【まとめ】ハラハラドキドキの展開に血が騒ぐ!
怒涛のアクション映画100選!PART04
『Safari Online』で紹介してきた映画作品の中から、ハラハラドキドキのアクション映画に絞って再構成し、一挙ご紹介します!
『セルピコ』
製作年/1973年 監督/シドニー・ルメット 出演/アル・パチーノ、ジョン・ランドルフ
それが正義なら、たった1人でも戦い抜く勇気がもらえる!
1971年、麻薬捜査中の警官フランク・セルピコが狙撃され、重傷を負って病院に搬送された。ただ、普通の麻薬事件と違っていたのは、セルピコを撃ったのは同僚の警官らしいというとんでもない疑惑だった!
アル・パチーノが実在の警察官を熱演した『セルピコ』は、警察内の腐敗と汚職にたった1人で闘った男の実話だ。正義を守るという信念をもって警察学校を卒業するも、実際に配属されてみると、賄賂とサボリが横行するどうしようもない現実に愕然とする。しかしセルピコは決して賄賂を受け取ろうとせず、同僚から疎まれ、あんな奴は早く死んだらいいと危険な現場に回されたりするのだからもうメチャクチャ! しかしセルピコは、史上はじめて公然と内部告発をした警官となり、今もアメリカのヒーローとして語り継がれている。
映画では、もう本当に誰ひとり味方がいない中、決死の覚悟で自分を貫く姿にハラハラさせられながらも応援せずにはいられない。日本では“空気を読む”ことが美徳とされがちだが、“絶対に空気を読まない男”の奮闘に胸が熱くなること間違いなし!
『クリード チャンプを継ぐ男』
製作年/2015年 監督/ライアン・クーグラー 出演/マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン
年長者が若者に手を差しのべる好例!
ボクシング映画の“伝説”『ロッキー』シリーズの中で、もっとも師弟愛に浸れるのがスピンオフ作品の本作。主人公ロッキー・バルボアは年齢を重ね、自らはボクサーとして完全引退状態。孤独な日々を送る彼の前に現れたのが、かつてのライバルにして盟友だったアポロ・クリードの息子、アドニスだった。
本作の師弟愛がドラマチックなのは、教える相手が自分の家族やアカの他人ではなく、親友の息子という微妙な距離感にあること。アドニスはアポロの死後に生まれたので、チャンピオンだった父の記憶がない。それゆえ、ロッキーは“教え子”との関係に葛藤する部分が多い。しかしながら、悩める若者に手を伸ばし、ともに闘い(ロッキーは重病が判明!)、あきらめない心を教えこんでいく。その様は、年長者としてあるべき姿を観る者に教えてくれる。あの”歴史の男”も、こうだったらよかった!?
自分が習得したテクニックやボクサーとしての精神を、後進の才能に継がせようとする姿に、『ロッキー』のファンならずとも胸が熱くなるはず。スタローンは、本作でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。アドニス役のマイケル・B・ジョーダンも迫真の演技で応え、師弟愛のドラマはじつにエモーショナル! 過去の『ロッキー』シリーズへのオマージュや、信じがたいカメラワークによる試合シーンも見どころだ。
『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』
製作年/1981年 監督/スティーヴン・スピルバーグ 主演/ハリソン・フォード 冒険先/南米ジャングル、ネパール、エジプト、ギリシャのクレタ島
痛快アクションでココロをリフレッシュ!
ブルホイップ(牛追いムチ)を武器にナチス軍を相手に勇敢に戦う一方、蛇だけは大の苦手という主人公インディ・ジョーンズが活躍する冒険映画の最高峰。人類の歴史を覆す大秘宝を求め、南米の秘境を皮切りに、米国→ネパール→エジプト→ギリシャのクレタ島と地球をぐるっと一周する大冒険へと繰り出していく。
冒頭の大玉に追いかけられるシーンからはじまる数々の冒険と、ジョン・ウィリアムズの軽快なテーマ曲が日常を忘れさせてくれ、インディとともに冒険の旅へトリップした気分になれること必至。クライマックスでは神と交信できるというユダヤの秘宝“聖櫃(アーク)”の驚きの中身も明かされ、最後までハラハラドキドキの連続。これなら月曜からも、リフレッシュして臨めるはず!
製作は『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカス、監督はスティーヴン・スピルバーグ。少年が夢見る世界を愛してやまない2人の巨匠が最強タッグを組んだ、最上級のエンターテイメント作品。冒険家にして考古学教授である“永遠のヒーロー”インディに扮するのはハリソン・フォード。当時39歳、ダンディさが全身からほとばしっていた時期であり、よれよれのソフト帽とサファリシャツ姿なのだが、それが絶妙でかっこいいのだ。
『ナショナル・トレジャー』
製作年/2004年 監督/ジョン・タートルトーブ 主演/ニコラス・ケイジ 冒険先/ワシントンD.C.、ニューヨーク一帯
信じる者は救われるエンディングにやる気がアップ!
冒険映画のお約束といえるのが、古来言い伝わる秘宝伝説を信じるか否か。主人公ベンは先祖代々語り継がれてきたおとぎ話を信じ続けることで、崩壊寸前だった家族の絆を取り戻すことに成功する。実際に財宝探しに夢中になりすぎ、人生を棒に振るトレジャーハンターたちが実在するだけに、ハッピーなエンディングは嬉しくなってくる。週末に観れば「月曜から頑張ろう!」な〜んて前向きな気分にさせてくれるだろう。
独立宣言書に記された暗号を見つけ出す方法、100ドル紙幣のデザインの中に隠されたヒントなど、ベンたちと一緒に謎を解明していく過程が実に楽しい。クライマックスの地下迷宮も一見の価値あり。信念を持って仕事に取り組めば、かけがえのない仲間や生涯の伴侶も見つかる、そんなことを教えてくれる作品だ。
製作は『パイレーツ・オブ・カリビアン』を大ヒットさせたジェリー・ブラッカイマー。ニコラス・ケイジ演じる歴史学者ベンは、中世のテンプル騎士団が隠した財宝の数々だけでなく、命懸けの冒険を通じて知的な金髪美女もゲットする超美味しいキャラクターだ。ワシントンの公文書館に厳重に保管されている“合衆国独立宣言書”の裏面に秘宝の隠し場所が記されているという虚実ないまぜになった歴史ミステリーが堪能できる。
『グーニーズ』
製作年/1985年 監督/リチャード・ドナー 主演/ショーン・アスティン 冒険先/海賊伝説の残る洞窟
未知の世界に踏みこむ勇気がもらえる!
ちょっとおマヌケだけど、好奇心いっぱいの4人の少年たちの探検隊“グーニーズ”が活躍するコメディタッチの冒険映画。喘息持ちのマイキーたちグーニーズが、屋根裏部屋でたまたま古地図を見つけたことから、伝説の海賊が隠したとされる秘宝探しに乗り出す。
『Safari Online』読者にとっては、何度も観てきた懐かしの作品かも。年上の女性への憧れやギャング一家とのドタバタ劇を織りこみつつ展開する物語に、未知の世界へ足を踏むこむ冒険心=男のロマンの大切さを思い出させてくれるに違いない。まさに心の栄養ドリンク的な1作だ。
お菓子を介して仲良くなったチャンクと心優しき怪力男スロースとの友情に、思わず涙がポロリ。1980年代に大人気を誇った歌姫シンディ・ローパーがノリノリで歌う主題歌「グーニーズはグッドイナフ」も気分を盛り上げてくれるナンバーだ。明るく、大らかさが漂う’80年代テイストが映画全編に散りばめられている。
『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』
製作年/1999年 監督/スティーブン・ソマーズ 主演/ブレンダン・フレイザー 冒険先/エジプトの古代遺跡
砂漠の冒険活劇に笑って、怖がって、気分爽快!
恐怖と笑いがほどよいバランスで配合された冒険ファンタジー。古代エジプトにまつわるオドロオドロしい呪いと古代遺跡に残された仕掛けをくぐり抜け、主人公たちは3000年の眠りから目覚めたミイラ男と対決する。人間の精気を吸ったミイラ男が徐々に復活していく姿や砂嵐が巨大な顔になって襲い掛かるシーンなど、最先端のCG技術が生かされた場面は見応えあり。
次々と襲ってくるミイラ軍団との息もつかせぬバトルは、現実を忘れるくらいの没入感が味わえる。それもそのはず、人気ホラー作家のクライヴ・バーカーやゾンビ映画で知られるジョージ・A・ロメロらが脚本段階で参加。死者を蘇らせる魔導士やゾンビ化した民衆が襲い掛かるシーンで、手腕を発揮しているのだ。
死者復活のための生贄に選ばれたヒロインのレイチェル・ワイズを救い出すため、ブレンダン・フレイザーが“死者の都”ハムナプトラへ向かう後半戦はさらに敵と戦いまくり。あまりに夢中になりすぎて、かえって疲れちゃったなんてことにならないように! ?
クリストファー・ノーラン監督/『ダークナイト』
製作年/2008年 出演/クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、マギー・ギレンホール
理論派にしか生み出せない傑作
クリストファー・ノーラン監督の作家性を表す言葉として“理論派”であることが挙げられる。物語のエモーショナルな要素も理論で解析するような作風は、ときに“理屈っぽい”と感じさせることもある。でも、“理論派”でしか撮れない傑作を1本挙げるなら、『ダークナイト』を置いてほかにない。
『ダークナイト』はノーランが監督したバットマン映画の2作めで、原作コミックにおけるバットマン最大の宿敵ジョーカーを登場させている。かつてはジャック・ニコルソンも演じたジョーカー役を、ヒース・レジャーがまったく新しいアプローチで怪演し、アカデミー助演男優賞に輝いた。
ノーランとレジャーが生み出したジョーカー像とは、カネや権力が目的ではなく、ただただ世の中をひっかきまわし、人間から醜い本質を引き出したいという超迷惑な“究極の愉快犯”。しかし犯罪が憎いという一心で、たった1人で悪党をボコって回るバットマンも、悪意と善意の違いだけで、やはり“愉快犯”とはいえないのか?
ジョーカーは、バットマンという存在が本質的に持っている矛盾をつまびらかにするカードの裏面である――という明確なコンセプトが『ダークナイト』の物語を哲学的かつ刺激的なものにしている。まさに“理論派”にしか構築できないノーラン節の真骨頂がこの映画には宿っているのだ。
『グラン・トリノ』
製作年/2008年 監督・主演/クリント・イーストウッド
男としてどうあるべきか、そのすべてが詰まっている!
頑固一徹、いぶし銀のような魅力を放つクリント・イーストウッドの主演作。大人の男のダンディズムと日常におけるこだわりが全編にちりばめてある。まずかっこいいのが日課。自動車工を定年まで勤め上げた主人公コワルスキーは、毎日ヴィンテージカーのグラン・トリノをピカピカに磨き上げている。亡くなった妻のことも一途に愛していたなど、本物と認めたものを愛し抜く性分は男として見習っておきたいところだ。
物語はコワルスキーと隣に引っ越してきたアジア系移民一家の少年タオとの交流がメイン。未熟な少年に、大人のイロハを教えるところも生き方として惹かれるのだが、1番はクライマックス。コワルスキーがタオ一家とトラブルを起こすギャングに業を煮やし愛用のライフルを持って立ち向かう場面だ。
老人VSギャング集団。どう見ても劣勢なのだが、立ち上がらずにはいられないという、この魂にとにかく心打たれる。当然、本人も承知のうえで、ヒゲを剃り、頑なに行かなかった教会へ赴き懺悔するのだ。この先は本編を観てほしいのだが、このコワルスキーが長年にわたってハリウッドを生き抜いてきたイーストウッド自身と重なって見えることもあり、イーストウッドによる男気指南書ともいえる作品なのだ。
『レスラー』
製作年/2008年 監督/ダーレン・アロノフスキー 主演/ミッキー・ローク
ボロボロになっても立ち上がる姿に男を感じる!
主人公の姿にミッキー・ロークの人生を重ね合わせずにはいられない作品で、かっこ悪さをさらけ出した姿が胸を打つ人間ドラマ。主人公ランディは、かつてメジャー団体で活躍したが、今はステロイド剤の射ちすぎでボロボロになった中年プロレスラー。若手レスラーやプロレスファンからリスペクトされる一方、普段はスーパーマーケットで働かざるをえないほど落ち目になっている。
心臓の手術を受け引退を決意するが、どうしてもリング上で感じた高揚感を忘れることができない。そのうえ、不器用な生き方しかできないため、大好きな娘の約束をすっぽかしては嫌われ、勤務中のスーパーマーケットではファンに見つかり、恥ずかしさから店をグシャグシャにしてしまう。そんなつもりじゃないのに、同じ過ちを繰り返してしまう。誰しも、こんなときがあるだけに、ランディの気持ちが痛いほど伝わってくるはずだ。
ラスト、ランディはボロボロのカラダながら命懸けでリングに上がる。そこには天職に巡り合ってしまった男の喜びと哀しみが見てとれる。‘80年代にフェロモン系男優として一世を風靡したミッキーだが、その後は低迷。破産、離婚、整形手術の失敗……と辛酸を舐めわけだが、本作でベネチア映画祭金獅子賞を受賞しカムバックする。まさにミッキー自身のセミドキュメンタリーを観ているかのようでもある。
『フレンチ・コネクション』
製作年/1971年 監督/ウィリアム・フリードキン 主演/ジーン・ハックマン
昭和的な生き方も男としては憧れる!
麻薬犯罪の撲滅に執念を燃やす刑事たちを主人公にした実録アクション映画。NY市警の薬物対策課所属のベテラン刑事ポパイが麻薬組織を追い詰めていく姿がとにかく圧巻!すべてを麻薬組織壊滅に注ぐポパイの生き方は、働き方改革がうたわれる昨今では時代錯誤かもしれないが、そこまで熱狂できる職を見つけられたという点では羨ましく思えるはず。
ジーン・ハックマン演じるポパイはひたすらNYを走り回り、容疑者たちを次々と検挙していく。なかでも麻薬組織が放った殺し屋とポパイとが地下鉄とクルマとでチェイスを繰り広げるシーンは、映画史に残る名場面だ。ポパイの鬼気迫る捜査ぶりに、刑事という職業に対するプライドがビンビンと伝わってくるだろう。
これと決めたものにすべてを捧げるポパイの生き様に男として憧れるわけだが、続編『フレンチ・コネクション2』では、それに加え男の意地を見せつけてくれる。組織の手に落ちたポパイが麻薬漬けになってしまうのだが、そこから立ち直ろうと懸命になる。この姿も、また胸が熱くなる名シーンだ。
『ハートブルー』
製作年/1991年 監督/キャスリーン・ビグロー 出演/キアヌ・リーヴス、パトリック・スウェイジ
LAのストリートカルチャーを感じたいならコレ!
強盗団の正体を暴くために、潜入捜査官がLAカルチャーに入りこむ。カルト人気を誇る『ハートブルー』は、後にほぼ同じプロットの『ワイルド・スピード』が生まれるなど、アクション映画の中でもカルト的な人気を誇る名作だ。
キアヌ・リーヴス扮するFBI捜査官ジョニー・ユタはベニスビーチに集まるサーファーたちのコミュニティに潜入する。連続強盗事件の犯人チームがサーファーではないかと推測したからだ。そこにはカリスマ的な魅力を持ったボディというリーダーがいて、ジョニーはボディの人柄やスリルに満ちたサーフカルチャーに魅せられていく……。
ベニスビーチといえば、典型的なロサンゼルスの景色として映し出されることの多いヒッピー文化が色濃い地域。日差しがまぶしいビーチ沿いはランニングする人やスケートボードが行き交い、街には洒落たカフェやレストランやギャラリーが並ぶ。北のサンタモニカはより観光リゾート的で、南に隣接するマリーナ・デル・レイにはセレブ感が漂う一方、ベニスビーチは混沌とした活気を失わない。最近は治安も改善しており、LAのストリートカルチャーを感じたいなら訪れない手はない。できることならサーフボード持参でどうぞ。
『グラディエーター』
製作年/2000年 監督/リドリー・スコット 出演/ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセン
正攻法でのリベンジを望むならコレ!
古代ローマ皇帝からの信頼もあつく、聡明で誠実な将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)。そんな彼に帝位を譲ろうとする皇帝に対し、傲慢で野心的な皇子コモドゥスが反旗。実父である皇帝を殺して帝位につき、マキシマスの命をも狙う。妻子を殺され、自らも奴隷に身を落とすことになったマキシマスはやがて剣闘士となって名を上げ、コモドゥスへの復讐の機会をうかがうことになるが……。
巨匠リドリー・スコットが監督を務め、アカデミー賞で作品賞、主演男優賞などに輝いた歴史スペクタクル大作。華々しい活躍の日々から一転、衝撃的なまでの苦境に立たされたマキシマスの絶望、葛藤、それでも汚れ切ることのない信念が胸に迫り、本作でラッセル・クロウのファンになった人も多いはず。人生を懸けた正攻法での復讐を望むなら、一度は観ておきたい傑作!
『トゥルー・グリット』
製作年/2010年 監督・脚本/ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン 出演/ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン
助けを借りて復讐するのもひとつの手段!
ある男に父親を殺され、復讐を決意した14歳の少女マティ。父の形見の銃を手にしたマティは逃亡した復讐相手を追うため、連邦保安官のコグバーン(ジェフ・ブリッジス)を雇うことに。そこにテキサスレンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり、3人の旅が始まるが……。
映画ファンに大人気のコーエン兄弟が監督を務め、アカデミー賞で10部門にノミネートされた西部劇。今や大人の女性になったヘイリー・スタインフェルドが、映画初出演にして主人公のマティを熱演。2人の実力派スターが物語上でも、撮影でも彼女を支える。
とはいえ、マティが復讐の相棒に望んだ保安官コグバーンは、クセ者の大酒飲み。そんな彼とラビーフがどう活躍するかは見てのお楽しみだが、1人では力が及ばないのであれば、誰かの助けを借りるのも復讐には必要かもしれない。
『狼の死刑宣告』
製作年/2007年 監督/ジェームズ・ワン 出演/ケビン・ベーコン、ギャレッド・ヘドランド、ケリー・プレストン
覚悟を決めたいのなら、コレ!
ビジネスマンのニック(ケビン・ベーコン)はガソリンスタンドでギャングの襲撃に遭遇し、長男を惨殺されてしまう。家族全員が悲しみに暮れる中、犯人の裁判で証言をすることになったニックは、法の裁きでは納得する結末が得られないと察知。自らの手で復讐を遂げようとするが、それはギャングを相手にした戦争の始まりだった……。
『アクアマン』のジェームズ・ワン監督が、ブライアン・ガーフィールドの小説を映画化。ごく平凡な家庭人だった男が、やがて復讐の鬼と化していく。当初は怒りを行動に移すことすらおぼつかなかったニックが、髪を刈りこみ、多数の銃器を手に戦闘開始。
そこから見えてくるのは、1人の男の覚悟だ。復讐の連鎖からは何も生まれないが、それでも覚悟を決めなくてはならないときが人にはある。その非情な現実を、過激な描写と共に教えてくれる1作。
『キル・ビル』
製作年/2003年 監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ
気持ちを高めるなら、コレ!
妊娠をきっかけに裏社会から足を洗った史上最強の殺し屋ザ・ブライド(ユマ・サーマン)は幸せな結婚式を待ち望む中、ボスだったビル(デビッド・キャラダイン)たちの襲撃を受ける。
結婚相手も身ごもっていた子供も殺され、自らも重傷を負った彼女は4年後、昏睡状態から目覚め、ビルへの復讐を開始することに……。
鬼才クエンティン・タランティーノが映画への愛を炸裂させながら、悲劇に見舞われたヒロインの壮絶な復讐劇を描写。その壮大さから『Vo.1』『Vo.2』の2作構成となり、リベンジ映画といえばコレ! といえるほどの人気を誇り続けている。
黄色のトラックスーツに身を包んだザ・ブライドが、あるときは日本刀で、またあるときはナイフでターゲットを1人1人仕留めていく展開が痛快。梶芽衣子の歌う“怨み節”が、エンディングでインパクトを放っているのもそそる。
『ライリー・ノース 復讐の女神』
製作年/2018年 監督/ピエール・モレル 出演/ジェニファー・ガーナー、ジョン・オーティス、ジョン・ギャラガー・Jr.
復讐には辛抱強さも必要!
平凡ながらも幸せに暮らす主婦ライリー・ノース。ある日、街で麻薬組織の襲撃に遭って夫と娘の命を奪われたライリーは、深い悲しみのどん底に。しかも、容疑者たちが無罪放免となったことで、彼女は絶望と共に姿を消す。それから5年、復讐のために舞い戻ってきたライリーは、警察やメディアを巻き込んだ一大決戦を仕掛けることに……。
『96時間』のピエール・モレルが監督を務め、『エイリアス』のジェニファー・ガーナーが主人公を熱演。ささやかな幸せを奪われた人間が復讐の鬼と化すという点では、女性版『狼の死刑宣告』ともいえるところ。
人知れず過酷なトレーニングを積み、強靭な肉体と精神で目的を果たしていくライリーの決意にスカッとさせられる。復讐達成に向けて計画的にじわじわと動く辛抱強さと、走り出したら誰も止められない大胆さのバランスも参考になる!?
『コンスタンティン』
製作年/2005年 原案・脚本/ケヴィン・ブロドビン 出演/キアヌ・リーブス、レイチェル・ワイズ、シャイア・ラブーフ、ティルダ・スウィントン
複雑で屈折したキャラこそ真骨頂!
どこか孤独で、陰のあるヒーローは、キアヌが最も得意とするパターン。『コンスタンティン』の主人公は、この系列の中でも恐ろしいくらいにハマっている。地球上には、天使と人間、そして悪魔と人間の中間である“ハーフブリード”が存在。
探偵のジョン・コンスタンティンは彼らを見分けることができる。しかしタバコの吸い過ぎで、肺がんとなって余命1年の宣告。死後に地獄行きが決まっているジョンは、その運命を変えるべく、悪魔祓いを行っている。かなり複雑で屈折したキャラなのだが、キアヌが演じると素直に感情移入できてしまうから不思議!
タバコはもちろん、酒や腕時計にもこだわりのブランドがある。人生を捨てたような無常観を漂わせつつ、私利私欲の行動もとる。そんなジョン・コンスタンティンの生き方には、本能的にあこがれてしまう人も多いはず。
その一方で、ハーフブリードを巡る戦いでは、ホラーのテイストに特大スケールのアクションが融合され、かなり異色のテイスト。十字架の形をしたショットガンなど使われる武器もユニークだ。世界観も映像も、そしてアクションも、どこかマニア心をくすぐる印象ながら、王道のアクション映画を観ている気になるのは、ひとえにキアヌが主演だからかもしれない。キアヌ自身も続編を待望するほど気に入っている。
『フェイクシティ ある男のルール』
製作年/2008年 監督/デヴィッド・エアー 脚本/ジェイムズ・エルロイ 出演/キアヌ・リーブス、ヒュー・ローリー、クリス・エヴァンス、セドリック・ジ・エンターテイナー
ストイックなキアヌが楽しめる!
キアヌ・リーヴスのキャリアの中では、派手さが少ないものの、役にぴったりという点でハイレベルなのがこの作品。キアヌが演じるのはLAPD(ロサンゼルス市警)のトム・ラドロー。まわりに頼らない一匹狼で、捜査のためには手段を選ばない。性格は短気で、刑事なのにアウトロー。
善と悪の混沌とした世捨て人のようなキャラクターが、キアヌの魅力とマッチしている。かつてコンビを組んでいた同僚に内部告発されたトムだが、目の前でその同僚が覆面強盗に殺害され、トムの撃った銃弾も同僚に当たってしまい……。
脚本を手がけているのが、『L.A.コンフィデンシャル』などの原作者で犯罪小説の巨匠である、ジェームズ・エルロイ。そのせいか警察の裏事情や犯罪のシーンは徹底してリアルに描かれている。銃撃アクションなど、映画っぽい過激さより、現場の生々しさを重視した感覚で演出されているので、逆に新鮮かも。
この手の犯罪アクションは意外な展開がセールスポイントになることが多いが、今作は物語もアクションも、余計なヒネリを入れずに突き進んでいくところが魅力になっている。妻を亡くしたトムが、看護師の恋人と微妙な関係が続いていたりと、すべてにおいてストイックな雰囲気がキアヌに似合っているのだ。
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text:Hiroaki Saito、Hikaru Watanabe、Mayuko Kumagai、Manabu Souma、Toru Yonehara