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CULTURE カルチャー

2022.12.28

飛躍した若手スターとは?
2022年ハリウッドお騒がせニュース振り返り!【後編】

 

 

『トップガン マーヴェリック』

2022年、アメリカではようやく多くの人々が映画館に戻ってきた。コロナ前の2019年は、1年間の全体の興行収入が100〜110億ドルだったのに対し、多くの映画館が長期の休業を余儀なくされた2020年は約8割減の21億ドル、2021年はやや回復して45億ドル、そして2022年は70億ドルを超えた。コロナ前の数字には戻っていないものの、日常風景が復活したと言えそう。

その復活の最大の功労者は、トム・クルーズ。前作から36年ぶりとなる続編『トップガン マーヴェリック』は、全米で7億1831万ドルを稼ぎ、2022年のトップに立った。この数字は歴代でも5位の記録。『トップガン マーヴェリック』の構成は単に数字だけではない。コロナ禍によって映画を観る環境が配信にどんどん傾くようになったなか、大きなスクリーンで作品に浸る喜びを再認識させてくれた。現在、アメリカでは劇場公開から45日後に配信で観られるようになるのが通常作品の流れだが、『トップガン マーヴェリック』は、その“45日ルール”をあえて外し、劇場でロングラン。“やはり映画は劇場で観るもの”という観客の反応が、ハリウッドのスタジオを勇気づけたのである。

そのほかにも『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(4億2435万ドル/12/26現在)、『ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス』(4億1133万ドル)といったマーベル作品や、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(3億7600万ドル)などメガヒット作品が続々誕生。年末に公開された『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』も絶好調。『トップガン マーヴェリック』と『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』はエンタメ大作ながら、アカデミー賞作品賞へのノミネートもささやかれており、しばらく話題が続きそう。
 

 

『バズ・ライトイヤー』

残念な結果に終わった期待作もあった。『バズ・ライトイヤー』だ。アメリカではディズニー/ピクサー作品として2年3カ月ぶりの劇場公開作。しかも人気キャラが主人公とあって大いに注目されたが、ディズニー・ピクサーの“指定席”である初登場1位を飾れなかった。年間の興行収入でも15位にとどまる。同社のそれ以前の3作はコロナの影響で配信のみだったので、その影響もあったのかも。『バズ・ライトイヤー』は女性カップルのキスシーンによってイスラム圏やアジアの一部で上映が許可されなかったことも話題に。
 

 

『ザ・メニュー』ではヒロインのマーゴ役を演じたアニャ・テイラー=ジョイ

では作品ではなく、俳優として大ブレイクしたのは誰か? 2023年も次々と若手スターがその魅力をふりまいた。まず挙げられるのが、『エルヴィス』のオースティン・バトラー。カリスマ的シンガー、エルヴィス・プレスリーの人生や、ステージ・パフォーマンスを完璧に再現し、アカデミー賞主演男優賞ノミネートの可能性が高い。彼は2023年、『DUNE/デューン 砂の惑星』の続編にも出演する。続いて注目は、アニャ・テイラー=ジョイ。すでにM・ナイト・シャマラン監督作に出演していたが、2022年の『アムステルダム』や『ザ・メニュー』では共演の実力派スターを向こうに回して堂々の存在感。今後も引っ張りだこだ。
 

 

ジェナ・オルテガ/2002年9月27日生まれ、カリフォルニア出身

さらに人気スタジオA24のホラー『X エックス』や、ティム・バートン監督によるドラマ『ウェンズデー』で、あの『アダムズ・ファミリー』の長女役で主演を務めたジェナ・オルテガ、ドラマ『コブラ会』で一躍人気者となり、2023年は『ブルービートル(原題)』でDC映画初のラテン系ヒーローを演じるシュロ・マリデュエニャ、マーベルのシリーズ『ミズ・マーベル』に主演したイマン・ヴェラーニ……と、2022年、大きく飛躍したスターは数多い。
 

 

シュロ・マリデュエニャ/2001年6月9日生まれ、ロサンゼルス出身
 

 

イマン・ヴェラーニ/2002年9月3日生まれ、カナダ出身

こうした若手人気俳優は、たとえばシュロ・マリデュエニャがメキシコ、キューバ、エクアドルにルーツを持ち、イマン・ヴェラーニがパキスタン出身だったりと、“多様化”が加速中。ただ、アジア系俳優の活躍は、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』などヒット作があった2021年に比べ、少なめだった。
 



『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』/12月23日より全国で公開中

2022年に目立ったのは黒人の女性監督。『ブラックパンサー』シリーズに登場する親衛隊のモデルとされる女性軍団を描き、大絶賛された『ザ・ウーマン・キング(原題)』のジーナ・プリンス=バイスウッド、『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』のケイシー・レモンズのほか、若手の黒人女性監督の作品が次々と公開され、賞レースに絡む傑作もあるなど、ひとつのトレンドになった。
 

 

映画撮影のため滞在していたドミニカ共和国で死去。67歳だった

一方で2022年は、黒人俳優の“レジェンド”で『夜の大捜査線』などのシドニー・ポワチエ、「ゴッドファーザー」シリーズや『ミザリー』のジェームズ・カーン、『カッコーの巣の上で』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したルイーズ・フレッチャー、『グッドフェローズ』などのレイ・リオッタ、『蜘蛛女のキス』でアカデミー賞主演男優賞のウィリアム・ハート、『グリース』『ザナドゥ』で俳優としても活躍した歌手のオリビア・ニュートン=ジョン、『ジェシカおばさんの事件簿』のアンジェラ・ランズベリーといった名優たちがこの世を去った。そしてフランスの監督だが、ヌーヴェルバーグの旗手として映画の歴史を大きく変え、ハリウッドのフィルムメーカーにも多大な影響を与えたジャン=リュック・ゴダールが、91歳で“安楽死(自殺ほう助)”という決断は、2022年、世界の映画界に衝撃をもたらした。

2023年は、はたしてどんな作品が特大ヒットになり、どんなスターの活躍や私生活が世間を賑わせるのか。明るいニュースからスキャンダルまで“おいしい”ネタになるハリウッドなので、また1年間、また目が離せない。(【前編】はこちらから)
 

 

 
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
photo by AFLO
(C)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
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