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CULTURE カルチャー

2023.10.28


【深掘り考察】映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が描くアメリカの黒歴史とは? PART1



アメリカ映画界を代表する巨匠マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオが6度目のタッグを組んだ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。現在80歳ながら老いを感じさせないスコセッシの渾身の一撃であり、俳優ディカプリオにとってもキャリア最高にして最低のろくでなしを熱演した必見の作品である。

もともとこの企画をスコセッシ監督に持ち込んだのはレオナルド・ディカプリオだった。ディカプリオは幾度となくスコセッシと組んでいるが、『アビエイター』(2004年)や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)もディカプリオ側からアプローチし、32歳年長の大先輩を巻き込んで実現させた映画だった。
 

 
ディカプリオは2016年に、インパラティブ・エンタテインメントと組んでデイヴィッド・グランが著した原作本『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』(早川書房刊、文庫本のタイトルは『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生』)の映画化権を出版前に獲得していた。同書は約100年前にネイティブ・アメリカン居留地で起きた連続殺人の真相に、背後にある組織的犯罪や根深い人種差別、そしてFBIの前身である『捜査局』の裏事情を絡めて迫ったものだった。 

 
スコセッシもたちまち原作本に夢中になり、監督を承諾。しかしスコセッシの前作『アイリッシュマン』(2019年)の撮影が先行したり、コロナ禍に見舞われたりしたことで、かなりの長期間に渡って脚本を練り上げることになった。

スコセッシと脚本家のエリック・ロスは、ネイティブ・アメリカンのオーセージ族に大量の犠牲者を出した連続殺人を描くにあたり、真犯人を割り出した捜査官トム・ホワイトを主人公にした脚本を書いていた。当時、オーセージ族は居留地から噴出する豊かな石油資源によって「世界一裕福なひとびと」と呼ばれ、彼らの財産や利権を目当てに白人たちが押し寄せ、さまざまな問題を引き起こしていた。そんな中、次々と不審死や殺人事件が発生し、事件解決のために首都ワシントンDCから派遣されたのがトム・ホワイトだったのだ。

ディカプリオは当初はトム・ホワイトを演じる予定だったが、むしろ加害者側にいた人物、アーネスト・バークハートという人物を演じることに興味を示したという。アーネストは19歳の時に叔父のウィリアム・キング・ヘイルという地元の名士を頼ってオーセージ居留地に移り住んだ白人男性で、オーセージ族の女性モリー・カイルと結婚していた。実は事件の主犯格は叔父のヘイルであり、ヘイルはモリーの近親を殺害することで、遺産と石油の受益権がモリーとアーネストに集まるように画策。アーネストも陰謀の片棒を担いでいたのだが、裁判では証人として叔父を告発する側に回ったのである。 

 
スコセッシもまた、捜査側を主人公にした脚本が「事件を外側からしか描けていない」ことに懸念をいだいていた。そこで原作では膨大なページ数を与えられているトム・ホワイトのエピソードを極限まで削り、叔父ヘイルと妻モリーや子供たちの間で板挟みになるアーネストを中心に据える方針に変えた。モリー役に抜擢されたリリー・グラッドストーンも、オーディションの後に脚本が劇的に変わり、アーネストとモリーの夫婦の物語になっていたと証言している。
 

 
この変更によって、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は圧倒的にスコセッシらしい映画になった。ホワイト捜査官が主人公であれば、ただ難事件を解決するミステリーになっていただろう。しかしアーネストとモリーが中心になることで、スコセッシが長いキャリアを通じて描き続けてきた、善悪では計り知れない人間の弱さや葛藤を暴き出す物語になったのだ。(PART2に続く)
※本記事は4部構成になっております。
 

 

 
文=村山章 text:Akira Murayama
画像提供 Apple / 映像提供 Apple
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