●今月のビジネスセレブ
フォーシーズンズホテル丸の内 東京 総支配人
チャールズ・フィッシャー[Charles Fisher]Profile
英国出身。大学卒業と同時に、『フォーシーズンズホテルロンドン アット パークレーン』にフロントオフィススタッフとして入社。二十数年にわたり、フォーシーズンズの発展とともに世界各国でホテリエとしてのキャリアを積む。直近では『フォーシーズンズリゾートオーランドアット ウォルト ディズニー ワールド®リゾート』マネージャーを務め、2021年1月より現職。
オメガ
シーマスター ダイバー 300M
●愛用歴/約16年
●使用頻度/週に5日ほど
●購入価格/プレゼントのため不明
波状パターンの文字盤に、バトン型の針、夜光塗料が施されたドットのインデックスといった、アイコニックなデザインが光る。
「歳月を経ても決して色褪せない、そして飽きのこない一流のデザイン。これに尽きます。特に時間が非常に見やすい点がとても気に入っています。視認性の高さというのは、時計においてとても重要なことですから」
OMEGA[オメガ]
シーマスター ダイバー 300M
スピードマスターと並ぶ、〈オメガ〉を代表するスポーティウォッチコレクション。誕生は1957年。60年以上もの歴史のなかで様々なモデルが生まれてきたが、このシーマスター ダイバー 300 Mは、1993年に登場して以来、300m防水というタフなスペックとスタイリッシュさをあわせ持つ稀有なダイバーズウォッチとして愛され続けている名品。クロノメーター認定ムーブメント搭載と、中身も語れる1本だ。
日本におけるスモールラグジュアリーホテルの先駆けとして、2002年に開業した『フォーシーズンズホテル丸の内 東京』。開業20周年を来年に控えた、2021年1月。チャールズは総支配人に就任した。
大学卒業と同時に、出身国であるイギリス・ロンドンでホテリエとしてのキャリアをスタートさせたチャールズ。以降、ニューヨーク、シンガポールといった主要都市、カリブ海のネイビス島やタイのチェンマイ、アメリカ・ハワイ州のラナイ島といったリゾートでマネジメントの経験を重ね、直近では『フォーシーズンズリゾートオーランド アット ウォルトディズニー ワールド®リゾート』でリゾートマネージャーを務めた。
「実は私の父が航空会社に勤務していたので、父の転勤に伴い、幼い頃から様々な国で生活してきました。だけど日本ははじめて。興味深いカルチャーや歴史があるここ、日本で働けることになって非常に嬉しいです。言葉はとても難しいですが(笑)」
一流のホテリエらしい柔和な微笑みと、誠実な人柄が伝わってくる語り口。しかし、パンデミックの暗い影が全世界を襲っている今。チャールズの日本での生活のスタートは、一都三県に緊急事態宣言が発令されている最中だった。『フォーシーズンズホテル丸の内 東京』は4月8日の営業再開まで休業することを余儀なくされ、総支配人としての苦労は察するに余りある。そんなチャールズを、支え、励ましているのが、彼が愛用している〈オメガ〉のシーマスター。結婚する際に花嫁から贈られた彼の宝物だ。
「2005年に結婚したので、もう16年前になりますね」
そんなに長い歳月、毎日のように愛用してきたとは思えないほど、チャールズのシーマスターは美しく輝いている。それもそのはず、必ず5年おきにムーブメントのオーバーホールを含め、メンテナンスは欠かさずに続けてきた。彼がこの時計をどれだけ慈しんでいるかが、このことからもよくわかる。
「当時、若かった私にとって、この〈オメガ〉の腕時計はとても手が出ない高級なものでした。もちろん、妻にとってもそうだったでしょう。彼女はこのために、きっと貯金をして、私にプレゼントをしてくれたんだと思います」
幼少期から、バーレーンやマイアミ、カイロ、メキシコシティなど、父親の転勤に伴い住んでいた街の多くは海を抱いていた。そのためか、自然と海を愛するようになったというチャールズ。長じてからはスキューバダイビングやシュノーケリングなどが趣味となった。300m防水の“シーマスター”は、彼のことを深く理解していた、チャールズの妻らしい最高のチョイスだ。
「私からリクエストしたわけではありません。結婚して、一緒に人生を歩み、時を刻んでいく。彼女が選んでくれたこのシーマスター、私にとってこれ以上の時計はこの世に存在しません」
ほかにも、休日、エクササイズをするときなどにしているアップルウォッチなども所有しているが、ほぼ毎日、この時計を身につけている。本来スポーティなダイバーズウォッチでありながら、スーツにもマッチする品格も持ち合わせる、シーマスターのコーディネート力の広さ。それもこの時計の大きな魅力だ。
「結婚10周年には、記念に私から妻へ時計を贈りました」
チャールズは〈オメガ〉を選んだ。
「世界にはたくさんのラグジュアリーウォッチブランドがありますが、なかでも私は〈オメガ〉が好きです。それは、単に高級時計ブランドだから、というわけではありません。歴史や信頼性の高さはもちろんですが、やはり時計としてのデザインが秀逸。また、ブランドが醸し出すアドベンチャーな要素ーー革新性なども含めて、心惹かれるものがあります。また、実際に私が愛用してきて、すごく腕に馴染む時計だということも肌で感じていたので」
現在の世界状況を鑑み、今回、妻と子供たちを日本に伴ってくることは断念したチャールズ。しかし、彼が毎日、時計を見て彼女を思っているように、彼女もまた自分の手首に、いつも彼を感じているに違いない。
「もちろん家族と離れ、ひとりで暮らすのは寂しいですけれど、愛する女性から贈られたこの時計は、私に自信や勇気を授けてくれるのです」
そんな強い愛の物語が宿るシーマスター。彼は「私にとってこれ以上の時計はこの世に存在しません」と言い切ったが、もしも将来、あと1本時計を手にするなら、なにを選ぶのだろうか?
「そうですね。〈パテック フィリップ〉のカラトラバでしょうか」
それもまた、英国紳士らしい選択だ。
「クラシカルなデザイン。そして伝統的なウォッチメイキングとクラフツマンシップ。デジタルに囲まれた現代社会だからこそ、昔ながらの機械式時計が魅力的に感じるのでしょうね」
至福のステイを約束するラグジュアリーホテルカナダに本拠を置くフォーシーズンズ ホテルズ アンド リゾーツ。1961年に最初のホテルをオープン以来、世界有数のラグジュアリーホテルチェーンとしてグローバルに成長を続け、旅とホテルを愛する人々の心を掴んでいる。フォーシーズンズホテル丸の内 東京は2002年に創業。総客室57室のスモールラグジュアリーホテルならではのきめ細やかなサービス、パーソナルでフレンドリーなホスピタリティで、訪れるゲストに寛ぎの時間と極上のステイを提供している。
雑誌『Safari』6月号 P228~229掲載
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photo : Yoshifumi Ikeda text : Kayo Okamura