vol.2
学校サボって友達と街巡り!
『フェリスはある朝突然に』(1986年/アメリカ映画)
超高層ビル群と自然が融合した街!
シカゴ( イリノイ州/アメリカ)
●原題:Ferris Bueller’s Day Off
●製作・監督・脚本:ジョン・ヒューズ
●出演:マシュー・ブロデリック、ミア・サラ、アラン・ラック、ジェニファー・グレイ、ジェフリー・ジョーンズ
Story
高校生のフェリスは、またもや仮病を使って学校をズル休み。同じく病欠の友人キャメロンや、学校にいる恋人のスローアンを巧みな作戦で誘い出し、キャメロンの父のクルマでシカゴの中心地へ向かう。クルマを預けた後も、野球観戦や美術館を楽しみ、パレードに紛れこんで歌い踊るなどやりたい放題。しかし自宅では彼の嘘を暴こうとする妹や校長が待ちかまえていた。
乗り回すクルマは’61年型フェラーリ
フェリスらが乗るのは、〈フェラーリ〉が1960年代に生産した250 GTのカリフォルニア・スパイダー。本物は高価なので、3台の精巧なレプリカが撮影に使われた。
登場人物
フェリス(マシュー・ブロデリック)〈中央〉
高校3年生。今学期、すでに8回も仮病で学校を休んだが、またもズル休み。家族の外出を確認し、1日中、遊ぶ計画を遂行する。
キャメロン(アラン・ラック)〈右〉
フェリスの友人。本当に病気で学校を休んでいたのにフェリスにしつこく誘われ、仕方なく父親の〈フェラーリ〉を提供する。
スローアン(ミア・サラ)〈左〉
フェリスのガールフレンド。父親に変装したフェリスが学校に迎えに来て、早退を許可される。フェリスらと大はしゃぎ!
人口はアメリカで第3位という大都市ながら、ニューヨークやロサンゼルスほど、その魅力があまり紹介されないのが、シカゴ。しかし2018年にタイムアウトが発表した都市調査結果で“世界最高の都市”に選ばれたのが、そのシカゴである。特に高得点だったのが飲食店の充実度と住民の幸福度などで、つまり訪れる人にとっても、楽しさと優しさを提供してくれる大都市だということ。アメリカ北東部に位置するシカゴは、五大湖の1つ、ミシガン湖に面していて超高層ビルが建ち並ぶ。その風景だけで圧倒されるが、世界各国のレストランが軒を連ね、美術館や劇場などエンターテインメントも充実しており、ニューヨークに比べると全体的に物価も安い。人々は予想以上にフレンドリー。公共の交通システムも移動に便利に作られており、“街歩き”には最適の都市なのである。
そんなシカゴは多くの映画の舞台になっているが、街の雰囲気を最もあざやかに伝えてくれるのが映画『フェリスはある朝突然に』だ。学校をズル休みした高校生のフェリスらが街で遊びまくる青春映画の佳作で、シカゴの有名スポットが次から次へと登場するから、観光ムービーとしての魅力も満点。これを観ると、シカゴは本当に“絵になる”都市だと実感する。街のあちこちにユニークな建築物やオブジェを発見できるので、フェリスたちのように行き当たりばったりで移動しても気分が上がるはず。しかも中心地が約1㎞四方くらいにギュッと凝縮しているので、短時間で街全体を満喫できる。ちょっと足を延ばせば、ミシガン湖岸に人気ビーチが点在しており、気軽にリゾート気分も味わえたりもする。意外に観光都市としてはハイレベル! フェリスのような悪ガキも伸び伸びと成長させるシカゴの人々の温かさが、観光客も歓迎してくれるのは間違いない。
Place01 サンフォード・ワイナリー(ワイナリー)
最頂部が527 mという、アメリカで2番めに高いタワーで、シカゴのシンボル(1位はNYの新たなワールドトレードセンター)。1974年の建設当時は、世界最高層を誇った。103階には全面ガラス張りの展望室がある。映画の中ではフェリスらが壁面のガラスに頭をつけて真下を眺めたが、足元がガラスの部分もあるので、高所恐怖症の人はご注意を!
●Willis Tower
住所:233 S Wacker Dr, Chicago, IL 60606
Place02 リグレー・フィールド
シカゴ・カブスの本拠地球場。メジャーリーグで2番めに古いスタジアムである。メジャーリーグのスタジアムは、日本と違ってグラウンドと客席を仕切るネットや壁が少なめなので、その開放感を一度は味わうべき! フェリスらがデイゲームで観戦したのは外野に近い席だが、観客席のスロープがなだらかなので、ゲームが見やすいことがよくわかる。
●Wrigley Field
住所:1060 W Addison St, Chicago, IL 60613
Place03 シカゴ美術館
ボストン美術館、NYのメトロポリタン美術館と並ぶ、アメリカの3大美術館のひとつ。ゴッホの「自画像」や、モネの「睡蓮」、スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」、エドワード・ホッパーの「ナイトホークス」といった名画や、ロダンの彫像など、とにかく有名な作品が多い。安藤忠雄が設計した日本ギャラリーも必見。映画の中ではその所蔵品が一気に紹介されるので、アートファンではなくても行きたくなってしまう!
●The Art Institute of Chicago
住所:111 S Michigan Ave, Chicago, IL 60603
Place04 ディアボーン・ストリート
映画の中でフェリスが飛び入り参加するパレードは、このシカゴのメインストリートを進んでいく。両側には様々なデザインの高層ビルが建ち並び、歩くだけでも面白いし、他の観光地へのアクセスもいい。ディアボーンで最も人気のスポットは連邦政府センターのビル群で、ビルそのもののデザインも個性的だが、中央の広場にそびえる、高さ16 mの巨大な赤いフラミンゴのオブジェが圧巻。“動く彫刻”であるモビールを発明したアレクサンダー・カルダーの作品だ。その大きさは、映画で是非確認を!
●Dearborn Street
住所:Chicago, IL 60654
ジャーマン・パレードとは?
サッシカイアドイツ系が多いシカゴで、毎年10月に行われる特大フェスティバル“ジャーマン・アメリカン・シュトーベン”。ビールやドイツ料理で楽しませ、多くのフロートが出るパレードが最大の見どころ。
そのほかに登場する名所
フェリスら3人が内部を見学するシカゴ商品取引所は、45階建てのアールデコ建築なので外観も美しく、ほかにも『アンタッチャッブル』や『バットマン』などの映画に登場した。3人がまったり過ごすグレンコー・ビーチはボードウォークもあり、ミシガン湖岸のビーチの中でもロマンチック気分を満喫できるスポットだ。