『ザ・ハント』
製作年/2020年 監督/クレイグ・ソベル 脚本/ニック・キューズ、デイモン・リンデロフ 出演/ベティ・ギルピン、エマ・ロバーツ、ヒラリー・スワンク
阿鼻叫喚の”人間狩り”のゴングが鳴り響く!
低予算で過激な映画を次々と世に送り出すブラムハウス・プロダクションズがまたも予測不能な筋書きを展開させたバイオレンス作。それもアメリカの超富裕層が結託し、各地の低所得者を世界のどこかへ連れ去って”人間狩り”を行うというぶっ飛んだ内容だ。強制的に参加させられた獲物たちは森の中で目が覚め、開始の合図とともに草原の中央にある武器を手にして、意味もわからぬまま必死に逃げ惑うが・・・・・・。
序盤から阿鼻叫喚のテンションはMaxで、特殊メイクチームが血糊や傷痕マシマシの仕事ぶりを刻む。その上、本作は「誰が主役を担うのか」すら中盤までわからぬまま、登場人物の誰かがいざヒロイズムの風を吹かせようものなら速攻で撃ち殺される始末。我々も一向に気が休まらぬまま、やがて浮かび上がるのは、いわゆる”二極化するアメリカ”の構図だ。埋まらない溝。噛み合わない応酬。格差社会、憎悪の連鎖などなど、第一期目のトランプ政権時代の空気感が色濃く反映された一作と言えるのかも。かくなる意欲作でありながら、公開時期がパンデミックと重なり商業的に大きな打撃を受けた不運作でもある。
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