ラグジュアリーかつパワフルなEV車!
その性能やサイズ感から、どこかショートレンジのイメージが強いEV車。しかし〈アウディ〉からそのイメージを一新させる1台が登場した!
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[アウディ e-tron スポーツバック]
AUDI E-TRON SPORTBACK
気になるモデルが〈アウディ〉から登場した。アウディ e-tronと名づけられた、1台がそれだ。
気になるのは、このクルマがピュアEV、つまり電気自動車であること。床下に敷き詰めたバッテリーの力でモーターを回転させて走らせるということだ。要するに、ガソリンエンジンのような内燃機関は搭載されていないのだ。
もちろん、今どきとなってはEVとてそれほど珍しくない。国産車も輸入車もそれを選ぼうとすればそれなりの数はある。が、その多くはコンパクトなシティコミューター的EVであり、プレミアム感はさほどない。おめかしして出かけるという場面より、近所の買い物クルマ的なテイストがプンプンする。
ところがアウディ e-tronは違う。全長4900㎜、全幅1935㎜というサイズは堂々としたもので、ボリュームとプレミアム感は強い。久しぶりのラグジュアリーEVといった仕上がりだ。しかも、今回はスポーツバックも登場。アウディ自慢のスタイリッシュな4ドアクーペがラインナップされることになった。A 5スポーツバックやA 7スポーツバックが格好がいいのはご承知のとおり。先日リリースされたSUVのQ 3スポーツバックもいい感じだから、こいつもチェックしないと。
プレミアムさはばっちり見た目でわかる。プラチナムグレーのシングルフレームグリルはほかのモデルとしっかり差別化されている。サイドミラーをカメラに置き換えたバーチャルエクステリアミラーも新しい。それと個性的な開き方の充電リッド。そうそうマトリクスLEDライトも忘れてはダメだ。細部にこそ魂が宿る。インテリアでは広々したキャビンと質感の高いマテリアルが目につく。クッション性抜群のシートは、運転中硬くなりがちなカラダを優しく包んでくれる。
そんなアウディ e-tronのアンバサダーを女優でありアーティストの柴咲コウさんが担っているのもポイント。目力の強さと透明感がこのクルマとの共通点に思える。それとスマートさ。パワフルでありその裏に最先端技術が満載されている感じだ。なかなか見事な人選である。個人的には天才物理学者との絡みを演じていたシーンが頭をよぎる。いいね。
それはともかく、アウディ e-tronがEV界に一石を投じるのは明白。流行りのSUVをセンスよくかつラグジュアリーに仕上げたのだから申し分ない。まさに大人のEV登場である。
アウディ e-tronは、とにかく速い。EVの加速が抜群なのは周知の事実だが、改めてその速さを実感するほど。
というのも、このクルマには“ブーストモード”なるものが隠されている。通常の走行レンジではモーターの出力は最大で265kW(360㎰)なのだが、ドライブモードを“S”にしてキックダウンすると、なんと最大値の300kW(408㎰)が一気に顔を出すのだ。もちろん、360㎰もあれば事足りるのは言わずもがなだが、さらにその先を用意しているのだから恐れ入る。ドライバーの自尊心をくすぐる装備だ。
そんなことができるのは大容量のリチウムイオンバッテリーが搭載されるからなのだが、その恩恵は航続距離にも反映されていてカタログでは405㎞と記載される。道路状況や走り方によってその数字は変わるだろうが、一般的なロングドライブでも使える距離だ。しかも、坂道を下る際の回生で、電気を蓄えることができる。なので、山に出かけていっても帰りの下り勾配で充電ができるらしい。なんて好都合なクルマなんだ。
そして山の中のちょっとしたオフロードではフルタイム4WDが頼もしい走りを見せてくれる。前後に2つモーターがあるので、四駆として走れる。これも新しい形のクワトロシステムだろう。EVになってもそこは〈アウディ〉。電動式クワトロがオフロードに誘ってくれる。
01 インテリア
まるでラウンジのような雰囲気!
デザインとテクノロジーをシームレスに融合させた上質なインテリア。そして広々とした空間とくれば、まるでそこはラグジュアリーホテルのラウンジさながら。触れなくともわかる上質さあふれるシートが、乗り手を心地よく包みこむ。
02 バーチャルエクステリアミラー
モニターのデザインに思わず感動
すでに市販車でも数台採用されているカメラ式のサイドミラー。ただこのクルマはモニターがこれまでのクルマとは違う。ドア内側のそれは視線の位置が自然なばかりか、デザイン性が高い。ここはアウディの真骨頂ともいえるポイントである。
03 充電性能
時短技術はますます向上!
充電ポートは左右にあり、右に普通充電、左に急速充電のアダプターが用意される。リッドの開き方がかっこいいのも見もの。急速充電では30分あれば走行距離100㎞以上が可能となる。この辺は使い勝手の面からもリアリティが高い。
SPECIFICATIONS
アウディ e-tronスポーツバック 55 クワトロ ファーストエディション
●全長×全幅×全高:4900×1935×1615㎜
●ホイールベース:2930㎜
●モーター最高出力:300kW
●最大トルク:664Nm
●駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
●トランスミッション:1速固定式
●車両重量:2560kg
●駆動方式:クワトロ(前後2モーター)
●定員:5名
●一充電走行距離:405㎞(WLTCモード)
●価格:1327万円(税込み)