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2020.06.13

Gastronomic City OSAKA
大阪発世界へ。美食の地図を塗り替えた注目のレストラン。

大阪は幅広いジャンルの飲食店が揃う美食都市として知られるが、今回はその中でも、世界中のトップ・シェフや美食家たちが注目する超クリエイティブな、異色のフランス料理店をご紹介したい。

今回ご紹介する2店舗は、大阪の中でというよりむしろ、世界でその名を轟かせている名店中の名店である。近年、このレストランを訪れるためだけに、東京や京都をすっ飛ばして、大阪に訪れる富裕層は数知れず。観光誘致はもちろんのことだが、大阪のイメージアップに貢献してきたという意味においても、その功績は計り知れない。 

 

La Cime
[ラシーム]

あふれる想像力とフレーバーが皿を彩る。


高田シェフは、奄美大島出身。料理専門学校を卒業の後に渡仏。「タイユヴァン」や「ムーリス」などで研鑽を積んだのちに独立を果たした。フランス料理の基礎技術や知識をしっかり踏襲しながらも、ガストロノミックな革新的なアイデアやモダニティを料理で表現する。

鰹節を使ったタルト生地の上に、10種類ほどの野菜やエディブルフラワーが盛りつけられる。その野菜も、日本的な漬物やキムチの手法がなされ、アジア的な“発酵”をテーマにしている
「ラシーム」は、高田裕介シェフが2010年に大阪のオフィス街である本町にオープンさせたフランス料理店。生まれ育った自然豊かな九州の食材やフレーバーを巧みに取り入れ、独自の美意識で作り上げる料理の数々。味わったことのない官能がモザイクのようにちりばめられ、舌の肥えたゲストたちを幻惑する。

高田シェフは、フランス料理の基本となる技術や知識を踏襲しつつも、独自の世界観を確立している。オープンして数年は、地元ではなかなか理解されなかったという。だが、その噂は口コミで徐々に広がり、“アジアのベストレストラン50”の2018年度のランキングで初登場17位に入ると、その名が世界に一躍轟いた。そして2020年度の同アワードでは10位のほかに、シェフたちが選ぶ“シェフズチョイス賞”まで獲得し、人気実力を不動のものとしている。

新玉ねぎを使いフードロスをテーマにした料理

たまご茸を使った一品

梅干しをテーマに日本を表現したひと皿

店内は白と黒を基調にして、ソリッドでモダンな雰囲気が漂う

HAJIME
[ハジメ]
五感を再構築させる料理の数々。


米田シェフは、工学系のエンジニアから料理に転身した異色の料理人。フランスや日本国内のフレンチの名店で修業の後に、地元の大阪でレストランを開業。料理はもちろんだが、レストランやシェフの社会的な地位の向上のために、様々な活動を行い、その動向も多方面から注目されている。

「HAJIME」のスペシャリテのひとつ“地球”。巨大な有田焼の皿を地球に見立て、100種類以上の野菜を使い地球の森羅万象を表現する
「HAJIME(ハジメ)」は、世界の美食地図に大阪の存在感を示したパイオニア的な存在である。米田 肇シェフが2008年にオーナーシェフとしてオープン。米田シェフは翌年の2009年に37歳の若さでミシュラン3ツ星をミシュラン史上最速で獲得する快挙を成し遂げた。“アジアのベストレストラン50”を筆頭に、数多くの受賞歴を誇っている。正確無比で精緻、ときに砂絵曼荼羅を想起させる料理の数々は、ある種の瞑想的な感動が宿っている。

“希望”というテーマのひと皿。オリーブやすだちで、“平和”を表現し、ビーツ、黒にんにくをあしらった鳩で“空”を表している 

“緑”のひと皿は、黄ゆずやハコベ、アスパラガスなどを使っている

 
大阪は、この2店をして世界のガストロノミー都市として、その存在感を確立したといっても過言ではないだろう。新型コロナ禍が収束した暁には、是非ともご自身で体験してほしいと願う。
 

 

取材・文 中村孝則 美食評論家
1964年神奈川県葉山生まれ。ファッションからカルチャー、美食などをテーマに新聞や雑誌、テレビで活動中。主な著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)がある。2013年より“世界ベストレストラン50”の日本評議委員長も務める。さらに、グラナパダーノとパルマハムの親善大使に任命されている。

 
Information

●ラシーム
住所:大阪府大阪市中央区瓦町3-2-15 瓦町 ウサミビル 1F
営業時間:12:00~13:00(L.O)、18:30~20:00(L.O)日曜休
TEL:06-6222-2010
URL:http://www.la-cime.com/

●ハジメ
住所:大阪府大阪市西区江戸堀 1-9-11 アイプラス江戸堀1F
営業時間:17:30〜20:30(L.O)不定休
TEL:06-6447-6688
URL:http://www.hajime-artistes.com/

『Urban Safari』Vol.16 P27掲載

取材・文=中村孝則 text:Takanori Nakamura
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