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2021.02.04


レペゼンマリブの情熱のシェイパー

マリブのローカルに根づいたシェイパーとして愛されているのが、今回紹介するイアン。彼が削るボードは、スタイリッシュなサーファーからクラシックスタイルに惚れこむ若いサーファーまで、幅広い層から支持されている。ボードを作るかたわら、プロのフォトグラファーとしても活躍。多才な彼のルーツを語ってもらった。


今月のサーファー
イアン・ザモラ
[IAN ZAMORA]

波のことはマリブが教えてくれた


サーフィンの聖地のひとつとして有名なマリブ。海沿いの南端から北端までクルマで約1時間で、その間に多くのサーフスポットが点在。海沿いのハイウェイを移動中に望む景色は格段に美しく、クルマのCMにも使われるほど。そんな風光明媚な環境でサーフィンライフを楽しんでいるのが、シェイパーのイアンだ。

今でこそまさにカリフォルニアといったビーチライフを送っている彼だが、実は故郷のフィリピンからこの地に移住したのは10代前半の頃。意外にサーフィンデビューも遅めで、高校卒業と同時に就職したカーショップの同僚に誘われ、ズマでトライしたのがはじめて。しかし、サーフィンの虜になるにはその1回で十分だったのだろう。そこから誰にも教わることなく、1人でひたすらパドルする日々がはじまった。

「毎日ワイプアウトの連続だったよ。だけどある霧の朝、ハイタイドのズマでとうとうボードの上に立つことができたんだ。柔らかい波の上を滑る、心地いい感覚を今でも覚えているよ」

当時彼はマリブの内陸エリアに住んでいたため、海沿いのサーファーほど頻繁に波チェックできなかった。だが、ホームポイントが定まらない分、その日の波によってポイントを変えられたのが功を奏したよう。イアンは各ポイントに適したボードを使い分けるほどレベルアップしていく。

「最初はズマやカウンティラインで練習していたけれど、上達してからはリオ・カリロやサーフライダービーチで入ることが増えたね」

特訓の甲斐あって、数年後にはコンテストに参加するまでに。スポンサーはつけず、大会の費用は自分で賄ったという。WSAのアマチュア部門にも参加し、それなりの成績を収めたが、むしろそれをきっかけに自分は大会向きではないと気づいたそう。そこからサーフィンそのものの純粋な面白さを追求していくうちに、自分が納得できるボードを作ってみたい、とシェイプに興味を抱くようになる。

「最初は友人のボードを借りたり、中古のボードをボロボロになるまで乗りまわしたりしていた。けれど、はじめて購入したカスタムボードが僕の人生を変えることになるんだ」

マリブとヴェンチュラの間にあるファクトリー。ここにはイアンのほか、数名のシェイプルームが入っている

マリブのレジェンドシェイパー、ランス・カーソン(左)も同じファクトリーを使用。彼のクラシックボードについて談議中

師匠は2人のレジェンド


サーフィンを真剣にはじめてわずか4~5年でコンペティションに参加するまでの実力をつけたイアン。しかしその一方で、誰かと競い合って勝利することに喜びを見出せなかった。むしろ自分の目標に向かってコツコツとクリエイティビティを発揮することが性格に合っていると気づき、ボードシェイプの道に入ることに。

「はじめて自分で購入したカスタムボードがヴェンチュラのローカルシェイパーであるグレン・ケネディのもの。彼のハンドシェイプによるクラシックなスタイルに魅了されて、いつか自分自身のために理想のボードを削れたらいいな、と思うようになったんだ」

彼のショップ〈ケネディ・サーフショップ〉でショップスタッフとして働きはじめたイアンはある日、グレンにブランクスを購入したい、と申し出る。グレンがそれを快諾すると、その晩すぐさまシェイプルームからブランクスを持ち帰り、自宅のバックヤードではじめてのシェイピングに挑んだ。

「ボードを支えるシェイプ台がなかったので、業務用のバケツを使って台にしたよ(笑)」

その約1カ月後、イアンは自宅のガレージをシェイピングルームに改造。そこが彼のシェイパーとしての出発点となった。

イアンのスタイルのひとつとなったのが、グレンから受け継いだクラシックなシングルフィンのロングボード。しかしそれだけにとどまらず、勉強熱心な彼はサンディエゴの巨匠であるリッチ・パヴェルにも師事。フィッシュボードをビルドするスキルも身につけた。2人のレジェンドからテクニックやスキルだけでなく真のクラフツマンシップも教わり、イアンは次世代の個性派シェイパーへと成長を遂げていった。

自分の削ったボードで自在に波に乗るイアン。そんな彼に注目が集まるようになるまで、そう時間はかからなかったようだ。今では、イアン自身のチームライダーも何名か育ってきた。カリフォルニアだけでなく、ハワイや日本、さらには故郷のフィリピンのサーファーにもボードを提供するまでとなっている。

本人のスペースには北斎の絵画とデューク・カハナモクのポスターをディスプレイ。古典への敬意を感じる

抱えているのは妻のために削ったロングボード

“ツインソウル”との出会い


マリブから車で25分ほど内陸に入った高級住宅街のひとつ、サウザンドオークス。ここにあるバンガロータイプの新居に去年引っ越してきたイアンは、妻で名サーフコーチのカーラ、そして1匹の老犬と共にサスティナブルな生活を満喫している。

フロントヤードにはイアンのボードも含め2人のボードコレクションがズラリ。さらにバックヤードには3羽のニワトリが仲よく生活している。彼らは天然の目覚まし時計で、イアンとカーラを早朝から起こし、波乗りへと誘ってくれる存在だ。実はイアンとカーラはマリブで有名なサーフカップル。多くのサーファーから愛され、後輩サーファーからは慕われているパワーカップル的存在だ。

イアンの生活する家のフロントヤードにはお洒落なファイヤーピットやカウチが

「カーラは波乗りだけでなく、あらゆることをわかり合える“ツインソウル”。それだけでなく僕のモチベーションを上げ、創作意欲も掻き立ててくれる大切な人なんだ」

実は彼、シェイパーだけでなくプロのフォトグラファーとして雑誌や広告などでも活躍中。そんな彼のクリエイティブな活動において、インスピレーションを与えてくれる存在が妻でベストフレンドのカーラなのだという。

仕事以外では、趣味のマウンテンバイクにも熱を入れており、最近では大会に出場するほど本格的に取り組んでいる。

趣味の自転車もカスタム。パーツをリサーチしたり、組み立てたりするたびに愛着を感じるのだとか。最近では大会に出場するほどの熱の入れっぷり!

「サーフィンは僕にとりわけ大きな衝撃を与えてくれたけど、とにかくジャンルにかかわらずスポーツが大好きなんだ」

彼の周囲にいる人がどこかハッピーな気分になれるのは、このスポーツマンらしい爽やかなエネルギーのおかげなのかもしれない。

●ホームポイントはココ!
リオ・カリロ[LEO CARRILLO]マリブの北に位置するビーチ。リーフポイントなので常に波があり、サイズがなくてもそれなりに楽しめる。特にここはミッドタイドがよく、南のスウェルが入るとパーフェクトな波になることも。ショートからロングまで楽しめる。

Information

雑誌『Safari』3月号 P178~179掲載

“波乗り一代記の記事をもっと読みたい人はコチラ!

写真=宮崎良将 文=高橋百々
photo : Yoshimasa Miyazaki(Seven Bros. Pictures)  text : Momo Takahashi(Volition & Hope)
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