1年中クリスマスみたいな幸福感!〈シボレー〉コルベット スティングレイ
クリスマスの声が聞こえてくると、自分へのご褒美……、な〜んて魅惑の言葉が頭をよぎる。さあ、今年はなににしようか。時計? ビジネススーツ? 上質なニット? それとも豪勢な温泉旅行? いやいや、やっぱり“クルマニア”ならスポーツカーでしょ。しかもこんなモデルなら乗るたびに1年中クリスマスみたいな、幸せな気持ちになれること請け合い。〈シボレー〉コルベット スティングレイだ。
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世界的なモータースポーツシーンでも活躍し、アメリカン・スポーツカーの頂点を極めてきたコルベット。歴史がはじまったのは1953年だから、実に60年もの間、モデルチェンジを繰り返して進化してきたクルマということになる。そんなコルベットが8代目に進化。日本にも導入されたのだが、今回のコルベットほど、日本導入が待たれたコルベットは過去、なかったかもしれない。
振り返れば、はじめてスティングレイ(赤エイ)の名称を与えられた2代目C2型、イタリアンな香りすら漂うお洒落な4代目C4型、ハイパフォーマンス版Z06が登場した6代目C6型などなど、コルベットはどの時代のものもエポックメイキングだった。どれもパフォーマンスに優れ、美しく、そしてなにかしらのエンタテインメント性を兼ね備えていたものだ。
しかし、2019年、本国アメリカから発信されたプレスリリースには世界中が度肝を抜かれた。なぜならばこの新型、なんと、コルベット初のミッドシップレイアウトを採用したっていうんだから! 60年に及ぶフロントエンジンの伝統を軽々と捨て去り、より高いパフォーマンスを求め、コルベットはヒラリと自らの枠を越えた、ということ。
しかも、日本市場のファンにはさらに嬉しいサプライズも続いた。はじめて右ハンドル仕様が設定されたのだ。ご存知のとおり、日本は北米に比べるとさほど大きな市場ではない。むしろ、販売台数を考えたら赤字覚悟とも思える仕様だ。そんな中、ほぼ日本専用のために右ハンドルを作ってくれるなんてありがとう(感涙)! な~んて乗る前から自ずと点は甘くなってしまうのは仕方ない。
しかし、安心してください。8代目コルベット スティングレイはそんな激甘採点をもってしてもはるか上方で期待を大幅に上回る、実に素敵な仕上がりになっている。
試乗シーンはサーキットだったが、まず走り出しからボディのバランスのよさがキラリと光る。サーキットではいうまでもなく、アクセルも、そしてブレーキも操作の強度が格段に上がる。蹴るようにブレーキペダルを踏んだり、素早くアクセルペダルをたくさん踏みこんだりする。さらにその操作が、回りこむようなコーナリングの最中であったりする。これらの操作に対して、意外にも筆者がコースインしで最初に感じた感想は「高級セダンみたい!」であった。つまり、超速の加速や高速コーナリング、またはハードブレーキングの最中であっても、決してバランスを失わず、ドライビングが破たんしないのだ。そのさまはスポーティというよりラグジュアリーに近い。端的にいえばこれこそがGMの狙いだ。ミッドシップレイアウトによって重量配分がよりリア寄りに変わったことがかなり功を奏している。
さらにドライバーをフロントホイールの真上に座らせるようなレイアウトにできたのも、エンジンをフロントから逃した効果だろう。とにかくそんなに小さなクルマではないのに、ヒラリヒラリとまるでライトウエイトスポーツのようにコーナーを快適に(!)越えていく挙動の作り方は見事。しかもそんな挙動を恐ろしいスピード域で実現するんだから、傍から見たらやっぱりスポーツカー・スペックであることは間違いない。そう、6.2ℓV8のNAエンジン(もちろんOHV)という、エンジンスペックも魅力。さらにクルーズ時は片バンクを休止させてエコに貢献するという、アメリカ車らしからぬ気遣いも窺える。
華やかなルックス&レーシングなインテリアもたまらない。ほら、サンタさんにおねだりしたくなってきたでしょ?
★DATA 〈シボレー〉コルベット 2LT
●全長×全幅×全高:4360×1940×1220mm
●車両重量:1670kg
●ホイールベース:2570mm
●エンジン:6.2ℓV型8気筒OHV
●最高出力:369kW(502PS)/6450rpm
●最大トルク:637Nm(65.0kgm)/5150rpm
●トランスミッション:8速デュアルクラッチ
●駆動方式:後輪駆動
●税込み価格:1180万円~