映画選びの新たな基準!
A24って、なんだ?
どんな映画を観ようか? そんなとき基準にするポイントは、ジャンルやストーリー、監督や出演スターというケースが一般的。ただ最近、映画ファンや若い世代の間で、あるキーワードが流行の兆しをみせている。それは“A24”。製作や配給を手がけるアメリカの映画会社の名前だ。
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2012年設立という新しい会社ながら『ムーンライト』や『ルーム』、『レディ・バード』など、アカデミー賞に大きく絡む名作を次々と送り出し、映画ファンにとってはすでに“安心保証”として認知されていた。
その評判がさらに一般的に広がったのが、2020年公開(全米は2019年)の『ミッドサマー』。白夜のスウェーデンでの祝祭の裏側を描き、「美しそうなのにめちゃくちゃ怖い」という大胆な世界観が、若者を中心に魅了。口コミも広まり、新型コロナウイルスの影響下にありながら、思わぬヒットを記録した。「予想外の映画に出会える」ということで、製作したA24の人気も一気に高まっている。
『ミッドサマー』
このA24の勢いが、2020年の後半、日本でさらに加速しそうな気配。たまたまとはいえ、毎月のペースで新作が公開されるからだ(製作作品、配給のみの作品も含む)。全身タトゥーの除去を受けながら、人種差別主義の洗脳を解いていく主人公の『SKIN/スキン』にはじまり、アスリートの未来を嘱望された高校生の衝撃の運命を描き、音楽とビジュアルが鮮烈な『WAVES/ウェイブス』。
『SKIN/スキン』
配給/コピアポア・フィルム 公開中
『WAVES/ウェイブス』
配給/ファントム・フィルム 7月10日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
ある死亡事件の事実に誰もが呆然となる『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』、
『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』
配給/ファントム・フィルム 8月7日(金)より新宿シネマカリテほか全国ロードショー
スケボーに夢中になる13歳を主人公にした、屈折感とユーモアが同居する『Mid90s ミッドナインティーズ』、
『Mid90s ミッドナインティーズ』
配給/トランスフォーマー 9月4日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
アジア系キャストが奏でる感動作『フェアウェル』、
『フェアウェル』
配給/ショウゲート 近日公開
とにかく演出がスタイリッシュな『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』、
『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
配給/ファントム・フィルム 10月9日(金)より新宿シネマカリテほか全国ロードショー
と、いずれも“個性派”の作品ぞろい。しかもそのどれもが想像を超えた驚きや展開を用意していたりして、気鋭の才能を実感させてくれる。“お洒落”で“カッコいい”映画を観た、という気分にさせてくれるのも、A24作品の特徴なのである。
新型コロナの影響によってハリウッド大作の公開が少なくなっている2020年。映画マニアの観客以外にも、A24はある種の“ブランド”的な地位に定着するのだろうか? とりあえずどれか1本でも試しに観て、そのレベルの高さを実感してほしい!
photo by AFLO