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CULTURE カルチャー

2025.04.19


命を懸けて生き残れ! 絶体絶命サバイバルゲーム映画5選!【全作紹介】

 

 

『ザ・ハント』
製作年/2020年 監督/クレイグ・ソベル 脚本/ニック・キューズ、デイモン・リンデロフ 出演/ベティ・ギルピン、エマ・ロバーツ、ヒラリー・スワンク

阿鼻叫喚の”人間狩り”のゴングが鳴り響く!
低予算で過激な映画を次々と世に送り出すブラムハウス・プロダクションズがまたも予測不能な筋書きを展開させたバイオレンス作。それもアメリカの超富裕層が結託し、各地の低所得者を世界のどこかへ連れ去って”人間狩り”を行うというぶっ飛んだ内容だ。強制的に参加させられた獲物たちは森の中で目が覚め、開始の合図とともに草原の中央にある武器を手にして、意味もわからぬまま必死に逃げ惑うが・・・・・・。

序盤から阿鼻叫喚のテンションはMaxで、特殊メイクチームが血糊や傷痕マシマシの仕事ぶりを刻む。その上、本作は「誰が主役を担うのか」すら中盤までわからぬまま、登場人物の誰かがいざヒロイズムの風を吹かせようものなら速攻で撃ち殺される始末。我々も一向に気が休まらぬまま、やがて浮かび上がるのは、いわゆる”二極化するアメリカ”の構図だ。埋まらない溝。噛み合わない応酬。格差社会、憎悪の連鎖などなど、第一期目のトランプ政権時代の空気感が色濃く反映された一作と言えるのかも。かくなる意欲作でありながら、公開時期がパンデミックと重なり商業的に大きな打撃を受けた不運作でもある。
 

  

 


『デス・レース』
製作年/2008年 監督・脚本/ポール・W・S・アンダーソン 出演/ジェイソン・ステイサム、タイリース・ギブソン、イアン・マクシェーン

実写主義にこだわったカーアクション決定版!
舞台は2012年(公開当時から見ると近未来)。アメリカ経済が崩壊し、暗雲たる社会が広がる中、唯一、人々を歓喜熱狂させる娯楽があった。その名は”デス・レース”!!ルールはいたって簡単だ。極悪受刑者たちが改造車に乗り込み、刑務所内のサーキットで血みどろの肉弾戦を繰り広げる。勝ち抜けば釈放。負ければ死あるのみ。だが全世界へ生配信されるこのレースも最近は視聴者数が減少傾向にあった。そこで起爆剤として、妻殺しの濡れ衣を着せられた元レーサーが、伝説の覆面レーサーとして参戦することになりーー。

B級映画の帝王ロジャー・コーマンが製作した『デス・レース2000』(1975年)のリメイクとして銘打たれながら、ほぼ全く新たなものへ姿を変えたバイオレンス・アクション。当初はトム・クルーズが主演する話もあったのだが、二転三転の結果、安定のステイサムが凄みをきかせる劇薬へと仕上がった。その最大の注目点はやはり改造車とスタントマンを大量投下した実写へのこだわりだろう。CG万能の時代だからこそ、あえて痛みと衝撃の伝わる生身のぶつかり合いを。そんな信念を貫くなんて、キャストのみならず、作り手も相当な猛者だ。一筋縄ではいかない狂える彼らの饗宴を堪能したい。
 

  

 


『GAMER』
製作年/2009年 監督・脚本/マーク・ネヴェルダイン&ブライアン・テイラー 出演/ジェラルド・バトラー、マイケル・C・ホール、アンバー・ヴァレッタ

生身の人間に接続するサバイバルゲーム爆誕!
西暦2034年の世界では、一人の天才プログラマーが創り出した仮想コミュニティが大人気。それはユーザーが”生身の人間”に接続して操作するという超異色の交流空間だ。さらにその応用版として生まれた、リアルな死刑囚たちを自在に操作して銃やナイフで殺し合いをさせるシューティングゲーム『スレイヤーズ』が社会現象を巻き起こしている。ゲーム内で連戦連勝を続ける英雄ケーブルは、あともう一歩で自由(釈放)を獲得するところまでたどり着くがーー。

メタバースという言葉が一般化するずっと前、それこそセカンドライフなどのバーチャル空間が台頭していた00年代終盤に製作された、想像を超えた近未来アクション。おそらく公開当時はストーリーがさっぱり意味不明な観客も多かったに違いないが、今改めて見ると、ゲーム画面を模した映像演出もさることながら、時代を先取りした筋書きが極めて新鮮だ。そしていかなる世でも束縛された者は自由を希求する。境界線を超え、ゲームを脱出したその先に、一体どんな世界が待つのか。悪役の天才プログラマーが、まるで政治権力を手にしたどこぞの実業家の生き写しのように思えてくるのもご愛敬。
 

  

 


『メイズ・ランナー』
製作年/2014年 監督/ウェス・ボール 脚本/ノア・オッペンハイム、グラント・ピアース・マイヤーズ、T・S・ノーリン 出演/ディラン・オブライエン、カヤ・スコデラリオ、トーマス・サングスター

知恵と体力で巨大迷路を攻略せよ!
ふと目覚めると、そこは地下エレベーターの中だった。記憶はない。名前も思い出せない。たどり着いた先は青年たちが自給自足で暮らすコミュニティ。一見、穏やかそうな生活だが、しかし草原の向こうに目をやると巨大な壁(!)が立ちはだかっている。いや、壁に見えるが実は迷路だ。それも内部では刻々と形が変わり、うかつに入ると二度と出て来れないという。主人公は俊足の仲間たちと迷路に踏み入り、閉鎖された世界からの脱出を試みるのだが・・・・・・。

世界で人気を博したSF小説を、これが初長編監督作となる気鋭のクリエイター(彼は現在、映画版『ゼルダの伝説』のため奮闘中だとか)と、フレッシュな若手キャストが組んで鮮烈に映像化。いわゆる『蝿の王』にも似た青年たちの群像劇としても楽しめるが、やはりメインはなんと言っても巨大迷路だ。CGを効果的に用いたスリル満点の表現性といい、内部で蠢くクリーチャーの不気味さといい、興味の尽きない謎だらけ。一体誰が、何のためにこれを築いたのか。襞をめくるとまた新たな襞が現れ、終わりなき連鎖が脳と感情を揺さぶり続ける。世界の果てのそのまた向こう側を、あなたはどう予想する!?
 

  

 


『ハンガー・ゲーム』
製作年/2012年 監督・脚本/ゲイリー・ロス 出演/ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース

ヒロインの毅然とした存在感が心を射抜く!
全世界で驚異的な売り上げを記録したベストセラー小説の映画化。舞台となる独裁国家パネムでは、毎年『ハンガー・ゲーム』という巨大イベントが開催されている。それは過去に反乱を起こした歴史を持つ12の居住地区から見せしめ的に選出された若き男女一人ずつ、計24人が、最後の一人になるまで殺し合うサバイバル・マッチだ。そして今年の第12地区からは、年端のいかない妹の身代わりとなって、16歳の少女カットニスが闘いに名乗りを上げーー。

そこから始まる森の中での戦いは緊張の連続だ。もともとギリシア神話やローマの剣闘士、さらには現代の『リアリティショー』の要素が織り交ぜられているだけあって、出場者が知力や体力を競い合うだけでなく、若者ならではの心理戦を繰り広げつつ、さらには視聴者やスポンサーの心を掴む自己プロデュース能力が不可欠となるのも面白いポイント。そんな過酷な状況下で自分を見失わず、芯のある個性で果敢に突き進むローレンスの勇姿がとにかく魅せる。役作りの過程では様々なアクション・スキルを叩き込んだそうで、とりわけオリンピックのメダリストに手ほどきを受けたアーチェリーの腕前は極めて鮮烈だ。

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文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu
photo by AFLO
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