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2019.12.12


日々のすべての行動は波乗りのために!

モデルやバーテンダーとしても活躍するアイルは、今注目を浴びる若手サーファーの1人。 生まれ育ったニューポートビーチを拠点に、オレンジカウンティやサンディエゴの良質な波を追いかける生粋のソウルサーファーだ。彼のこれまでの歩みと、若くとも地に足のついたライフスタイルを覗いてみよう。

●今月のサーファー
アイル・アンダーソン[ISLE ANDERSON]

海の中で育ったサーフキッド


最近、ますます盛り上がりを見せているニューポートビーチ。ここには、レジェンドサーファーのマイク・ロジャーズはじめ、名の知れたサーファーが多く集結。サーフウォッチングしているだけでも十分楽しめる。’80年代にはエコビーチという愛称で知られ、派手にペイントされたネオンカラーのショートボードにカラフルなウェットスーツを着たヒップな若者が押し寄せムーブメントを起こした。そんな歴史あるビーチのそばで育ったアイルは、幼少期からサーファーである父の手ほどきで波乗りをはじめる。

「たぶんはじめたばかりの時期は10フィートの巨大なブルース・ジョーンズのボードを使って練習していたんだ。かなり小さい頃からサーフィンをしていたので最初に乗った感覚など細かいことはあまり記憶にないけれど、たしかボードにぶつかることを少し怖がっていた気がするな」

しばらくして父から贈られたソフトボードを使うようになり、気がつけばサーフィンに夢中になっていたそうだ。

「このボードを使うたびにとても誇りに感じていたよ。大人になってしばらく使っていなかったけれど、最近はセンターフィンをとったちょっとルースな状態で楽しむこともあるんだ」

とにかくサーフィンの腕を磨くにはもってこいの環境で育ったアイル。当時の憧れのサーファーといえば、ロバート・ウェイバーやナット・ヤング、ドノヴァン・フランケンレイターに競技引退後のロブ・マチャドなど、"わが道を行く"タイプのサーファーだったそう。

「もちろん、まわりにいたレジェンドクラスのローカルサーファーたち全員が、若い僕にとって影響力絶大だったけどね」

その後、波のサイズに合わせてフィッシュ、ショートなど様々な板を乗りこなせるエキスパートへと成長していった彼。地元では毎日のようにクイックターンやノーズライドをキメる姿が名物のようになっていたとか。と同時に、サーファーの父や友人とともに、サン・オノフレをはじめ、サンディエゴやメキシコまで波を求めトリップに行くようになり、さらに深くサーフィンの世界に魅了されていく。


とにかく波乗りに集中したくて


学校を卒業する頃には、サーフィンは彼の生活の中心となっていた。朝起きればすぐさまネットで波チェックをし、夜眠りにつく前にサーフィンのことを必ず考える。そんな習慣がすっかり身についていた。この、波乗りに重きを置いたライフスタイルを貫くべく、アイルはニューポートビーチのバーでバーテンダーとして働きはじめる。その理由は簡単。日中の時間をサーフィンに使うことができるからだ。

「もともと家族にカクテルを作ったり、お酒をサーブするのが好きだったんだ。バーは海沿いにあるので毎日多くのサーファーが訪れるよ。自然と話題はいつも波のことばかりになるね。常連客の中には、有名なフリーサーファーでアーティストのアレックス・ノストなどもいるんだ」

バーでの仕事のおかげでサーフィンにより集中できるようになっただけでなく、波を通じた仲間を作るという点でも貢献しているといえるのかもしれない。

バーテンダーとしての仕事とサーフィンの良好なバランスを手に入れていたアイル。そんなある日、ハンティントンビーチでサーフィンをしていたところ、老舗のサーフトランクスブランド〈ケイティン〉のフォトグラファーに声をかけられ、ブランドの専属ライダーとして契約を交わす。これを機に今度はモデル事務所からもオファーをもらい、サーフモデルやライフスタイルモデルとしてのキャリアもスタートした。

「〈ケイティン〉のスタッフとはファミリーのように絆が深まっていることにも感謝しているんだ。撮影のためにカリフォルニアの各ビーチからメキシコまでサーフトリップに行くなど、素晴らしい経験をさせてもらっているよ」

さらに、〈ケイティン〉のみならずサーフブランドの〈アート・イン・モーション〉など、様々なブランドからスポンサードが開始されるなど、現在30歳手前という彼の人生はまさに展開中。もちろん、ベースとなるバーテンダーとしての仕事も継続中だが、彼が理想とするサーフィン中心の生活により近づいてきているといえそうだ。


若きサーファーのシンプルな暮らし

日中はサーフィンとはいえ、夜はバーテンダーの仕事をこなすアイルは気をつけていないとどうしても夜型の生活になりがちだ。だからこそ、健康には十分気をつけているという。朝は7時頃起床してスマートフォンで波チェックし、波があれば午前中はサーフィンを行う。昼過ぎからはバーの仕込みを行い、夜12時の閉店後はすぐに帰宅し、波チェックをして就寝するという、とてもシンプルなライフスタイルだ。

「仕事上、お酒を飲む機会が多いけれどなるべく控えて夜も早く寝るようにしているよ。良質な睡眠と地球に優しいサスティナブルな食べ物を積極的に取り入れて、いいコンディションをキープしていたいんだ。それもこれも、サーフィンを思いきり楽しむためなんだけどね」

常に波乗りにプライオリティを置いた行動をとる姿には感心せざるを得ないが、本人いわく、「サーフィンは誰のためでもなく自分を喜ばせる最高のご褒美」なのだという。だからこそ、そのためにストイックなライフスタイルを送るのも決して苦ではないのだろう。

もちろん、サーフィンに集中するには身体面だけでなく精神的にも健康でないと難しい。心のバランスをとるために、数年前からヨガやメディテーションも行っているそうだ。

「いつも外で動きまわっているので静かな時間も必要なんだ。静と動のバランスを整えているうちに、いつかサーフィンとヨガ、そしてバーがひとつになったリトリートを開きたいと思いはじめ、夢に向かって頑張っているよ」

目標に真っ直ぐなアイルのことだから、新しい夢が叶うのもそう遠くない未来になりそうだ。

ホームポイントはココ!
ブラッキーズ[BLACKIES]
ニューポートビーチのピアの北側に位置する。ビーチブレイクで波質がよくロングからミドルレングスのボードをメインに楽しむことが可能。アレックス・ノストら名の知れたサーファーも多く出没するスポットとして有名だ


昔の〈ハーバー〉の板から自身がライダーを務める〈アート・イン・モーション〉などサーフラックには15本あまりの板を収納


自宅からビーチ周辺までぶらついたり、バーへの出勤をしたりするときはこのスクーターで 


トリップも大好きだがホームポイントのブラッキーズでの波乗りは心が休まる


海へ行くときには〈フォード〉のサーフバンを使用。これでメキシコまでトリップに行くこともある


休日には自宅で読書をゆっくり楽しむこともしばしば。写真はサーフィンの物語を描いた本『ザ・ロスト・コースト』。愛読書の1冊だそう


自宅に友人が遊びに来ると、本格的なカクテルを作ってもてなすのがアイル流


 
Information

雑誌『Safari』1月号 P244・245掲載

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