『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『サバービコン 仮面を被った街』
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物語で選ぶ編
ムネアツなポイントは?“期待以上の出来栄えに興奮MAX!”
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でも中核をなす『アベンジャーズ』の第3作。これまでMCUで活躍した重要キャラクターの、ほぼすべてが登場するとあって、信じがたいレベルの“オールスター作品”に仕上がっている! 監督を務めたのは、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でも多くのヒーローキャラの見せ場を巧みに配分した、アンソニー&ジョーのルッソ兄弟。今回もその手腕は存分に発揮されている。
これまでMCU作品に現れた敵の中でも、“最強”といえるサノスが暴れまわる本作。宇宙の多くの星で、人口の半分の生命を消してきたサノスが、ついに地球にも襲来する。彼が求めるのは、MCUでも重要アイテムである6つのインフィニティ・ストーン。現時点でドクター・ストレンジやヴィジョンがひとつずつ保持しているが、それらをすべて手にすることで、未曾有のパワーが得られるというのだ。
ソーとロキが乗る宇宙船への襲撃にはじまり、ニューヨークでは降り立つサノスの側近たちに対する、アイアンマン、ドクター・ストレンジ、スパイダーマン、ブルース・バナー(なかなかハルクに変身できない!)らが共闘。ヴィジョンが狙われるスコットランドの攻防も続き、怒濤の勢いは加速するばかり。各所での、各キャラクターが手を組むバトルに、観ているこちらはまばたきもできないほどだ。
今回、最も刺激的な参加となるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のチーム。とぼけた味わいや軽妙なノリを楽しめるだけでなく、彼らの1人、ガモーラが(血縁ではないが)サノスの娘なので、思いがけないエモーショナルな展開も用意される。その他にも自己犠牲のシーンや、サノスの心の闇に迫る演出があり、ドラマチックな期待にも応えるだろう。
ヒーローそれぞれの秘技のオンパレード、性格を反映した会話やドラマなどが次々と繰り出されるので、たしかに観る側にも細部にまで気を配る必要があるため体力が要求される作品ではある。しかしMCU作品の中心として、過剰に高まるファンの期待に応えるという意味で、これは最善の作りであるのは間違いない。クライマックスのインパクトも、はっきり予想を超えたものになっている。2019年に控える、『アベンジャーズ』第4作にして、とりあえずの最終章(MCUはその後も続く)は、いったいどんな展開になるのか。おなじみのエンドクレジット後のオマケ映像とともに、その興味は早くもマックスに達する!
●『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
監督/アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ 脚本/クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー 出演/クリス・エヴァンス、ロバート・ダウニー・Jr、クリス・ヘムズワース、ジェレミー・レナー、スカーレット・ヨハンソン、エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー、サミュエル・L・ジャクソン 配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン
2018年/アメリカ/上映時間156分
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
©2018MARVEL
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ムネアツなポイントは?“静のマット・デイモンに妙味!”
『サバービコン 仮面を被った街』
無名の俳優時代にベン・アフレックと脚本を書いた『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』がアカデミー賞脚本賞を受賞し、一躍注目を浴びたマット・デイモン。その後のキャリアは『ボーン』シリーズの大ヒットにより、アクション俳優としての印象が強いものとなったが、本作ではサスペンス作品でもマットの才能は光り輝くことを再認識させてくれる。
製作、監督、脚本をジョージ・クルーニーが担当。しかし、作品の核となっているのはコーエン兄弟が手掛けた脚本部分。つまり、本作はジョージが’50年代に実際に起きた人種差別暴動をモチーフに構想を練ったストーリーに、コーエン兄弟が’99年に手掛けた脚本を組み合わせたもの。そのため、ひねりの効いたコーエン節の中に、より硬質なサスペンス要素が加味されているのだ。
マット演じるガードナーは、郊外の街サバービコンに家族4人と住むサラリーマン。ある日、自宅に強盗が押し入り、妻ローズが殺されてしまう。ひとり悲しみにくれる息子のニッキーは、ある出来事から父ガードナーと同居する伯母マーガレットが事件に関与しているのではないかと不審に思いはじめる……。
コーエン兄弟の脚本の面白さといえば、『ファーゴ』に代表されるように、犯罪を企む登場人物たちが次から次へと不運に見舞われ、あらぬ方向へと転落していく筋書きだ。その醍醐味は本作でも味わえ、マットがその渦中の人物として絶妙な演技を披露している。秀逸なのはその表情で、序盤は真面目で無表情だったが、悪循環に陥ると次第に焦り、ついには感情を露わにしていくのだ。クライマックス、食卓をはさみ息子ニッキーと向き合うシーンでは、マットのシリアスさがより物語の軽妙さを際立たせているのが面白い。そういえば、最近辞任した国税庁の長官や財務省の事務次官もこんな表情してたっけ⁉︎
●『サバービコン 仮面を被った街』
製作・監督・脚本/ジョージ・クルーニー 脚本/ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン 出演/マット・デイモン、ジュリアン・ムーア、オスカー・アイザック 配給/東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
2017年/アメリカ/上映時間105分
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