〈タグ・ホイヤー〉アクアレーサー “TAG HEUER AQUARACER”
〈タグ・ホイヤー〉は、レーシングクロノのイメージが強い。 しかし同時に古くから、海とも深くかかわってきた。“アクアレーサー”は、そんなメゾンが作り上げたタフでスタイリッシュなダイバーズウォッチ。この奄美大島の美しい海を守ることにも貢献する。
アクアレーサー キャリバー5
奄美大島エディション
日本限定500本。ケース径41mm、自動巻き、SSケース&ブレス。25万5000円(タグ・ホイヤー / LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー)
南西諸島の環境保全に貢献
奄美大島の海の色をダイヤルに映す、WWF ジャパンとのコラボ最新作。
❶12面カットのベゼル
外観を最も特徴づけるのが、12角形に設えられた逆回転防止ベゼルだ。一般的な丸型と比べ、よりスタイリッシュな印象をこれが高めている。同時に6カ所に指がかりしやすいライダータブも備わり、操作性にも優れる。
❷300m以上の防水性能
ISO(国際標準化機構)はダイバーズウォッチを「少なくとも水深100mの潜水に耐え、その1 . 25倍の水圧に耐えること」と定義している。〈タグ・ホイヤー〉は、これよりはるかに高い防水基準を自ら課し、タフさを研鑽する。
❸二重安全どめバックル
アクアレーサーのブレスレットには海中で不意に外れてしまわないよう、バックルに二重安全金具が備わっている。これは、後述する1983年に誕生した2000シリーズからの伝統。ダイバーの安全を、独自の工夫で守る。
〈タグ・ホイヤー〉はクロノの名門というイメージが強いかもしれないが、 アクアレーサーだけでなく、古くは懐中時計の時代から防水技術を研鑽してきた。 その成果は、メゾン初のダイバーズ誕生以前からヨットレースで生かされ、 さらに世界ではじめて角型ケースの防水化にも成功し、名作モナコを生み出した。
〈タグ・ホイヤー〉(当時エドワード・ホイヤー)が発明しヘルメティック(密閉)ケースによって、懐中時計は防水機能を手に入れた。裏蓋は固定式で、 ダイヤル側からムーブメントを出し入れできる機構が備わる
特許取得! ヘルメティックケースの特許認知書。申請者の欄にEd.Heuer Cie.と記載されている。これ以前にも1869年にリュウズ巻き上げ機構で、 1887年に振動ピニオンで特許を取得
6時位置に潮の満ち引きに関係する月齢に則った月時間と干潮と満潮の時間とを示すインダイヤルを装備。この世界初の機構は、4時位置のボタンで最初に現在位置の満干時間をセットする仕組みになっている。月の満ち欠けは動物の行動にも影響を与えるためハンターにも重宝された
機械式時計は、 19世紀に大きく進化を果たした。 1860年に創業した〈タグ・ホイヤー〉も、早くから様々な革新を時計にもたらしてきた。 とりわけ有名なのは、 1887年に完成したクロノグラフ機構における振動ピニオンの発明。以降、今日までクロノグラフを得意としてきた。また外装の革新にも注力し、 1895年に初の防水ケースを考案。特許を取得している。
クロノグラフと防水時計のパイオニアであった〈タグ・ホイヤー〉は、それらの技術を様々なシーンで生かし、また進化させてゆく。1920年代には、スイス・ レマン湖でのレガッタレースの公式タイムキーパーを担当し、1930年代には5分積算計が備わるストップウォッチ“ヨットタイマー”が登場。以降、〈タグ・ホイヤー〉の防水技術はヨットレースで磨かれ、海との関係性を深めてゆく。
3時位置にレッガタ機能を、9時位置に潮の満干時間表示を備えた世界初のクロノ。米国市場では“シーファーラー(船員)”という〈アバクロンビー&フィッチ〉バージョンが販売された。そのダイヤルにはタグではなく、アバクロのロゴとモデル名を掲げていた
世界初のモジュール式自動巻きクロノグラフ・ムーブメントCal. 11 (クロマティック)を、アバンギャルドな角型のフォルムに搭載。そのケースもまた、角型ではじめて高い防水性を叶えていた。このケースは、防水構造に秀でたケース会社ピケレとの共同開発。時計史にその名を刻む名作であり、今もメゾンの重要なアイコンのひとつ
1993年には、クロノグラフ腕時計の防水化をいち早く実現。メゾン創成期から研鑽してきた2つの技術が、ここに結びついた。1949年に発表した6時位置で潮の満干時間を示す“ソルナール”は、メゾンの歴史の中でもユニークな存在。船員や漁師、ハンターに向けて開発したのだという。翌年には、この機構とレガッタ機能とが備わる世界初のク ロノグラフ“マレオグラフ”が誕生。米国市場では“シーファーラー”とのモデル名で、人気を博した。
そして1968年からはレガッタ機能を持つ腕時計“スキッパー”がシリーズ化され、同じ年にヨット用のダッシュボードクロック“ナヴィア”も開発。こうして船上で磨かれた防水性能は、モータースポーツシーンにも生かされ、世界初の角型防水時計“モナコ”が1969年に生まれたのだった。
つまり〈タグ・ホイヤー〉は、防水技術で時計界をリードしてきたのだ。
ヨットレースの世界で防水技術を発揮してきた〈タグ・ホイヤー〉 が、ダイバーズウォッチ市場に進出したのは、1979年のことだった。当時の時計界は、クォーツショックによる冬の時代のさなか。だからなのか、初のダイバーズウォッチは、かなり手堅いデザインで世に送り出された。そして1983年、逆回転防止ベゼルの8つのスタッズが備わる、〈タグ・ホイヤー〉らしいアバンギャルドな外観を持つダイバーズ時計、 2000シリーズが誕生する。これが、現在のアクアレーサーの直系のルーツだ。
そしてこのモデルが備えていた、“200m防水”“ねじこみ式リュウズ”“逆回転防止ベゼル”“サファイアクリスタル風防”“夜光の針とインデックス”“二重安全どめバックル”の大機能は、メゾンのダイバーズの基準となった。1984年には初代ダイバーズを“1000”シリーズに改称し、上位モデルとして“3000”シリーズが誕生。さらに驚異の1000m防水を達成した。その名もズバリ“1000M”の開発にも成功している。
その後も“4000”“1500”“6000”とコレクションを拡充し、2004年に2000シリーズのフルリニューアルに際し、“アクアレーサー”へと名称変更。このとき、前述の6大機能のうち“200m防水”が、“300m防水”へと改められている。翌年には、早くもクロノグラフをラインナップ。その中には、5本針それぞれに専用の制御回路とモーターとが備わる、独自の高性能クォーツクロノ“キャリバーS”搭載モデルもあった。2009年には、500m防水が登場。〈タグ・ホイヤー〉 のダイバーズウォッチは、時代とともに 意匠と機能を進化させていった。
横ストライプのダイヤルに、ファセットカットした大型の針とインデックスが備わる。視認性に優れ、かつスタイリッシュなデザインが魅力のアクアレーサー。その最新作は、多彩なカラーバリエーションでそれぞれの個性を主張する。ベゼルに採用したセラミックに加え、アルミなどを併用し、様々なバリエから選べる。セラミックでは出せない色みやアルミならではのあざやかな発色で、新たな魅力を提示した。
ケース径43mm、自動巻き、SSケース&ブレス。33万円 (タグ・ホイヤー/ LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー)
ともに出かける名パートナー
GMT にブルーが登場。GMT 用の24時間インデックスを配したベゼルはアルミ製で、昼夜がわかるブルーとブラックのツートーンに。時差分回せば 第3の時間も知れる。
ケース径41mm、自動巻き、SSケース&YGブレス。32万5000円(タグ・ホイヤー/LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー)
プチラグジュアリー
YGのプレート(メッキ)のバイカラー仕様があざやかなブルーダイヤルに映える。
ケース径41mm、自動巻き、 SSケース&ブレス。28万5000円(タグ・ホイヤー/ LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー)
華やかなグリーン
アルミ製のベゼルだから、グリーンがより華やかに発色する。トレンド感が、高い1本。
ケース径43mm、自動巻き、SSケース、ファブリックストラップ。38万円(タグ・ホイヤー/ LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー)
日焼け肌に馴染む
機械式クロノにブラックセラミックベゼルを投入。ストラップには黄色が効く。
数量限定。ケース径43mm、クォーツ、SSケース、ファブリックストラップ。17万円(タグ・ホイヤー/LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー)
ダイバーズウォッチ
サンレイダイヤルとベゼル、ストラップをカーキのワントーンで。
愛されるダイバーズ
カイ・レニー:1992年ハワイ・マウイ島生まれ。4歳でサーフィンをはじめる。サーフィンと SUP とで複数のワールドタイトルを獲得。昨年、サーフィンの殿堂入りを果たした。海洋汚染とも闘うグローバルアイコン
ハリウッドスターや様々な分野のアスリートが、〈タグ・ホイヤー〉のアンバサダーを務めている。その中でアクアレーサーと深くかかわっているのが、サーフィンにウィンドサーフィン、スタンドアップパドル(SUP)、カイトサーフィン、ハイドロフォイルを極める海の申し子カイ・レニー。彼は、波にのまれても壊れないタフなアクアレーサーのクロノグラフを愛用し、新たな挑戦に立ち向かう。
●LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー
TEL:03-5635-7030
雑誌『Safari』8月号 P190〜193掲載
text=Norio Takagi